表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合園の誓い  作者: 川島
第二章〜百合園の舞踏会 Ⅲ〜
49/96

9

 ーー両腕を失い、見に纏う白衣を真っ赤に染め上げ、地に伏せる女の無様な姿をエルは天から俯瞰していた。


(おかしい)


 とエルは思う。


 あまりにも呆気なさすぎる。


 ここまで手の込んだ仕込みをしておきながらこの結末だ。


 エルは地に伏せる女の元に舞い降り、その眼前に立った。


「何を企んでるか」


 エルの手中に純白の粒子が湧き上がる。


「答えて」


 エルは女の頭を思い切り踏み付け、手中の粒子を槍の形に圧縮し、それを足元の女の喉元に突き付けた。


「っぐっ」


 エルの足に縫い付けられるかのように抑えられ、女は思わず苦痛に喘ぐ。


「早く」


 エルは純白の槍を足下の彼女の首筋に這わせた。


 槍の先端が触れた箇所から血が流れる。


「答えてくれない?」


 しかし、血塗ろの女は何も答えない。


「そう」


 エルは呆れたように息を吐く。


「それじゃあさようなら」


 エルは純白の槍を足下の女に目掛け、振り下ろした。


 ーーガキン。


 しかし、その刺突が女の元まで届く事はなかった。


 何故なら大剣の刃の表面に阻まれたからだ。


「なんだ、随分と早かったね」


 と女は口角を歪め、大剣を握り、エルの槍を受け止める者に視線を向ける。


「そっちは、やられるのが随分早かったみたいですね」


 そして、それにその者は笑って答える。


 顔は狐のお面(文化祭の出店に売ってる手作りのお面)に隠され、見えない。


 だけど、その声からその者が女の子だということは分かる。


「何者?」


 エルは問いを投げるが、それに狐の面の少女は答えず、エルの槍を払い除け、大剣を振るう。


「っ!」


 真横一線に振るわれた大剣にエルは真後ろに吹き飛ばされた。


 普通の人間ならば脚と胴体が分離してるだろう。


 だけど、エルには効かない。


 攻撃の衝撃に飛ばされただけで、無傷だ。


 擦り傷すらない。


 この一閃でエルがどうにかなるなどとは誰も考えてはいない。


 一秒、二秒、エルの意識を逸らすことが目的だった。


「アル、これが例のものです」


 狐の面の少女は、その手の中にある純白の石を地に伏せる女に向けて放り投げ、それを血塗ろの女ーーアルは口で受け取った。


「!」


 エルは驚きに目を開いた。


(あれは私の魔法ーー、まさか!)


 そこでようやくエルは目の前の者達の目的を理解した。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