50話⑱
一方、時を戻し、絵美を乗せた周一の車は、黒鉄家の人間しか入れない聖域に向かっていた。その聖域の名は黒刃の花園。代々の黒鉄家だけにしか入ることを許されない特殊な聖域であり場所であった。周一と絵美が乗った車が聖域の近くにやって来る。そこに係員がやって来たが、周一の顔を見て、聖域に入れた。車を止め降りた周一。それに続いて絵美も降りる。二人は聖域に咲く花を見ながら歩いていた。黒刃の花園は色とりどりの花が咲き乱れ、特殊な花が咲くといわれて聖域であった。絵美は花園に咲いている花々を眺めながら周一に話しかけた。周一は応対し花園を歩いていた。そしたら、絵美が何か決心がついたような顔をして周一の方に向いた。周一は絵美が何か真剣な表情で自分を見ていることに気づき、声をかける。
「どうしたの?」
問いかけると絵美は
「あ、あのね・・・わ、私・・・あ、貴方のことが・・・周一くんのことが・・・好きなんです!!・・・だから・・・私と付き合ってくれませんか?」
途切れ途切れに周一に告白する絵美に周一は翳りのある表情を浮かべていた。絵美はその表情を見た途端、悲しそうな表情を浮かべながら、周一に背を向けて今にでも、この場から離れたい、逃げたい衝動に駆られていた。しかし、それは無駄に終わった。それは周一が絵美の手を掴んでいたからだ。絵美は周一の方に向くと、彼女が見たのは、彼の、周一の穏やかな表情であった。
周一は絵美が逃げだそうとしたとき、自分の内心ではこう思っていた。
「(絵美・・・君の気持ちは嬉しい・・・君は僕が黒鉄家でも・・・僕を周一として見てくれた・・・僕にとってはそれが一番嬉しい・・・だから・・・君の思いは無駄にしたくない・・・僕がこの命をかけて君を守りたい!!)」
そう思っているうちに決心がついて、知らないうちに絵美の手を握っていた。絵美は振り返る。自分の穏やかな表情を見て見とれていた。周一は絵美の手を握った状態であることを尋ねた。
「絵美は僕のことを黒鉄家の御曹司として見ずに周一としてみてくれたんだよね?」
「うん」
絵美は周一の問いに頷きながら言う。周一はそれを聞いて
「ありがとう・・・僕はそれに救われるんだ・・・だから・・・僕が改めて言うよ・・・絵美・・・君のことが好きだ・・・付き合ってくれるかい?」
絵美は周一からの告白を聞いて、涙が流し始めた。だが、それは悲し涙ではなくうれし涙である。彼女は目元の涙を指で拭いながら
「はい」
返事をした。そしたら、彼女は周一に抱きついて胸元に埋まった。周一は彼女の頭を撫でる。途端に彼女は彼の胸元に埋まった。しばらくの間、周一は絵美の頭を撫でていると花園の奥の方から微かな光があり、二人は顔を見合わせ、光がした方向に歩き出した。そこにあったのは、黒く艶のある一輪の花が咲いていた。周一はその花を見て驚愕の表情を浮かべる。絵美は彼に「どうしたの」と尋ねると彼は
「あの花は黒刃の花・・・この聖域が特殊なのはあの花が咲くことで有名だからだ・・・この聖域の名もあの花があるからそう呼ばれている」
周一はそう言いながら花に近づき摘み取る。摘み取った花を絵美に手渡そうとした。絵美は何故、私にといった表情をしていた。
「この花は代々黒鉄家の人間が心身共に成長したときに咲き・・・そのものが愛する者に渡せば幸福をもたらすと言い伝えられている・・・絵美・・・これは・・・僕の誠心誠意のプレゼントだ・・・受け取ってくれるかな?」
周一は絵美に黒刃の花を手渡そうとする。絵美は穏やかな表情で花を渡そうとする彼の顔を見て、嬉しすぎて昇天しそうになっていた。そして、彼女は花を受け取るとうっとりと花を見ていた。周一は懐から端末を取り出し、時刻を確認した。確認した周一は絵美を連れて車に戻り、車に乗せた。
「家まで送ってあげるよ・・・「ギュッ」・・・絵美?」
絵美は周一の制服の袖を握る。袖を握りながら
「いやっ」
「でも・・・「やっ」・・・っ・・・わ、わかった」
周一は若干顔を赤くして車を発進させた。内心では
「(甘えん坊の絵美・・・か、可愛すぎる・・・自制しろというのが無理な話だ・・・仕方ない・・・家に泊らせよう)」
周一は絵美を今夜だけ黒鉄家に泊まらせることにした。車を移動させながら周一はこう思った。
「(それにしても・・・僕や陸遄、煌大は随分と現金だな・・・全く・・・色に染まるのも大変だな・・・)」
などと思っていた。その間、絵美は黒刃の花をずっと見ていた。さらに言うと、花園の係員は既にシュウに報告していた。
黒鉄家に着くと、周一は車を車庫に止めて、絵美を連れて家の中に入るとすぐにやって来たのは、妹の周姫である。周姫は周一に抱きつき
