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第二王子アダム

 予想外な人の登場に、目をパチクリとさせてアダムを見つめていた。


「大丈夫ですか?姉上、どこかお怪我はございませんか?」


 ユリウスによく似た青色の瞳が、案じるように私に向けられる。


「大丈夫です。助けていただき、ありがとうございます」


 近衛騎士の方は、アダムが私に近付いてくると、少しだけ後ろに下がっていた。


 気配を消して、控え目にそこに立っている。


 しかし、何で、第二王子が私を助けたのかな?


 結婚させられたばかりの頃のユリウスによく似た、見た目は可愛らしい美少年なのに、ブライアンに向けたあの冷笑を見る限りでは、なかなかクセがありそうな感じだった。


「こうしてお会いするのは、初めてですね。母からの監視が厳しいもので、自由になる時間がこんな夜会の時くらいしかありませんから」


 先程とは打って変わって、人好きのする微笑を向けてくる。


 11歳の子供なのに、なかなか油断がならなかった。


 でも、嫌な感じはしない。


「王子殿下は」


「アダムと呼び捨てでいいですよ。この場には私と彼しかいませんから」


「アダムは、どうしてここに?それに、何で私を……」


「貴女が夜会に招待されたと聞いて、気になって様子をこっそりと見にきたのです。母のやり方は国に混乱を招くだけなので、本当は反対したいのですが、自分が子供なのがとてももどかしいです」


 しおらしく話す姿は敵か味方なのかは判断できなかったけど、この場では味方のようだった。


「貴女の力になれなくて、本当に申し訳ありません。戦地でこの国を守ってくださっている兄上の代わりに、貴女を支えたいのに」


「あ、気にしないで。私は一人でどうにかやっていけるから」


「はい、そのようですね。先程の広間での事はお見事で、どうやったのか教えていただきたいのですが、詳細は姉上が困りそうなのでやめておきます」


 いやにあっさりと流され、そしてニッコリと微笑まれて、焦ったのは私だ。


 見られてた!?


「アダム、あの」


「ああ、大丈夫ですよ。私は何も見ていません。姉上が、謎の力を持っていたとしても、下町で逞しく生きていたとしても、何の力にもなってあげられない私が、貴女の邪魔をするわけがありません」


 ひー、怖いよ、怖い!


 アダム、どこまで知ってるの!


 可愛らしい美少年が、ニコニコ笑顔を向けてくれているのに、それが脅迫にしか見えないー!


「私は姉上と仲良くなりたいだけです。姉上に迷惑はかけませんので、是非お茶を飲みながら話をしましょう」


「え、嫌だ、何か怖いから」


 即、ご遠慮願っていた。


「お好みのおやつを取り揃えますよ」


 反射的に行くって言いかけて、頑張って思いとどまった。


 偉いよ、私。


 お菓子をあげるからって言われても、知らない人にはついて行ってはダメだからね。


 ルゥによくそう言い含めていたのは、私でリシュアだ。


 それに、何を11歳の子供相手におやつで釣られようとしているんだ。


 恥を知れ!


「ユリウス兄さんの近況を聞きたくないですか?」


「聞きたい」


 そこは即答してしまっていた。


 ちょっとだけ後悔する。


「では、御招待させてくださいね。楽しみに待っています。お部屋まで送りましょうか?」


「いや、いいよ。一人で帰れるよ」


 体の前で両手をぶんぶんと振って、これ以上関わらないでとアピールする。


「はい、では、おやすみなさい。ティエラ姉さん」


 後光がさして見えそうなほどの笑顔を残して、護衛騎士と二人で去って行った。


 その二人に背を向けて、私も猛ダッシュで部屋に帰る。


 夜会の事が霞むくらい、アダムの登場は私に衝撃を与えていたけど、でも、これはまだ始まりに過ぎない出来事だった。











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