サスペンス小説 【友喰い】 失踪した友達 六
この物語は、フィクションです。実際の出来事や人物とは関係ありません。サスペンスな雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
【友喰い】失踪した友達の主要キャラクター
主人公:田中 健一
年齢:37歳
職業:私立探偵
性格:冷静で洞察力に優れ、論理的思考が得意。しかし、時には情熱的になり、真実を追求するためなら危険も顧みない。
背景:元警察官で、不正を許せない強い正義感を持つ。探偵としての経験を活かし、真実を追求する。
主人公:渡辺 恵理子 (わたなべ えりこ)
職業: ジャーナリスト
年齢: 34歳
性格: 勇敢で、真実を追求する情熱的な性格。スクープに対する嗅覚が鋭い。
背景 大手報道局で働いていたが、表面的な報道に疑問を感じ、独立。真実を暴くためにはリスクを冒すこともいとわない。
名前:秋田 俊已
年齢: 28歳
職業: 不明(失踪中)
性格: 謎めいており、友人や家族に対しても秘密が多い
背景: 失踪前は友人や家族との関係が複雑で、何か大きな秘密を抱えていた様子。
名前:松本 彩
年齢: 27歳
職業: 看護師
性格: 優しく思いやりがある
背景: 俊已の幼馴染で、彼の失踪に心を痛めている。事件の解決に向けて協力する。
名前:高田 翔
年齢: 28歳
職業: お笑い芸人
性格: 社交的で人懐っこい
背景: 俊已の友人で、彼の失踪前に最後に会った人物の一人。事件の鍵を握る情報を持っている可能性がある。
名前:山田 真由美
年齢: 27歳
職業: 俊已の元恋人
性格: 感情的で直情的
背景: 俊已との関係が終わった後も彼に対する未練があり、事件に巻き込まれる形で関与する。
名前:井上 直樹山奥で絞殺により殺される。
年齢: 29歳
職業: フリーランスのデザイナー
性格: 創造的で自由奔放
背景: 俊已と共にクリエイティブなプロジェクトを手掛けていた。事件に巻き込まれたことで、彼の生活にも影響が出る。
名前:佐藤 隆
年齢: 30歳
職業: 俊已の友人
性格: 冷静で計算高い
背景: 俊已とは学生時代からの友人だが、何かしらのトラブルを抱えている様子。事件に関与している可能性がある。
名前:池上 大輔
年齢: 28歳
職業: ITエンジニア
性格: 知的で内向的
背景: 俊已の大学時代からの友人。事件に関する重要な情報を持っているが、なかなか話そうとしない。
【第六章:ビジネススクール経営陣の逮捕】
警察の捜査が進む中、ビジネススクールの経営陣が詐欺罪で逮捕された。彼らは、多くの人々から高額な参加費を騙し取っていたことが明らかになり、大きなニュースとなった。
ビジネススクールの事務所前は、報道陣と警察官でごった返していた。青と赤の回転灯が点滅する中、制服姿の警察官が何人も事務所内へと出入りしている。事務所の入口には黄色い「警察封鎖線」が張られ、一般人の立ち入りが厳重に制限されていた。
事務所の内部では、経営陣が拘束され、警察によって厳重に取り押さえられていた。捜査員たちは、手際よくデスクやキャビネットの引き出しを開け、大量の書類やファイルを次々と運び出している。書類の山は、一見すると乱雑に見えるが、実際は一つ一つが丁寧に分類され、重要な証拠品として扱われていた。
ニュースキャスター: 「現場からの報道です。今、ビジネススクールの事務所から大量の書類が運び出されている様子が確認されています。警察によると、これらの書類には参加者からの高額な参加費に関する詳細な記録や、詐欺の証拠が含まれているとのことです。」
