212.二人の食卓
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
自分の進むべき道を見つけグローリア案内所で仕事を行うナヴィ。
ナヴィとヴィオネット。二人の食卓。
レミアが療養している中、あたしとヴィオネさんは二人で食卓を囲んでいた。
レミアもいつもはこのくらいには目が覚めて料理をしてくれるんだけど、今日の怪我はいつもの数倍ひどい状態だった。
まぁあの様子じゃ明日の朝までは起きないわね。先にレミアの分も取っておいたし明日起きたときにでも食べてもらおう。
「おい、ナヴィ。もうねえのかよ」
「え、ヴィオネさんいつもと同じ量ですよ……? ヴィオネさんのは十人前で作ったんですが」
「あ、そうか? なんか足りねぇんだよなぁ」
「あれだけうちの郷土料理は食べたくないって言ってたのに……」
「味の話じゃねーよ。量の話だっつってんのバーカ」
「馬鹿は余計ですよ馬鹿は!!」
「馬鹿に馬鹿っつって何がわりぃんだよ。いや、雑魚の間違いだったか?」
「もう……!」
ヴィオネさんのいじりにももう慣れてきた。本心じゃないのはなんとなーく伝わってくるし、なんだかんだであたしのこと好きなのよねこの人。
「あ? なんだその目は……? ぶっ殺されてぇのか?」
「あーはいはいすみません。もうそういう目はしませーん」
こういうところは意外と子供というか、無邪気なんだよね。
「そのにやけ顔腹立つな! 一発殴らせろ!」
「ちょ、食事中ですよ! 立ち上がらないでください!」
「関係ねーよ! うっ!?」
「ヴィオネさん!?」
どうしたんだろう、立ち上がった瞬間に急に脇腹抑えて……。
「っ。はぁ、はぁ、はぁ。まぁいいわ。今日は許してやる」
そういうとヴィオネさんは傷にひびかないようにするかのようにゆっくりと席に着いた。
「あの、もしかしてレミアとの特訓で……?」
「あぁ、それも少しな。いやぁあいつもここ最近でぐんと強くなりやがった」
「そりゃ毎日あんな戦闘してたらいやでもヴィオネさんに引っ張られますよ」
「それもそうだな。はぁ」
あれ、いつもだったらこういうこと言うと
『お前もやるか?』
とか言ってからかってくるのに。
「いやぁ特に今日の最後のレミアの一撃は効いたぜ。捨て身で自爆特攻してくるんだから焦ったぜ」
「え!? レミアが特訓でそこまで?」
「あいつはそういうやつだ。いつでも俺に勝とうと目をぎらつかせてる。追われる側の立場の身にもなれっつーんだよなぁ」
「追われる側……今日は少し長めの睡眠でしたよね。それもそのレミアの特攻が?」
「まぁそれもそうだな……」
なんだろう。いつもは白か黒か。はっきりものを言うヴィオネさんだけど。今日はなんか違う……。
『あぁ、それも少しな』
『それもそうだな……』
違うものは違うって冒険者にでもいうヴィオネさんがここまでの言い方になるなんて。
「あのヴィオネさん、もしかしてこれからなにかあるんですか?」
「あ? 何かってなんだよ」
「分かりません。ただここ最近のヴィオネさんの様子がどうもおかしいというか……特に今日なんですけど。なんだか生き急いでるような気がしていて」
「……そりゃサーティーンプリンスターがいつ来てもいいようにお前らを特訓してやってんだ。早いに越したことはないだろ」
「……本当にそれだけですか?」
「は?」
「それ以外に理由があるんじゃないんですか?」
「何言ってやがんだてめぇ」
ヴィオネさんの目つきが変わった……この逆鱗に触れるのはやばいかもしれないけど。
さっきから様子が変だし。
それに、あのゴミ袋の中も。
「本当は今日あたしに何か話すつもりなんじゃないですか?」
「どういうことだ」
「今日のレミアの怪我。自爆特攻だけのものじゃありません。むしろ正確に、適切に、治療を行う際の生命エネルギーを多く使うところが重点的にやられていました。つまり意図的に回復をするレミアが起きないように攻撃していたってことじゃないでしょうか?」
「お前……そこまで……」
「レミアに聞かれたくない話なんですね」
「……ふっ。肩書だけのペーペーだったお前にそこまで見抜かれるとはな」
あ、ヴィオネさんの張っていた肩の力が抜けた。
「あぁ、そうだ。今日はお前に話が合ってレミアをあの状態にした」
この真剣な表情はきっとただごとじゃないわね。
「やっぱり……話を聞かせてください」
「……あぁ」
一方、その頃回復魔法を掛け終わったレミアが目を覚ました。
「……ん、んうう。あれ、あぁそっか。今日も負けてしまいましたか」
体は痛いし治って言ってる感じはするけど……トイレは我慢できないです。
「よいしょ。いたたた。体を起こすのも精一杯ですね」
この激痛で一階まで降りれるでしょうか。って登るのも大変ですね。
「でも。生理現象には勝てません!」
「どういうことですか! ヴィオネさん!」
え、ナヴィさんの叫び声? 一階から……。
「とりあえず気づかれないようにそーっと降りてっと」
私が今日は料理を作ってないので、ナヴィさんと姉さまが二人なのはわかりますがどうやら深刻な雰囲気みたいですね。
「よし、ここならばれずに聞こえる」
「ヴィオネさん。今の言葉もう一回言ってもらえますか? あたしには理解ができません」
「何度でも言ってやろう。ナヴィ。ここのこと、後はお前に任せた」
え……?
最後までご覧いただきありがとうございました!
第十二章 二十九話 いかがだったでしょうか。
少しでも面白いと感じていただけたら、評価、レビュー、感想、ブックマーク、ぜひお願いいたします!
こちらの作品は平日に2000~3000字ほどで朝6~8時を目安に更新しています!
ぜひ次回もご覧ください!(今年から土日祝日はお休みでいきたいと思います!)
ヴィオネットの真意とは。




