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貴女と出会うまで、わたくしには自分、というものがありませんでした。

空っぽで、虚ろで、父の言いなりな、木偶。


貴女に会って、わたくしはわたくしを取り戻し、貴女の言葉で、わたくしは『人』として生まれ変わる決心をしました。

人として生まれ変わるのですから、新たな傀儡師になってください、とは申しません。

ですが……

ひとりで歩くにはまだ不安があるのです。


生まれ変わったわたくしを、傍で見守ってほしい、と願ってはいけないでしょうか……?

駆け落ち初期のとある宿で。

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