捜査員たちは、黒いスーツケースや透明なプラスチックボックスに書類を詰め込み、慎重に車両へ運んでいた。一方、逮捕された経営陣は警察官に連行され、手錠をかけられた状態で事務所の外に出てきた。彼らの顔には、驚愕と恐怖が浮かんでいた。
捜査官A 「このファイルには、被害者のリストが含まれている。全員の名前と支払い履歴が詳細に記載されているぞ。」
捜査官B 「こっちの箱には、ビジネススクールの運営に関する内部メモや、計画書が入っている。詐欺の手口が詳細に書かれているな。」
報道陣は、カメラを向けてその様子を撮影し、マイクを手にして捜査員や関係者に質問を投げかけた。しかし、捜査の進行を妨げないように、警察官たちは丁寧に彼らを制止していた。
ニュースキャスター 「経営陣の逮捕により、ビジネススクールの詐欺行為が明るみに出ました。警察は、被害者の救済と共に、さらなる関係者の特定に向けて捜査を続けています。」
事務所から運び出された書類やファイルは、警察車両に積み込まれ、次々と運ばれていった。その光景は、詐欺事件の全貌が明らかになることを示唆し、関係者や被害者にとっては一縷の希望となった。
捜査が続く中、ビジネススクールの事務所は一時的に閉鎖され、その看板も撤去されることとなった。警察の捜査は、秋田俊已の失踪事件との関連も視野に入れ、さらに深く進められていった。
ニュースキャスター 「以上、現場からの報道でした。引き続き、詳細な情報が入り次第お伝えいたします。」
その後、逮捕された経営陣の一人、松本彩から田中健一へ一通の手紙が届いた。
【第七章:松本綾からの手紙】
手紙の封をきった田中健一は中には写真と直筆の便箋が入っていた。
「田中健一様
この手紙を読んでいるということは、私はすでに逮捕され、全ての罪を私が背負うことになっていることでしょう。しかし、私はこのまま黙っているつもりはありません。実は、秋田俊已は生きています。彼は高田翔として別人の人生を歩んでいるのです。
添付の写真をご覧ください。これは秋田俊已が整形手術を受けた病院の記録です。手術後の写真もあります。彼は私を裏切り、全ての罪を私になすりつけ、自分だけが逃げようとしています。彼は今、フィリピンへ逃亡しようとしています。
私が彼の本当の正体を明かすことで、少しでも彼の悪事が暴かれ、正義が成されることを願っています。どうか、この情報を役立ててください。
松本綾」
手紙と共に同封されていた写真には、整形前の秋田俊已と整形後の高田翔の姿が写っていた。病院の記録には、整形手術の詳細が記されており、秋田俊已が高田翔として新しい人生を歩むために整形手術を受けたことが確認できた。
田中健一は、松本綾の手紙と同封されていた証拠をもとに、再び調査を進めることを決意した。秋田俊已=高田翔の行方を追い、彼を法の裁きにかけるために行動を開始した。
田中健一は、松本綾からの手紙と証拠を手に、すぐに警察と連絡を取り、秋田俊已が高田翔としてフィリピンへ逃亡しようとしていることを伝えた。警察は迅速に動き、羽田空港での警戒態勢を強化することを決めた。田中は、自らの経験と直感を信じて、空港での確保作戦に参加することを決意した。
羽田空港の出発ロビーは、出国を急ぐ人々で混雑していた。田中は、警察官たちと共に、フィリピン行きの搭乗手続きを行うカウンターの近くで待機していた。彼の目は鋭く、周囲の動きを見逃すまいと神経を研ぎ澄ませていた。
「ここだ、彼が来るはずだ」と田中は自分に言い聞かせた。
その時、見覚えのある顔がカウンターに向かって歩いてくるのを見つけた。整形後の顔ではあったが、その動作や雰囲気は秋田俊已のままだった。彼は高田翔として偽名を使い、フィリピン行きのフライトの搭乗手続きをしようとしていた。
「今だ!」田中は心の中で叫び、警察官たちと共に動き出した。
