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十九話 魔導服と乱闘

ギルドを出た俺達は魔導服を受け取るためシグド魔導服店に向かっていた。


「それにしてもドラゴンか」

俺は呟いた。

「でもアースドラゴンなのが幸いよね」

メリアが慰めるように言った。

「ああ、空を飛ばないなら何とかなるかもしれないけど…」

(ドラゴンの鱗が斬れるのかが問題だな)


「それはそうと王都の周辺に居るなんてね、驚きよね」

メリアが言った。

「ああ、俺も思ったよ」

依頼書には王都アドモスの近郊に現れた超級危険種アースドラゴンの討伐依頼と書かれていた。

「でも幻鋼級オリハルコンの冒険者も参加すると思うから案外何とかなるんじゃない?」

メリアが楽観視するようなことを言った。

「あのな、竜がそう簡単に行くなら超級危険種なんかに登録されてないぞ」

(本当に何で王都のギルドは討伐しようと思ったんだ?)

俺は純粋に疑問に思った。


超級危険種とは特級危険種を超える存在で一匹で国が滅ぶかもしれないと言われている。

(国が滅ぶかもしれないからか?)

ギルドに七体しか登録されていないがどれも化け物ぞろいだ。

(アースドラゴンなのが幸いだが…)

地竜はこの七体の超級危険種の中でも一番弱いと言われているがドラゴンの巨体もさることながら地形を変える程の土魔法を使うらしい。

(ギルドに何か策があればいいけどな)


「アレス着いたわよ」

メリアが声をかけてきた。

どうやらいろいろ考えてる間に到着したようだ。


◆◆◆◆


「かっこいいじゃない!」

メリアが興奮するように言った。

「似合ってると思いますよ」

シグドも褒めてくれた。


「二人ともありがとう」

俺は感謝した。


手に入れた魔導服は全体が紺色で左右の胸から裾にかけて紅色の流線が入っていた。


「最上級の素材でしたので【防汚】【自己治癒】【温度調節】【物理耐性】の四つが付与出来ましたよ、【防汚】と【温度調節】以外は魔力を流すと発動しますよ」

「流石だな、これがお代だ」

俺はアイテムボックスから白金貨を十枚出した。

「確かに受け取りましたよ」


「うん、やっぱりかっこいいわね」

魔導服店から出た後歩きながらメリアが笑顔で言った。

「恥ずかしいからあまり連呼するな」

メリアに面と向かって言われるのは流石に恥ずかしい。


「仕方なわね、これくらいにしてあげるわよ」

メリアは小悪魔的な笑みを浮かべた。


「コホン、とりあえず宝箱の解錠屋に行くぞ」

俺はわざと咳をして誤魔化し次の目的地を告げた。


「了解よ、金色の宝箱を開けないといけないもんね」

メリアは両手を後ろ手に結びながら言った。


迷宮(ダンジョン)を攻略すると銅から金色の宝箱が出現し等級が上がることに中の宝も豪華になるらしい。ファリスには迷宮が出現する頻度が多い為よく攻略されるので宝箱の解錠屋はたくさんある。


俺とメリアは解錠屋が多く集まる職人街の西側に向かっていた。


「んーん、やっぱり冒険者多いわね」

メリアが周りを見渡しながら言った。


「ああ、ファリスには一ヶ月に一度くらいの頻度で大きい迷宮から小さい迷宮まで出るらしいからな」

ファリスは魔力が豊富な土地である為迷宮が多く出現するらしい。

(一体どんな仕組み何だろうな?)

俺は迷宮の不可思議な仕組みが気になった。


「ねえ、アレスあれ何かしら?」

メリアが袖を引っ張って来た、俺は思考を中断し顔を上げた。


通りにちょっとした人だかりが出来ていた。

(何だ?)


