カラオケボックスにて ~気遣い、気遣われ~
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「~~~♪ ~~~♪」
「驚いたな……聞いていたよりも恐ろしく歌が上手いな……これでは益々私が歌う事が出来ないじゃ無いか」
一曲目を歌い終わるとかなり驚いた表情で僕の事を見ながらそう言ってきた。
「そうですか? それはありがとうございます。でも、僕は三時間くらい歌い続けないと喉があったまらないので多分こんなもんじゃ無いですよ? それに実はこれ新曲ですし……」
驚いた表情をしている藍さんに僕はあっけらかんとした表情でそう言った。
「……」
僕のそんな表情に藍さんは何も言えないようで、口を開けたまま僕の事を見つめていた。
「うー? 何か僕おかしな事言いました? おーい」
僕は藍さんの顔の前で思いっきり手を振りながらそう声を掛けた。
「……あ、あぁ、すまない何か物凄い事を言われたしたから、つい現実逃避してしまった。もしかして月見里君も創君と同じくらい上手いのか?」
何とか現実世界に戻ってきたようで藍さんは僕にそう尋ねてきた。
「? 僕何かまだまだですよ? 間違い無くハウの方が上手いですよ?」
僕は何故ハウの事を聞いてきたかは少し疑問に思ったが聞かれた事に素直に答えた。
「月見里君から聞いた限り、創君の方が上手いと聞いていたから驚かない訳にはいかないだろ?」
藍さんは信じられないものを見るような目で僕の事を見つめていた。
「ハウも嘘ばっかりついて、あんだけの歌唱力があって自慢しないし、イケメンだし僕には敵う所何て一つも無いくらい自慢の親友ですよ……でも、藍さんもハウに惚れちゃダメですよ? 知っての通り藤林さんっていう可愛い子がいるんですから、いくらハウでも嫉妬心から僕が何するか分からないですから……」
藍さんを取られしまうしまう心配からほんの少しだけ睨みつけるように藍さんに視線を向けた。
「……心配しなくても、私は創君の事しか愛していないよ。それよりも私の方が心配だ、今の創君ならモテるだろう?」
一瞬言葉を飲み込んだように見えたが、藍さんは僕にそう言ってきた。
もう一年近く藍さんと一緒に居たので藍さんが言いたかった言葉を飲み込んだのは容易に想像が出来た。
「あはは……それは心配しなくても大丈夫ですよ? 基本的に僕は人を信じていないですから、ハウや藍さんが特別なだけです」
僕は藍さんの気遣いを無駄にしない為にも、今の僕が出来る限りの笑顔を藍さんに見せた。
「おっ? それだと私月見里君に嫉妬してしまいそうだな……」
僕の表情の変化に気が付いたのだろう藍さんも僕と同じように戯けたような表情をしてそんな冗談を言ってきた。




