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不幸の中の幸福  作者: みずかがみ
4月7日現在
27/39

洗濯物干しのロープ

ゆっくりと部屋を物色する

何か死ねる物はないか?

百円均一で買った

ナイロンで出来た

両はしがプラスチックのフックになっている

洗濯物干しのロープがあった

よしこれで首を吊ろう

その他の感情はなかった

ただ今すぐ死にたい

それだけで頭がいっぱいだった


作り付けの洋服箪笥の取手に

ロープをくくり付ける

軽く下に引っ張るが結構頑丈だ

これなら大丈夫そうだ

少しロープは細くて

場所は低いが座る感じで

首吊りができる

私は長いロープを取手に

グルグルと巻きつけ

長さを調整する

もう片方を輪っか状にして

首吊り準備完了だ


今から死ぬのか

しょうがない他に逃げ道はない

そう自分に言い聞かせる

ゆっくりと輪っかを首にまく

そして座り混む感じで

体重を首にかける

ロープが細くてとても痛い

しかしお構いなく体重をかける

だんだんと首は締まっていく

胃液でも唾液でもない

吐瀉物が出てくる

もう少しだったその時

取手に巻きつけていた

ロープが外れて床にペタンと座り込む

ゴホッゴボッ更に吐瀉物が出る

私の服は吐瀉物でドロドロだ

また失敗してしまった


汚れたまましばらく咳き込む

なかなか死ねないな

死ぬって難しいな

そんな事をぼんやり考えていた

まだ死にたい気持ちはあったが

喉の痛みでもう一度

とはならなかった

もっと太いロープで

しっかり固定しなくちゃ無理だな

私はそんな事しか考えられなかった


とりあえず吐瀉物で汚れた服を着替え

少し汚れた床を掃除する

その日は喉の痛みで

なかなか寝付けなかった


翌日派遣会社の担当者が

部屋まで来て

数日中に出て行く様に言われる

私はその日のうちに荷物をまとめ

部屋の鍵を返しに事務所まで行く

事務員は冷たい対応で

鍵を受け取るとすぐに

パソコン業務に戻る


電車に揺られ帰路につく

私はうつ病は怠け病だと思っていた

知識もほとんどなかった

家に帰ると同棲していたそのままだ

歯ブラシは二本

コップもお揃いの2つ

至る所にクミさんの抜け殻があった

それら抜け殻が私を現実に戻す


別れたんだよなぁ

結婚まで考えていたのに

私はまずクミさんの抜け殻を

捨てることから始めた

お揃いで買った猫プリントのマグカップ

これはお気に入りだから取っておこう

これは捨てようだんだんと

空白が目立つ食器棚

その日はそのままで眠りにつく


翌日に最寄り駅から一駅の

昔から存在は知っていた

メンタルクリニックに行く

予約制だったのだが

なんとか診察を

ねじ込んでもらった

他にも精神病院はあったが

近くだし前から知っていたので

深く考えず前もって調べもせず

そのメンタルクリニックに行く


そのメンタルクリニックは

最悪だった

初診からどんな症状なのか

聞かれたので

今はとにかく死にたい

私の心からの叫びだった

それを聞いた医師は

ハハハと笑い死んだら良いですよ

こう答える

私はびっくりして今すぐにでも

死にたい気持ちになった

この医師は信用出来ない


このメンタルクリニックを

選んだのが私のミスだった

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