第19話 近づいて来る冬の影
遂にトンネルを抜けた。黒ローブは見事に山を貫通して見せたのだ。トンネルを出ると、家がたくさん集まっている街が見えた。今度こそ本物の街であると願いたい。僕たちは街の中心を目指して歩き出したのであった。
街がだいぶ近くに見えてきた頃、僕たちはある事に気が付いた。
「ねぇ、大分涼しくなってきたよねぇ。」
摩子が言った。確かに旅を始めてから大分経った気がする。日付感覚や暦を持っていないので、正確な時期は分からないが、それでももう真夏を過ぎてだんだんと冷え込んでくる時期に入ってきたのは肌で感じられた。
「そうですね、大分寒くなってきました。夏を過ぎれば一気に冷え込んでくるのでそろそろ暖かい服を揃えたほうが良いかもしれませんね。」
そんな話をしながら進んでいると街に着いた。高層ビルが立ち並んでおり、たくさんの一軒家も存在している。人も出歩いており、特に異常事態などは起こっていなさそうだ。
「暖かい服をください。」
さっそく僕たちは真夏服から暖かい服を手に入れて着替えることにした。中々もこもこしていて心地よい。ふと店の暦を見ると、10月だった。旅に出たのが真夏で7月か8月だったので大分寒くなってきたのは気のせいではなかったようだ。
服を揃えた僕たちは次に宿を探し始めた。よくみるホテルチェーンの名前や民宿のようなところまでいろいろあり、僕たちはビジネスホテルの一室を予約した。そして各自遊んで来いとの長老の一言で、僕と摩子はお小遣いを握りしめてホテルを後にしたのだった。
その日の夕方、僕は今後の旅に役立ちそうなグッズと住んでいた街に関する情報を仕入れてきた。摩子は可愛いぬいぐるみや何かに役立ちそうなアイテムを複数買ってきたようだ。
「私情ですが、僕の住んでいた街に関する情報を仕入れてきました。僕の街はミサイル攻撃を受けて、そこの住民はこの地方のとある町に、国によって強制避難させられているようです。」
僕は今まであまり語ったことはなかったが、情報を共有しておくべきだと思い、自身の身の上を明かした。長老は深く同情してくれ、摩子も涙目になっていたように見えた。
「改めて、僕の旅の目的は家族と再会することです。もし家族が助かっていなくて避難者の中にいなかったとしても後悔はしない。次の目的地はその避難者が集まっている町でいいですか。」
僕がそう問いかけると当然だという風に2人とも深くうなずいた。こうして僕たちの次なる目的地は決まったのであった。その後ご飯を食べ、ふかふかのベッドに横になり、眠りに落ちていった。




