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魔龍皇将士団の紋章  作者: 尾岐多聞
第1章 王国は誰のものか?

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第3話 新国王、起つ!

✦ブックマークよろしくお願い致します!✦

 双剣を振りかざしながら凄まじい勢いで突進してきたのは、()()()()()()であった!

 その身長と横幅は平均的な男性戦士の倍以上はあり、不気味にもそこだけは人間に酷似した両手に握りしめた得物も体格に応じたサイズである。


 現場は鬱蒼とした森の中で、怪物を迎え撃ったのは2メートル近い巨漢であったが、黒い革製の腰巻と籠手及び長靴で隠された部分意外は露出されたその鋼のごとき隆々たる筋肉は隈無く真紅に彩られていた!

 しかも頭髪も含めて体毛は存在せず、金色に燃える双眸は極小の恒星を彷彿とさせる。


“ギャビヒヒイイイイイインッッッ!!!”


 一般的な馬たちとは似ても似つかぬ凶暴な咆哮を轟かせながら赤い魔人に斬りかかった怪物であったが、双刃は虚しく空を斬ってザックリと黒い腐食土を深く抉るのみであった。


“ウキヒイイイイイインッッ!?”


 強烈な殺気を背に感じ、引き抜いた凶刃を思い切り振りながら躰を回転させた馬男であったが、またもや獲物は消失していた。


“──上!?”


 突如自分の肉体に黒影が被さってきたことで慌てて視線を上向かせた次の刹那には魔人の右膝頭が彼の脳天を直撃していた!


 ──ごしゅッ!!


 鈍い衝撃音によって頭蓋骨が陥没したことが明らかとなったが、魔人が敵と背中合わせにひらりと着地した時には左右の赤い鉄腕が倍以上の太さを誇る頸部に巻き付けられていた。


「──フンッ!」


 気合一閃しつつ素早く両膝を屈めて豪快に馬怪人を放り投げた筋肉魔人は電光石火の爪先蹴りを繰り出して後生大事に握りしめた双剣を吹っ飛ばすと、間髪入れず左右の鉄拳による凄まじい連撃をピンポイントで喉笛に叩き込む!


 まさに赤い稲妻──目にも止まらぬラッシュが10秒ほど経過したところでゴキゴキッと骨が砕け、巨大な口と鼻孔からドバァッと赤黒い鮮血を噴出させながら全身がピクピクと死の痙攣を開始する。


 かくて勝利を飾り、立ち上がった魔人は双剣を拾い上げると、右手のそれを一閃させて念入りに首を刎ね飛ばしてのける。


「……いつもながら鮮やかな手並みであるな、ダゴード隊長。

 貴君が目を光らせてくれているお陰で星覇獣国が送り込んでくる〈怪人部隊〉は今のところ全て撃退できている──ま、とはいえ()()()()()()()()()()()()()()()()……!」


 真紅の魔人が静かに振り返ると、2メートルほど後方に臙脂色のローブを纏った小柄な中年導士が立っていたが、フードは外しているため理知的な温顔の銀髪の紳士であることが窺える。


「──痛み入ります、ナージェム様。

 たしかにこやつらをいくらひねり潰したところで、魔龍皇に傷一つ刻みつけたことにもなりませんな……かくなる上は、今からゾルゲシタス島(星覇獣国の本陣所在地)に乗り込んで一世一代の大暴れでもやらかしてやりましょうか……」


 身に寸鉄も帯びぬ半裸のまま、今にも単独で出立しそうな口吻に苦笑を誘われた聖門王国軍筆頭聖獣師は、穏やかな口調で蛮勇をたしなめる。


「まあ王国軍随一の膂力と闘魂、そして並々ならぬ知略をを兼ね備えた貴君のことであるからお世辞抜きで大殊勲を飾る可能性は大いに認めるが、それではゼトゥス様が最も頼りにする守護隊長としての使命はどうなるのかな?

 というのも憎っくき敵が王家の打倒手段として最後に試みるのはやはり刺客を投入しての暗殺か、あるいは魔導力の全てを振り絞っての呪殺以外にありえぬわけであるから、後者は私の領分としても前者はどうしても貴君に受け持って頂かなくてはならんわけでな……」


「──それは承知しております。

 ですが、実際問題として王子に危害を加えようとするならやはり呪術の類しか有効な手立てはないかと……!

 と申しますのも決して自惚れるわけではなくかくのごとき(と眼下の屍を指差しながら)怪人部隊ふぜいが盤石の警備体制を固めた地下要塞に侵入できる見込みは絶無であり、それをあのズザ・ビラドが理解しておらぬはずがなかろうと思われますが……」


 魁偉な外見にふさわしい、深い響きの野太い声による指摘に真顔となって「うむ」と頷いたルゼルク・ナージェムは、一転して深刻な声色で「実はな……少し耳を貸してもらえるかね?」と促し、即座に腰を屈めたダゴードに歩み寄る。

 そして右手で口元を覆いつつ囁かれた言葉を受けて、魔人の双眸は一際強い光を放ったのであった!


 ──5スヌン(約30分)後、両雄は王子の居室にてゼトゥス・マナレックと向かい合っていた。

 彼が最も愛する色である白で統一された室内にて着席を許される数少ない臣下である彼らであったが、華麗な装飾が施された豪奢な主座の背凭れに深く身を預け、細身ながらも鍛え抜いた体躯の線を強調するタイトなサイズの純白のブラウスに包まれた両腕を組んで俯くプラチナブロンドの長髪の主君を前にして憂悶の表情を隠せない。


  実に1スヌン近い沈黙の後、ようやく顔を上げたゼトゥスであったが、驚くべきはその美女と見紛う白き容貌であった!


「……もとより【王宮死守兵団】によって蟻の子一匹通さぬほどに何重にも固められ、更に闘神城の内部には宮廷医にして王国最高の正霊術師であるベザロが一門挙げて最強度の魔封結界を張り巡らしているのであるから、それを突破して父王の寝室を火の海にするなど並の暗殺者や魔導士にできるはずもない……!


 もしやれるとすれば首領のズザ・ビラドのみだろうが、彼奴の最大の下僕(しもべ)ともいえる凶霊龍はあくまでも侵攻用の巨大兵器のはず……となると王宮に潜入したのは別種の使い魔だろうが、小型であろうそれがベザロ渾身の結界を打ち破るとは……!


 だが事実としてこの凶変が勃発した以上、()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!」


「……」


 小さく頷く股肱の臣たちを凝視しつつ立ち上がった新国王は、断固とした口調でこう宣言した。


「嗣子としてはむろんだが、一王国民としてもこのような形での崩御は痛恨の極みだ……されど非情との(そし)りを承知の上で敢えて言うが、これでようやく我々は打って出ることができる──即ち、ゾルゲシタスへの総攻撃をかけることがッ!

 

 つまり浅薄なるズザ・ビラドめは、()()()を頑ななまでに選択肢から除外していた父上の存在自体が最大の生命線であったにもかかわらず、愚かしくも今回自らの手でそれを断ち切ったのだッ!


 ダゴードよッ、すぐに我が名において王国海軍に出動指令を出せッ!!

 そして筆頭聖獣師よ、貴君が手塩にかけて育成してくれた“新生”聖獣防衛隊もこの大遠征に加わってもらうぞッッ!!!」 


 


 


 




 




 

 

 

 


 


 




 




 










 





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