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46 翻弄

リョウの手にあるボールは、僅かに弾性を持っているものの、空気の圧力で膨らんでいるわけではないようだ。

シリコンやラバーのような材質でできているそのボールは、実際に持つとかなりの重さを感じる。


ここが屋外でなく滑らかな床面であったとしても、あまりバウンドしないのではないかとリョウは考えた。


(実際に手に持てば魔法の活用法が分かるかもしれないと思ったけど、全然わからないな)


リョウは右斜め後ろの位置にいたヌルールに一度ボールを戻す。


このサッサランに参加している学生の中で最も大柄なヌルールは、リョウがやや高めに投げたボールを、両腕を伸ばすだけで捕ることができた。


ヌルールは少し戸惑ったような表情を見せたが、すぐさま近くにいたチームメイトにボールを渡す。


エッジスという名のその少年は、身長はヌルールと同じくらいあるものの痩せ型で、自己紹介の際には妨害魔法が得意だと言っていた。


妨害魔法というのは、飛んでくるボールに対して動きを遅くしたり止めたりできるという説明から、リョウが心の中でつけた名称である。


なお、自己紹介で魔法という言葉が出るたびに質問を繰り返すリョウの姿を、アグースたちビブスチームのメンバーは微笑ましく眺めていた。


リョウの聞き出した内容によると、このチームだけのことかサッサラン全体に共通する考え方かは分からないが、中衛(テンガー)には自身が投げたボールを曲げることでカットされにくいパスを出せる人、後衛(ベルタッハン)には相手の投げたボールに干渉してシュートコースをずらせる人が向いている、という思想でポジション分けがされているようだ。


このチームで魔法を積極的に使うのは、前衛(デパーン)のリニ、後衛(ベルタッハン)のエッジスに加え、中衛(テンガー)のプラティとアユの四人だと覚えておけばよいとリョウは教えられた。


アユはプラティの親友で、かなり早くから魔法が使えたためプラティに魔法を教えているとも言っていた。


もっとも、それを言っていたのはアユ本人ではなくヌルールであり、アユはケメルデ語が話せなかったため、自己紹介の際も通訳がわりをしてくれたという経緯がある。


プラティとアユは、その関係性もあって、似たような水平方向の干渉を得意としているという。


親友二人に加えて自分という構図や、女子二人に男子一人という状況に少し気まずさを覚えながらも、リョウは同じ中衛(テンガー)として、魔法を用いたコンビネーションが見られることを非常に楽しみにしていた。


エッジスは、前衛(デパーン)のポジションで手を挙げていたアディにロングパスを試みたが、相手後衛(ベルタッハン)の背の高い男子に弾かれた。


転がったそのボールは、相手の後衛(ベルタッハン)の位置にいたガオが拾い、ビブスなしチームのパスが繋がっていく。


リョウは、そこまで背が高いわけでもないガオが後衛(ベルタッハン)にいることに違和感を覚えたが、目の前の女子にボールが渡ったため、それどころではなくなった。


このゲームのディフェンスは、ボール保持者の近くでパスコースを遮る役割と、空いているパスコースでパスを待ち構える役割の二つに分かれる。


いわゆるマンマークディフェンスに近いやり方が雰囲気で行われており、自分は何となくこの女の子を担当しているのだろうとリョウは感じていた。


その彼女にボールが渡ったことで、リョウは緊張感を覚える。


リョウはボールを持つ女子から一メートル半ほど離れた位置で、小さく反復横跳びのような動きをし、両腕を広げてパスコースを遮る。


リョウから見るとゴールは五時の方向にあるが、さらに左に寄ることでパスコースの制限を試みる。


相手の女の子から見て、リョウの腕の延長線上にあるエリアにはパスが出しにくくなるため、右側にいるアユやプラティ、後衛(ベルタッハン)の面々と合わせてパスコースを消す形になる。


ボールを持っている彼女は、少しリョウと目を合わせた後、その上の手が届かない位置にふわりとボールを放った。


リョウは一瞬振り向くが、ボールの軌道の先には誰もいない。


再び目の前の女子を見ると、その手にはボールがあった。


(どうして?)


反応する暇もなく、リョウのすぐ右を通る鋭いパス。


走り込んでいた相手チームの男子がそれを受け取り、そのまま素早くパスが繋がり、シュートまで持ち込まれる。


リョウは少しの間、呆然としてビブスなしチームの喜び合う様子を眺めていた。


魔法を使ってボールを手元に戻し、隙を突いてパスを通したのだろうということは想像できる。


もしかすると、その後のパスにも魔法で推進力を加えていたのかもしれない。


思考を働かせれば何が起こったのかは理解できる。


しかし、それ以上に、運動神経と魔法が滑らかに融合したそのプレーに、リョウは呆気に取られていた。


39話を投稿していないことに本日早朝に気が付いたので、割り込み投稿しています。

論理性の低さで一話抜けていても気付かれなかったのか、娯楽性の低さで一話抜けていても気にも留められなかったのか、いずれにしても自らの文章力のなさが招いたことだと思っているので、今後とも一層精進していきます。


ちなみに私自身はかなり前向きなので、自分自身の作っている物語のファンです。

本来七歳編は二十話程度でまとめてしまおうと思っていたのですが、思ったより面白くて色々凝っています。

少し想定から外れた進行ペースになってはいますが、私の趣味にお付き合いいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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