213.独り言
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
自分の進むべき道を見つけグローリア案内所で仕事を行うナヴィ。
ナヴィとヴィオネットの会話を聞いてしまったレミアは。
「ここのこと、後はお前に任せた」
え……? 姉さまは何を言っているの。
ナヴィさんだってきっとこんなこと言われてもどう返していいか分からないだろうし……。
「……本気なんですかヴィオネさん?」
「あぁ。二言はない」
え、なんで熟考してるんですか。
だってナヴィさんは自分の案内所があるんですよ。ここには姉さまと私がいるのに……。
「……」
「なんだ、心配しているのか、レミアを」
「はい、こんなことあたしに言われたって……どうなるか分かりませんし」
待ってください。それ以上言わないでください……。
「やってくれるな?」
「……まぁそれに関しては断る理由もありませんね……もしそうなったら、の話ですし」
そん……な。
「ん? レミアか!?」
ヴィオネットは二人の死角で話を聞いていたレミアの気配に気づき、視線をレミアの隠れている方に向ける。
「え、うそ!? レミア?」
二人は椅子から素早く立ち、レミアの気配を感じた角を確認する。
「あれ? いない……」
「……おかしいな。レミアの気配を感じたんだが」
「ま、まぁたまにはそういう勘違いも……よかったですね。この話聞かれてなくて」
「あぁ、そうだな……ふぅ」
ヴィオネットは安堵の表情を浮かべ、体を壁にもたれかける。
「ん?」
壁についていた手を眺めたヴィオネット。
「ヴィオネさん?」
「あぁ、いや、何でもない。そろそろ寝るか」
「そ、そうですね。あたしレミアの様子をもう少し見てから寝たいと思います」
「そうか、よろしく頼んだ」
ナヴィは軽い会釈をし自室へと戻っていった。
「……この壁。少し温かいな……この範囲、少しだけ温度が違う」
「いや、まさかな」
多少の違和感を覚えつつもヴィオネットも部屋へと戻っていった。
ナヴィは自室で寝込んでいるレミアを彼女の部屋に移動させ、寝ていたレミアを眺めていた。
「ふー。よかったレミアは寝てて。ってまぁ当たり前か、かなりの生命エネルギーを使ったんだから、まず明日までは起きないもんね。それにもしあのヴィオネさんの話聞かれてたら、きっとレミアは立っていられないんじゃなかったかしら」
「ん、んん」
「レミア?」
仰向けの状態で寝ていたレミアは寝相を変えナヴィに背を向けるように横向きの状態になった。
「珍しいわね、今まではずっと仰向けで寝てたのに……」
「……ねぇレミア、聞こえてないよね? 寝てるよね?」
「……」
「あたしさ。ヴィオネさんにあんなこと言われて、思わず勢いであぁ応えちゃったけど、本当はどうしていいか分からなかった」
「……」
「でもね、その話をした時のヴィオネさんの目は覚悟を決めた目をしていた」
「……」
「その目を見てこの人は真剣なんだって思ったんだ」
「……」
「だけど、それだけじゃなかった」
「……」
「ヴィオネさんの瞳の奥、すごく悲しそうに、どこか遠くを見つめていた」
「……」
「あたしね。最初はなんでこんな人がアドバイザーなの? なんでスーザンさんはこの人を紹介したんだろう? そんな風に思ってたけど」
「……」
「今ならその理由が分かる。分かったというか、理解させられたって感じだけどね。あはは」
「……」
「まぁ今日のヴィオネさんの言ってたことがそのままそういう風になるっていうのは確率的にはものすごい低いことなんだけどさ。それでもそうなったら、あたしはあの人の力になりたいと思う」
「……」
「って何言ってるんだろうねあたし、レミアは寝てるのに」
「…………分かりません」
「え? 今なんかいった?」
「……」
「ってんなわけないか。流石に起きるにはまだ早いし。それじゃあたしシャワー浴びて寝るから。また明日ね。レミア」
ナヴィはレミアの部屋を出てシャワールームへと向かった。
「分かりません。ナヴィさん。あなたの言っていることも。姉さまの言っていることも。私には何一つ……」
レミアはナヴィが部屋から出た後にすぐに体を起こし、窓から見える月を眺めた。
「……でもあなた達にもきっと私の考えてることは分からないと思います」
「私は……どうすれば……」
レミアが体を起こし想い更けている中、ナヴィはシャワールームで今日の汗を流していた。
「なんか今日は最後に変な汗かかされたわね」
あたしここに修行? しに来たんだよね……。面倒って言ったら悪いけど。一か月くらいしたらすぐ帰る予定だったんだけどなぁ。
「あの姉妹仲が悪いわけではないんだろうけど……」
だけど、確かにそうなるよね。レミアからしたら。
才能に溢れた天才アドバイザーの姉。
そしてその後ろを歩くことしかできない妹。
「ヴィオネさんという存在がレミアの枷になっているのは間違いないんだろうけど」
「あたしには二人を見守ることしか……」
「あーんもうなんであたしがこんなこと考えないといけないのよぉ!!」
あたしの汗と一緒に流れてくれないかなこの悩みとヴィオネさんに託されたこと。
ってそんなこと無理か。
「はぁ」
ヴィオネさんの話だとあと一か月以内に奴らが来るはず。
というかいつ来てもおかしくないって言っていた。
「あたしにできるのはヴィオネさんの考えてることがそうならないように強くなるだけ」
まだまだ強くならなくちゃ。
そんな強い気持ちを固めナヴィはシャワールームを出て行った。
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第十二章 三十話 いかがだったでしょうか。
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