「コイツ俺に逆らいやがって」「ガキの分際でよ!」

人だかりに入ると数人の男が一人の子供を蹴り合っていた。


(なんだ?、随分と一方的だな)

俺はその光景に眉ひそめた。


「ん?、どうしたメリア?」

そんな事を思っていると無言でメリアが男達に向かって進んだ。


「貴方たち何してるの」

俺が不思議に思ってると今まで聞いた事のない程の低い声で話しかけた。

(メリアが怒ってる!?魔力の燐光まで上がってるし)

メリアから薄く魔力の燐光が上がるのを見て俺はメリアが尋常ない程怒ってるのを感じた。


メリアの声に反応して男達がメリアを囲んだ。

「何の用だよ女?お前に関係ないだろ」

一番前に居る男がメリアの言葉に反応した。


「その通りよ、でも目障りなのよ貴方たちみたいなのは」

メリアが男達を睨みながら言った。


「目障りだと女のくせに調子乗んな!」

男の一人がメリアに掴みかかった。


メリアは一歩下がって手を避けてから右肘を男の脇腹に食らわせた。


「ぐはぁ!」

メリアの肘が男の脇腹にめり込み男は横に吹き飛んだ。

(あー、あれは骨が折れたな)

俺はメリアの一撃を食らった男に思わず同情した。

周りで見ていた人達も同じような表情だ。


「何?!」「この!?」「女のくせに!」

男達は驚いたが内二人がメリアに殴りかかった。


俺は一瞬足を魔力で強化して人だかりを抜け接近し一人の鳩尾に拳を食らわせた。

メリアは相手の鳩尾に食らわせた俺をちらりと見てから殴りかかって来た男の拳を流れるように避け相手の顔面に蹴りを食らわせた。


「ぐぼぉ!」「あびゃ」

男二人は地面に倒れた。


「ここから去れ」

俺は少し殺気を出して男達に言い放った。


「「ひぃぃ」」

男達は腰を抜かしながら走り去った。


俺が周りを少し睨むと野次馬達も散った。

「大丈夫!?」

メリアは男達に蹴られていた子供に近寄った。

(よく見たら女の子か!?ボロボロだが辛うじて意識はあるようだな)

俺は驚きながら状態を観察した。


「これを使えメリア」

俺はアイテムボックスから回復瓶(ヒールポーション)を出してメリアに渡した。前にノイスで買った回復瓶だ。


「ありがとうアレス、幸い骨は折れてないみたいね」

メリアは子供を通りの脇に運んでから回復瓶を女の子にゆっくり飲ませた。


「お姉ちゃんとお兄ちゃん誰?、あれ痛くない」

回復瓶を飲ませてから数分後女の子が目が覚めた。

状況に少し混乱してるようだ

「私はメリアで彼はアレスよ、もう痛くない?」

メリアは先程の表情とは打って変わって優しく問いかけた。


「うん、お姉ちゃん達が助けてくれたの?」

「そうよ」

メリアは屈んで女の子と目線を合わせながら頷いた。


「ありがとうお姉ちゃん、うう」

お礼を言った後は泣き出してしまった。

(余程怖かったんだろうな)

「よしよし、怖かったね」

メリアはその間後頭部を撫でながら優しく子供を抱き締めていた。


しばらくすると泣き止んだ。


「それで君の家はどこかな?私達が送っててあげるよ」

落ち着いたのを見計らって笑顔でメリアは聞いた。


「あ、職人街の西側の一角にあるの、着きてきて!」

女の子はメリアの手を引っ張り言った。


メリアは振り向き俺に『良いでしょ?』的な視線を向けてきた。

「はぁ」

俺は小さく溜息をつき頷いた。

(メリアは何かと強情なところがあるからな)

俺はそれに関しては既に諦めてる。


女の子の荷物を拾った俺達は前に女の子とメリア、その後ろに俺の順番で女の子の家に向かって歩いた。

「そういえば君の名前は?」

メリアが女の子に話しかけた。

「レナって言うの、お姉ちゃん達はもしかして冒険者?」

女の子、レナが首を傾げた。

「レナちゃんね、そうよ私とアレスは冒険者よ」

メリアとレナは他愛のない会話を交わしながら歩いた。


そして目の前に大きな建物が見えてきた。



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