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空に墜ちる -帰投は迷い家のあとで-  作者: 琉斗六


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18/18

5-3:水槽

 拠点に戻ったところで、若桐は考え込んだ。


「どうしたんですか?」

「いや……、おまえは俺が一人で水汲みに行くの嫌がるだろ? だが、この拠点には水槽がないし。おまえが寝てる間は、ホエールから水を出せないから、どうしたもんかなって考えてた」

「水槽? 水族館の巨大なやつみたいな?」

「もっとこう……、防火水槽みたいなサイズのが良いんだけど」

「防火水槽って、なんですか?」

「え、そっから……?」


 若桐は、説明を待ってワクワク顔の真壁を見やり、溜息を()いた。


「ジェネレーションギャップを感じる……」

「えっ?」

「別にここでマグロとかマンボウ飼いたいわけじゃないんだし。生活するのに、ちょこっと水が使えたらなって話じゃん」

「……そっか。じゃあ、雨水タンクぐらいでいいってことですね」

「そうそう」

「それなら、僕が木を切り出せば良くないですか?」

「はっ?」

「だってほら、かまいたちみたくスパッて切れますから。加減すれば材木えぐるぐらい出来ると思うんです」

「そうなの?」

「はい! ……ちょっと、練習は必要かと思いますが……」

「うん。森林破壊しない程度にしてね」

「守さん……、僕を災害かなんかだと思ってます?」

「だって、一旦これって思い込むと、スゲー集中力を発揮して、思い詰めるからさぁ」

「そもそも、森林破壊するほど大量の練習しなきゃ習得できないとか、僕が納得できません」

「わかった、わかった。悪かった」


 若桐は真壁の頭を撫でながら、(ひたい)にキスをする。


「許します」

「じゃ、水槽は百合緒に一任するから、よろしく頼むな」

「はい!」


 真壁は、嬉しそうに笑った。


「あと、鍋なんだけどな」

「はい」

「粘土こねて、作るか……」

「えっ……? 鍋と粘土に、なんの関係が?」

「だから。縄文式土器ちゅーの? 粘土こねて形にして、焚き火で焼き固めて器にするんだよ」


 若桐の提案に、真壁は些か混乱しているような顔をしている。


「土器……」

「だって、海水が入手できる目算がついても、結局はそこで立ち往生だろ? 泉の周辺に、結構ねっとりした土があったし。あの辺の土壌を精査すれば、粘土ぐらいあるんじゃないかと思うんだよな」

「異世界に来たら、ダンジョン攻略とかするんじゃないんですか?」

「そういうセオリーだか、お約束は、俺にはわからんからなぁ。……てか、ダンジョンなんてあるの?」

「北東東の洞窟とか、めちゃくちゃ怪しくありません?」

「あ〜、イノシシみたいな嫌な感じのする穴か……。洞窟探検は、明かりの確保と、道中の食料を用意してからだろ?」

「明かり、必要かなぁ? イーグルで夜間飛行する時、目視はしませんよ?」

「俺は飛ばないよ?」

「コントロールタワーなんだから、レーダーぐらいあるんじゃないですか?」

「書いてなかったじゃん」

「僕を肩車してる時、レーダーだって言ったのに!」

「そうだっけ?」


 真壁は「もう! 適当なことばっかり言うんだから」と言って、若桐をぽかぽか殴る。


「わかった、わかった。じゃあ、肉がすぐに食えるように焼いておいて、そんでその洞窟っての、見に行こう」

「やった!」


 ぎゅうっと若桐をハグして、真壁は嬉しそうに笑った。

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