第三十二話 とあるレールガンのココア
今回もSランク依頼が飛び込んできた。
書類には極秘との捺印がおされている。
「極秘なのにこんなオープンな場所で話していいんですか?」
「Sランク任務を受けられる人は限られてますから。
更に言うなら実行できる人は更に絞られます」
うーん。と思いながらも依頼書を見る。
なかなかに過激な内容だ。
少し声のトーンを落としていった。
「裏ギルドの襲撃、報酬10金」
それに合わせて受付嬢の声も小さくなった。
「最近、窃盗や強盗、殺人などを
請け負う裏ギルドの活動が活性化しており
当ギルドとしてはそれを問題視しております」
「あー俺パス」
ブリジットちゃんが言った。
確かに裏の世界に深く通じてる
ブリジットちゃんには受けづらそうな任務だ。
「襲撃って書いてあるんですけど
具体的にどうすればいいんですか?
全員この世から亡き者にしろってことですか?」
「お前さらっとすごいこと言うな」
苦笑いしながらも受付嬢は答える。
「本来なら根絶したいところなのですが
光あるところに闇あり。
仮に一度完全に取り除いてもこういう物は
またできてしまうんですよね」
もっともな話だと思った。
「ですのでこれは警告です。
最近あまりに動きが派手なので
威圧する目的で襲撃してほしいという事です」
なるほど、あくまでも威圧が目的ということは
まぁ雑に言えば適当でいいということですね。
私に向いてるかもしれません。
「受けます、好きにやっていいんですよね?」
「ええ。やり方はおまかせいたします」
その受付嬢の笑みには何故か邪なものを感じた。
「おいおい受けるのかよ……俺はいかないけど大丈夫か?」
「まぁ大丈夫でしょう!」
「気楽だなぁおい!?」
私はその足ですぐに裏ギルドの方に向かった。
裏ギルド。
表向きには依頼できないような、
危険な依頼を請け負う非公式な存在。
そのギルドは一見すると、吹けば飛んでしまうような
廃屋のような建造物。
ガシャンガシャンと足音を立てて
私はその建造物の正面玄関まで来た。
フルアーマーウェポンシステムのレールガンを起動する。
私は知っている。
あの一見ぼろぼろだが、とても堅牢であるということを。
だがどんなに堅牢だとしても関係ない。
彼らは戦車の砲撃レベルなら想定しているかもしれない。
しかしそれ以上ならどうだろうか。
私の心が高鳴るのを感じる。
私はブザーを鳴らす。
凄まじい、耳が割れそうになる。
これは警告。
裏稼業で生きる人ならわずかな異常にも敏感であるだろう。
私は頭の中でカウントダウンを始める。
10数えたらレールガンを撃つ。
7,6,5,4,3,2,1……
息を吸い込んで、その後吠えるように叫んだ!
「塵になれぇ!!!」
マッハ5の弾速を持つ高速飛翔体が建物に命中する!
凄まじい炸裂音、まるで雷が落ちたかのような衝撃音が周囲に撒き散らされる。
裏ギルドの建物は粉微塵に消し飛んだ。
結果から言うと死人はでなかったらしい。
なら良し! と私は胸を張った。
その日から私にはもう一つの渾名がついた。
『レールガンのココア』
ダンジョンブレイカーに比べると物足らないなと私は思った。




