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百合園の誓い  作者: 川島
第二章ー百合園の舞踏会ー
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2

 そのまま会議は進み、協会の方針、魔導師協会への対策、S級剣士の近況報告、等の話を終えると、ついにその話題を迎えることになった。


「次は、例の組織について、報告せよ」


「了解」


 それに男が返事する。


「あー、まずは何から説明すればいいのかわかんねえが」


 それは少女の傍らの男の声だ。


「まあ、一言にまとめるならよ、今月に入ってA級以上の剣士が殺されまくってるってんだ」


 相変わらずの軽い調子で告げる。

 それに対して方々から指摘の声が飛んでくるも彼は無視し、言葉を続ける。


「しかもな、その殺され方っつーのがまた異常でな」


 男は誰も見えないのに自らの眉根を指さし、そこを示す。


「眉間に穴を開けられ、殺されていたんだ」


 そして、カサっと男は懐から書類を取り出す。

 この暗闇の中では文字までは見えないものの男が何らかの書類を手にしたことは、紙の擦れる音で他の者に伝わった。


「詳しくは後で書面にして渡すけどよ、警戒レベルは上げといたほうがいいぜ、老い先短いジジイ共」


 男に挑発のつもりは一切ないものの、結果的に煽るような形になった彼のその言動で、老兵たちは憤慨する。


「口を慎め、若造が!」


 男は頭をかきながらそれらを鼻で笑い、


「ああ、すまんすまん」


 どこまでも誠意なく謝り、そのまま続ける


「まあ、どちらにせよ、S級(おれら)が襲われるのも時間の問題だろうがよ。てめえらも気を付けておけ」


 男はその言葉を暗中にいる同胞に向けた。

 すると、その端々から返事が飛んでくる。


「うーっす」


「わかってまーす」


 それは彼の同胞。つまりはS級剣士の返事。それを聞き、男は満足そうに頷き、言葉を閉める。


「まあ、俺の報告は今のところはこの程度だ。 まだまだ雲間に差し込む陽光のように尻尾を掴めねえ組織ではあるが、今後も俺のところで同行を探っていくからよ、何か分かればまた報告する」


 そこまで話し終えると彼は口を閉じた。

 それから司会進行が、この場にいる他の権力者にも他に何か報告はないかを問い、誰にも何もないことが分かると、高らかに会議の終了を宣言した。


「それでは、三権会議を終了する。各自解散せよ」


 会議は終わり、男は懲りずに隣の少女の頭に手を乗せた。


「おう、嬢ちゃん。どうだ、飯でもいくか?」


 その手を払い除け、彼女は言う。


「なんじゃ、デートの誘いかのう」


「はんっ、なんだデートがよかったのか? だが、生憎だけど俺はガキのままごとに付き合ってる暇はーー、」


 そう真面目に答える男に、彼女は鼻で笑う。


「たわけめ、冗談に決まっておろう」


 そして、老人のような青年のような少年のような少女は、最後に彼に言葉を向ける。


「いつもの場所で待っておるぞ」


 彼女はそれだけ言い残し、暗中から姿を消した。


「んー、了解」


 その後を追うように彼の姿も消える。

 そして、その室内から全ての気配が消えたのだった。

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