秋田俊已(高田翔)は、カウンターに到着し、笑顔を浮かべながらパスポートと搭乗券を提示した。
「フィリピン行きのフライト、よろしくお願いします」と彼は冷静に言った。
その瞬間、背後から田中と警察官たちが接近した。
「高田翔、いや、秋田俊已だな?」田中が鋭い声で呼びかける。
秋田俊已は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静を取り戻し、振り向いた。
「誰だ?何のことだ?」と、しらを切った。
「君が誰なのか、もう知っている。整形手術を受けて、別人として逃げようとしたこともわかっているんだ」と田中は続けた。
警察官たちは秋田俊已を囲み、逃げ道をふさいだ。
「どうしてここにいるんだ!」秋田は声を荒げたが、田中の冷静な視線に気圧された。
「真実を追求するためだ。君の罪から逃れることはできない」と田中は毅然と言った。
秋田俊已は観念した表情を浮かべ、手を上げた。
「わかった、もう逃げられないのは分かってる…」
警察官たちは迅速に秋田俊已に手錠をかけ、彼を連行した。周囲の人々は驚いた表情で一部始終を見守っていた。
田中は深く息をつき、やっと一息つける気持ちになった。
田中健一は、秋田俊已を確保できたことに安堵を感じながらも、まだ解決すべき問題が多いことを痛感していた。だが、一歩前進したことで、彼は再び真実を追求する決意を新たにした。
【プロローグ:なりすました友達】
ニューススタジオは明るく、緊張感に包まれていた。カメラが回り、画面にはニュースキャスターの藤田直樹が映し出された。
「今夜の特別報道です。逮捕された秋田俊已容疑者について、犯行の流れを解説します。」藤田直樹は真剣な表情で語り始めた。
画面が切り替わり、ジャーナリストの渡辺恵理子が現れた。彼女は事件の詳細を説明するために準備していた資料を手にしていた。
「秋田俊已容疑者は、自らを高田翔として偽り、多くの友人や知人を騙していました。彼の巧妙な手口は、多くの人々を巻き込む詐欺事件となりました。」渡辺恵理子は冷静な口調で説明を続けた。
「秋田はまず、自分のビジネススクールを立ち上げ、投資セミナーを開催しました。高額な参加費を取ることで、多くの人々を経済的に追い詰め、その上でさらなる詐欺行為を行いました。」画面にはビジネススクールの様子や、秋田の写真が次々と映し出された。
「彼の犯行は一見すると巧妙に計画されたものですが、その裏には多くの被害者の苦しみが隠されています。友人を装い、信頼を勝ち取ることで、彼は人々を食い物にしていたのです。」
その夜、田中健一は自宅のテレビの前で報道を見つめていた。秋田俊已の逮捕と、その犯行の詳細が次々と明らかになる様子に、彼の心は複雑な思いに包まれていた。
「友達を食い物にするトモグイ…」田中は静かに呟いた。
秋田との思い出が頭の中を巡り、かつての友情が偽りのものだったことを痛感した。彼は秋田を信じ、共に歩んできたが、その全てが欺瞞の中にあったのだ。
田中健一が秋田俊已について「友達を食い物にするトモグイだった」
と事件を振り返えった。秋田が信頼を裏切り、自分の利益のために友人たちを犠牲にしていた
田中は拳を握りしめ、秋田への怒りと悲しみを押し殺した。
しかし、田中はただ怒りに身を任せるだけではなく、この事件を通じて何かを学び、前に進むことを決意していた。彼は、自らの信念を新たにし、真実を追求する道を歩むことを誓った。
テレビの画面では、渡辺恵理子の解説が続いていた。田中はその声を聞きながら、新たな事件
へ臨むを決意した。そして、自分自身と向き合い、未来へと一歩踏み出すための新たな旅立
ちを心に誓った。
【友喰い】 失踪した友達 完結




