前へ目次 次へ 14/20 14.それは、幸せの味がした 「ねえあなた、どこから来たの?」 答える義務もない、黙って睨み付けることにした。 隙を突いて、何度か逃げだそうと試みた。 しかしまわりこまれてしまった。 種族特性の『逃げ足』さえも、この『人』たちの前では無力であることがわかった。 私はその瞬間、あらがうことを諦めた。 「これ、よかったら食べてみて」 差し出されたのは、きれいな色の、丸い玉。 口の中に押しつけられる。果実を模倣したような甘い味が、舌の上で広がった。