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十三話 《蒼の雷眼》と魔導服店

「ん、ん、夢だったのか?」

俺は目が覚めた。

窓を見ると既に外は明るくなっていた。

「アレスも見たの?」

目の前のメリアが聞いてきた。

「も、ってことは現実だったのか」

「まさか本当にラミエル様の転生体なのかな?」

メリアが不安そうに言った。

「たとえ昔はラミエル様でもメリアはメリアだろ」

俺はメリアの頭を撫でながら言った。

「むぅー、人が真面目に悩んでるのに」

メリアは不貞腐れるように言った。

「あはは」

俺はそれが可笑しくて笑ってしまった。


俺達は宿を出て人気がない空き地に来た。

神龍様を疑う訳ではないが本当にラミエルの光か確認するためだ。

「それで具体的にどう調べるんだ?」

「それが伝承では光を操ると記されているのだけど、《光を操る》の意味がよく分からないのよね」

メリアは光球を沢山出しながら言った。

「多分メリアが今している事だと思うぞ?」

「え、」

メリアは目を点にした。

「メリアは魔法を撃つのに必ず光球を媒介にしてるよな?」

「それはそうしないと魔法が…まさか?」

「この本にはそんな事書いてないぞ」

俺はノイスで買った魔法書を見ながら言った。

魔法というものについて調べてみたのだ。

「光魔法自体使える者が少ないから多分としか言えないけどな」

俺は推論を述べた。

「ラミエル様についての情報を集めるしかないわね」

「調べるならメリアの実家だけど…」

俺はメリアを見ながら言った。

「大丈夫よ、確かにあの国は嫌いだけどお父様とお母様は好きだから」

「なら、おいおいやっていくとするか」

「そうね」

メリアは笑った。


いつも通りの鍛錬をやる事にした。

「さてといつもの鍛錬をするか」

俺は座禅を組み闘気操作鍛錬をした。

「私もやるわね」

メリアは俺の隣に座った。

俺は闘気を操作した。

(ん?)

「闘気が増えてる?」

「え、闘気は成長するってアレスが言ってたじゃない」

メリアが俺の言葉に反応した。

「いや昨日よりも圧倒的に増えてる二倍くらいだ」

「本当?」

「ああ、全身に行き渡らせんのにいつもの二倍の時間がかかった」

「そういえば神龍様が最後にアレスになんかあげるみたいな事言ってたね」

メリアが思い出すように言った。

「そんな事言ってたのか?」

「うん、多分だけど」

「そうかなら神龍様に感謝しないとな」

「ええ、そうね、ってアレス貴方の眼が!?」

メリアが俺と目が合った瞬間に驚くように言った。

「鏡を出して!」

俺は言われた通りに出した。

「ほら見て?」

鏡に自分の顔が写った。

「これは蒼い雷?」

俺の眼の中で蒼い雷が迸っていた。

「アレスの眼の中で雷が降ってるのよ!?」

メリアが驚くように言った。

「これのおかげか」

俺は得心がいった。

「何、どういうこと?」

メリアが多少混乱しながら聞いてきた。

「これは《蒼の雷眼》だ」

「《蒼の雷眼》?」

「神龍伝承に出てくる雷帝龍が持っていた眼だよ」

「神龍様が倒した六体の龍のうちの雷帝龍の龍眼ってこと?」

「またとんでもないもの渡してくれちゃってよ」

俺は遥か彼方にいる神龍様に文句を言いたくなった。


神龍伝承…神龍様の数ある伝説の中で最も有名な話で今の神龍様つまりカグラ様が同格だった六体の龍を倒し神になる話だ。雷帝龍はその中で神龍様が最も激闘を繰り広げた龍として有名だ。

《蒼の雷眼》は雷帝龍が持つ力で雷を降らす眼だ。

(多分闘気が増えたのは《蒼の雷眼》に《神龍の加護》が組み合わさった結果だろうな)


