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三十話 個人的討伐報酬

アースドラゴンを討伐した俺たちは騎士団と魔法師団と協力してアースドラゴンの首を持ち上げて運びながら王都に向かって歩いていた。


「あのさ、メリア」

「何?」

メリアは紅色のつぶらな瞳を向けてきた。

俺は一瞬ドキッとしたが直ぐに思考を切り替えて。


「何でずっとくっついているの?」

「魔力を使い過ぎて疲れたからアレス成分で回復してるのよー」

(意味が分からん)

俺はとりあえず保留とした。


「スカハは?」

俺は反対に視線を向けメリアとは逆側の腕にしがみついているスカハに聞いた。


「心配をかけた罰、甘んじて受けて」

(さいですか)

俺は抵抗を諦めた。


「心配かけて悪かったな」

俺はスカハの頭を撫でた。


「むうぅ、もっと撫でる」

スカハがよりくっついてきた。

(いろいろ当たるからやめてほしいんだが…)

スカハは俺の腕を抱いているわけでつまり胸などが当たるしかも背はメリアより低いのに意外と()()のが心臓に良くない。


「それはそうとアレス、なんか雰囲気変わったわよね?、さらにかっこよくなったというか…」

メリアが何故か俺の手を握りながら言った。


「そうか?まぁ確かに龍星(オロチ)が目覚めてくれてなきゃ死んでたから復活した時に何か変わったかもしれないな」

俺は自分なりの推測を口にした。

「アースドラゴンの尻尾を斬った時八つの頭を持つ蛇のような幻影が見えた、そして今もアレスからその気配を感じる」

「ああ、そいつは多分ヤマタノオロチだよ」

俺はスカハの言葉に思い出すように言った。


「「ヤマタノオロチ?」」

二人は疑問の声を上げた。


龍星(オロチ)に宿っている龍らしいんだよ、八つの頭を持った大和の国の神獣と言っていたな」

俺はヤマタノオロチとの会話を思い出しながら言った。


「大和の国?」

スカハが疑問の声を上げた。


「ここラース大陸とは別の大陸にある国よ、確かイザナギ大陸だったかしら」

メリアは頬に人差し指を当てて言った。


「その通り、そして次の目的地だ」

「え?、何しに行くの?」

「こいつを直すためにだよ」

俺は鞘に収まった月夜の柄に触れながら言った。


「なるほどね、大和は刀の発祥の地って聞くから納得だわ、でもしばらくは先になりそうね」

「何故?」

「あのねスカハ、私達はアースドラゴンを討伐したのよ、つまりそれ程の力があるってことよ、これからはいろんなしがらみが増えると思うわ」

(確かにメリアの言う通りだな、まぁ誰かの下につく気もないし自由にやるつもりだ、俺たちは冒険者なんだし、もし俺たちを利用しようとしたり敵対するような輩が出てきたら容赦しない)

俺はこの先を想像しながら決意を新たにした。



その後王都に着いた後は大変だった。

アースドラゴンの首を見た王都の人達が腰抜かすし討伐が成功したと騎士たちのお陰で分かったらまだ昼過ぎなのにいきなり宴会始めるし騎士たちもそれに混ざり始めてそれそれはてんやわんやだった。


そのせいで宿に戻ってくるのが夜中になってしまった。


(まぁ、騒ぎたくなる王都の人達の気持ちも分からなくは無いけどな)

俺は宿の部屋から夜中にも関わらずまだまだ明るい王都を見てそんなことを思った。


「ただいまー」

メリアも戻ってきた。

メリアは王女様に討伐の経緯を話に行ってたのだ。

ちなみにスカハは魔力を使い過ぎたのか何故か俺のベットで熟睡してる。三人部屋なのに。


「お帰りメリア、どうだった?」

「本当に大変だったわ、エレンは話の最中にいきなり大きな声を上げるし騎士達にも詰め寄られたり…」

メリアは俺に倒れ込んできた。

(余程疲れたのかな?)


「悪いな、面倒事押し付けて」

俺はメリアを抱き締めた。


「ううん、これくらいなんてことないわ、でもね…」

メリアは俺にキスしてきた。

(!?)

