私は貴方を許しています
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「オレが嫌い......ね」
千歳の叫びを聞き、オレは渇いた笑みを浮かべた。ふと見やると、オレの顔を憤怒に染めた目で見つめる千歳の顔。
「別に、お前に嫌われようと構わないさ。オレにとって、お前は大して重要な存在じゃないからな」
その本心からの言葉を、千歳は真正面から受け止める。
「勇也が悲しんでるって言ったな。オレが苦しむことで、勇也は傷つき、苦しんでいると。でもな、そんなこともオレにとっては構わないんだよ。オレにとって、そんなことは大事なことじゃないからな」
一呼吸置き、オレは言葉を紡ぐ。
「それにな、アイツが悲しむわけないだろうが。オレがあの時、あんな下らない意地を張らなければ、アイツは死ぬことなんてなかったんだ。オレが殺したも同然なんだよ。それに、『死者は自分を貶めた人間に家族や友人が復讐するのを望まない』なんて言うけどな、あれは嘘だ。あの時、立場がオレと優也で逆だったなら、オレは間違いなく優也を恨んでるよ。それこそ、殺してやりたいほどにな」
「............」
「恨んでねぇわけがねぇんだ。今頃アイツも、天国からオレを見てほくそ笑んでるだろうよ」
薄い笑みを張り付けたまま、オレは言葉を告げ終わる。
これで、もういいだろう。
「貴方は......」
千歳は、その重く閉ざした口を開けて言葉を放つ。そして次に放たれるのはオレへの侮辱の言葉だろうか。
「貴方は......罰を欲しているのでしょう?」
「!」
続いた言葉に、オレは思わず面食らう。
「貴方は、私を騙していた傍らで、私に罰してほしかったのではないのですか?」
「......」
「貴方のアダ名である『ユウ』。これは、貴方の存在感が勇也くんと比べて希薄なことから付けられたあだ名なんですよね? まるで幽霊のようだから......と。そのアダ名の起源を私が桐花ちゃんに問えば、私は全てを知ってしまう。貴方が勇也くんでないことも、全て。それでも、貴方は初めから彼女達に協力をあおぐようなことはしなかった。それはなぜ......?」
さらに言葉を続ける。
「自宅に宿泊させれば、必然的に正体が露呈する可能性が高まるのに、最終的に許容したのはなぜ......?」
その核心を突く言葉に、オレは何も言い返すことができない。ただ黙って俯くだけだ。
「貴方は心の底では望んでいたんです。私に全てを見破られ、勇也くんを奪ったことを咎められることを。先程の『死者は復讐を望む』という言葉。その復讐の標的も、そしてその復讐の執行者も貴方」
「...........」
「そして、私が全てを知った今、貴方の中で全ての準備が整った。あとは私を起爆剤に自らに止めをさすだけ。そうすることで、貴方は過去の過ちを自らに突きつけたがっている。自分がもたらした事の重大さを、自らに突きつけることで自らを罰しようとしている」
「............」
「......ですが、貴方の期待に応えることはできません。だって......」
言葉をそこで途切らせる。
「だって、私は貴方を許していますから」
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