「なんだか一晩で凄いことになったね」

目的の魔導服屋に向かう途中メリアが言った。

「本当だよ、コレが神龍様を信仰している人に見つかったら大変だよ」

俺は自分の眼を指さしながら言った。

「訓練の時の雷凄かったもんね」

あの後少しだけ眼に魔力を送ったら雷が辺りに飛び散り地面が焼け焦げた。

「まぁ闘気を送ると動体視力がより上がるから戦うには便利だけどな」

「本当だよ私の飛光剣を全部捌くなんてちょっと自信無くすよ」

メリアが少し項垂れた。

どこまで見えるようになったのか試すためにメリアに攻撃してもらったのだ。

「だけど雷の力はまだまだ扱えてない、精進あるのみだ」

「一緒に頑張ろうね」

微笑んで言うメリアに俺は頷くのだった。


鍛治都市ファリスは幾つかの街に別れている。

俺達はその中で最も大きい職人街に向かっていた。

「職人街はいろんな職人が集まってるのよね」

メリアが辺りを見回しながら言った。

「ああ、鍛治都市というだけはあって鍛治が一番盛んみたいだけどな」

このファリスには腕の良い鍛冶師も多いため冒険者らしき者をチラホラ見かける。

「シグド魔導服店はこの先だな」

俺はノイスのギルド長に貰った案内図を見ながら言った。

「行きましょう」

メリアが手を繋いできた。

「お、おう」

俺は驚き声が上ずってしまった。



「あ、あそこみたいよ」

メリアが建物を指さした。

看板に"シグド魔導服店”と書いてあった。

「行くか」


俺達は店内に入った。

「おー、広くて沢山の魔導服があるよ」

店内は清潔な印象を与える内装で沢山の魔導服や装飾品が並べられていた。

「いらっしゃいませ、魔導服をお買い求めですか?」

店内を見ていると話しかけられた。

「あ、はい、魔導服を作ってもらいに来たのですけど…」

「貴方エルフなの?」

話しかけて来た男は長い耳を持ったエルフの人だったのだ。

エルフ族とはラース大陸の西端に存在するユグドラシル共和国に住んでいる亜人族の一つであまりこの国では見かけない。


「ええ、そうですよシグド魔導服店主のシグドです」

「あ、アレスです」

俺は初めてエルフに会ったので驚いてしまった。

「メリアよ」

「お気になさらず、先程制作を頼みに来たとおっしゃていましたが…」

「コレで魔導服を作ってくれませんか?」

俺はアイテムボックスから解体したフレアドレイクの皮を出した。

「これはフレアドレイクの!?」

シグドはフレアドレイクの皮を見て驚いた。

「久しぶりに見ました、良く倒せましたね」

シグドが俺とメリアに尊敬の眼差しを向けた。

「アレスが凄かったのよ」

このままだとメリアがフレアドレイクとの戦闘を説明しそうだったので口を指で塞いだ。

「んん!?」

「それで魔導服作れますか?」

「良質な皮ですし最高級の物が作れますね」

「どれくらいで出来ますか?」

「そうですね………一週間程で出来ますね」

シグドは少し考え言った。

「それでは一週間後にまた来ますね…行くぞメリア」

俺はメリアの極上の頬を触った。

「うにゃ、にゃにするのよ~」

「ふふふ、お二人は仲がいいですね」

シグドが微笑ましそうに言った。


その後俺達はギルドに向かっていた。

「全く頬が伸びるかと思ったわよ」

メリアが頬を擦りながら言った。

「いや、つい」

何となくメリアの頬を触ってみたかった。

「ならアレスのも触らせなさい」

メリアが俺の頬を触った。

「アレスの頬結構柔らかいわね」

「ふぁかったら離してくれ」

「仕方ないわね」

メリアは俺の頬から手を離した。

「楽しんでないか?」

メリアに少し疑いの視線を向けた。

「さぁ、どうかしらね?」

メリアは楽しそうに言った。

メリアとそんなやり取りをしながらギルドに向かった。

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