俺は突然の行動に驚いた。

「本当にアレスが無事で良かったわ、死ぬ程心配したんだから」

メリアはアレスのことを心配していなかった訳ではなかったのだ、それどころか誰よりも心配していたがそれを押さえつけて戦っていたのだ。


「もしアレスがいなくなったら私は…」

メリアの肩は震えていた。


「約束する、俺はいなくならない、絶対にだ」

俺はメリアの瞳を見つめて言った。

「本当?」

メリアは双眸に涙を溜めて言った。


「ああ、誓うよ」

そして俺はメリアにキスした。


一分程してたかもしれない、顔を離すと頬を赤らめたメリアの美貌が一瞬で目に焼き付いた。


「あ、あのね、アレスは私の恋人でしょ、それで一段落したら大和の国に行くことになるから忙しくなるだろうし、今のうちにその…」

メリアは股をモジモジさせて言った。

その仕草には何となく込み上げてくるものがあった。

「エ、エッチなことしたいなって」

メリアは顔を真っ赤にして小声で呟くように言った。


俺はメリアのあまりの可愛さに我慢出来ずに押し倒してしまった。

「あ、あ、その、優しくしてねアレス」

「善処するよ」

押し倒されて慌てつつも期待しているメリアを見て俺は自分の理性が砕け散るのを感じるのだった。


その後はメリアと何度も想いを重ねてとても幸せな気持ちになれたと記しておく。


◆◆◆◆


翌朝スカハは俺たちに気を利かせたのか部屋にいなかった。俺は横で寝ているメリアを起こさないようにベッドから降りアイテムボックスから魔導服とズボンを出して着替えた。


(やっぱり魔導服、進化してるよな、着心地が前と違うし何でだ?、龍星(オロチ)の魔力を浴びたからとかかな?それとも龍闘気のせいか?)

俺は昨日魔力を流し魔導服で空を飛んだが今考えたら意味が分からん。

(服で空を飛ぶって非常識というか、俺だったら信じられないな、まぁ現実に飛んだわけだが)

「う、ううん」

俺が魔導服についてあれこれ考えてるうちにメリアが起きた。

だがまだ寝ぼけてるみたいで起き上がり目を擦っていたがそのせいでシーツが落ちてメリアの美しい肢体が見えそうだ。


「おはよう、メリア」

俺はいろいろと暴走しそうな心を押さえつけて話しかけた。


「んーん、アレス?、おはよう」

メリアは寝ぼけながらも俺を見て微笑み朝の挨拶を返してくれた。


「大丈夫か?、寝ぼけてないか?」

「んーん、寝ぼけてなんか、、、アレス!?」

急に目がハッキリしたメリアは一瞬で顔を真っ赤にしてシーツを被ってしまった。

俺はその行動の素早さに笑ってしまった。

そしてメリアはシーツから少しだけ顔を出した。


「むうぅ、何で笑うのよー」

メリアは口を尖らせて言った。


「ごめんごめん、メリアがあまりにも可愛くてな」

「嬉しいけど、恥ずかしくもあるんだからね!」

メリアは怒るように言うが表情が緩みきっていて全然そんな風には見えない。


「体調は大丈夫か?」

俺はメリアの頬を撫でながら言った。

昨日いろいろやり過ぎた自覚があったからだ。


「心配してくれてありがとう、確かにちょっと痛むけど大丈夫よ」

メリアは俺の手に触れながら言った。


「そうか、なら早く着替えてくれると助かる」

俺は視線を顔から下に落として言った。

シーツが優秀だギリギリ見えてない。


「!!!?」

メリアはそれに気付いて声にならない悲鳴を上げた。



メリアはボロボロのドレス甲冑を着ずに白色のワンピースを着て俺と一緒に部屋を出て宿の食堂に向かった。

(今日は王城に行かないと行けないんだよな、結局騎士団も壊滅した訳じゃなかったし死んだのは主に冒険者たちだったって聞いたな、まぁ自業自得だが)

俺は今日の予定を思い出してアースドラゴンの被害について少し考えた。


「何の用?」

メリアと手を繋いで宿の一階に降りるとスカハの平坦な声が聞こえてきた。


二人で首を傾げていると。

「うちの主はお前のリーダーに用があるんだ、そこを退け」

「アレスはまだ寝てる、要件なら私が聞く」

何やら揉めているようだ。


「お前に用はねぇーって言ってんだろ!」

ちょうど男がスカハに殴りかかろうとしてるのが見えた。


もちろんそんな攻撃がスカハに当たるはずも無くヒラリと避けた。

「攻撃された、正当防衛する」

そしてスカハは相手の懐に飛び込み顎を殴り上げた。

「あばすぅ!」

男の歯が幾つか飛ぶのが見えた。

(うわぁ、もろに入ってるよ)

「ふぅ!」

さらに股間に蹴りを入れて入口から宿の外へ吹っ飛ばした。


「ん?、アレス、おはよう」

そして何事もなかったかのように挨拶してきた。

「あ、あ、おはよう」

俺が少しぎこちなく挨拶してしまったのは許して欲しい。



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