「お帰りなさい・・・兄様」
「ただいま・・・周姫」
周一に抱きついた周姫はすぐさま離れて絵美の方を見る。絵美はいきなり、周一に抱きついた周姫に嫉妬していた。周一はむっとしている絵美を見て笑みをこぼす。何故か、周姫まで笑みをこぼしていた。周姫は笑みをこぼしながら自己紹介をした。
「私は黒鉄周姫・・・14歳、周一兄さんの妹です・・・よろしくね」
絵美は周一の隣にいるのが妹だと知ると
「えっ?・・・妹さん?・・・それじゃあ・・・私・・・//////」
絵美は顔を赤くしながら言っているとそこに
「何しているの?」
階段の方から声が聞こえてきて三人は階段の方に振り返ると周一は
「ただいま・・・母さん」
「お帰り・・・周一」
周一の母は降りてくると母も絵美の方に向いて、優しそうな笑みをして
「こんばんは・・・黒鉄家当主・・・黒鉄秀二の妻、黒鉄小喬と言います」
小喬は自己紹介すると絵美も自己紹介しようとしたが、小喬が
「それじゃあ・・・周姫・・・絵美さんを部屋に案内して・・・周一は秀二の方に行きなさい」
「分かりました・・・母さん」
「了解です」
周一は父の所へ、周姫は絵美を連れて部屋に案内させた。小喬は周姫たちの後ろについて行った。絵美は二人に案内されるがままになっていたが、向かっている最中に
「どうして・・・私の名前を?」
「それはね・・・学院の名簿を全部見ているのよ・・・そして、家のことまで全部ね」
「どうしてそんなことが?」
「私たちは世界最強の組織『ジ・エンパイア』の幹部・・・特に秀二はね・・・『ナイト・オブ・ラウンズ』の二の剣士よ」
絵美は小喬からもたらされた話にえっといった表情をしていた。つまり、黒鉄家は『ジ・エンパイア』の関係者、しかも、当主が『ナイト・オブ・ラウンズ』の『ナイト・オブ・ツー』である。周一はラウンズの息子。この事から推察される答えは
「じゃあ・・・陸遄くんも・・・ラウンズの息子?」
「陸遄・・・姉さんの息子さんね・・・そうよ・・・陸遄くんも・・・『ナイト・オブ・ワン』・・・白鉄龍樹の息子さんであり・・・姉さんの息子でもあるの」
「姉さんというのは?」
絵美は先ほど言った姉というのを問い返すと周姫が
「私のお母さんと遜姫ちゃんのお母さんは姉妹なの」
周姫はそう応えると絵美は今までの話をつなぎ合わせると
「つまり・・・陸遄くんと周一くんは親戚同士?」
「その通りよ」
小喬は事実を述べると三人は部屋に着いた。周姫は絵美を部屋に入れさせると小喬は絵美を寝間着に着替えさせた。そして、二人は絵美を部屋に置いて出て行った。絵美を入れさせた部屋は周一の部屋であった。
周一は父である秀二がいる書斎に入ると秀二は周一を見て
「お帰り・・・周一」
「ただいま・・・父さん」
「どうやら・・・自身を見てくれてくれる女の子が見つかったようだね」
「はい・・・父さん」
「それは良かった」
秀二は安心しきった顔をして周一に
「明智・ゴルディア・絵美か・・・優しい娘を恋したな」
「どういうこと?」
「ゴルディアと聞いて・・・何が思いつく?」
「確か・・・英国貴族の名前だよね」
「あぁ・・・あの子は半分が英国人の血を引いているらしい」
「つまり、日本人と英国人のハーフというわけね」
「そうだ・・・僕たちにとって危険なのは・・・彼女を利用して関係を持とうとする向こうの家がどう動くか分からない」
「分かったよ・・・彼女(絵美)を僕が守れば良いだろう・・・父さん」
「分かっているならよろしい・・・だったら、彼女に僕たちのトレードマークを付けるかい?」
「それは僕がやるよ・・・それに彼女自身が決めさせよう」
「確かにそれが一番良い・・・他人の生き方を強制するのは良くない・・・とは言っても・・・明日にでも答えが出るかもしれないがな」
周一は秀二が言ったことに疑問符を浮かべていると
「とにかく・・・今日はもう休め・・・明日も早いのだろう?」
「はい・・・それでは失礼します」
周一は書斎を後にすると秀二は龍樹に連絡を入れた。
「久しぶりだね・・・ハクリュウ」
「お前もな・・・シュウ」
「何か良いことでもあったのか?」
「まぁな・・・お前もだろう?」
「まあね」
「息子たちを見ると・・・昔の自分たちを見てしまうよ」
「そうだな・・・あの時の俺たちは荒れていたからな」
「あぁ・・・そして・・・ギンと出会った・・・彼奴と一緒に冒険していくうちに柵も関係なく楽しめたな」
「あぁ・・・そして・・・白帝煌でカキュウたちと出会い・・・恋をしたな」
「そうだね・・・戦乱の時代・・・ギンは僕とハクリュウを右腕と左腕にしてくれた」
「それだけの信頼があった・・・俺たちの腕を認めていた」
「人格もね」
「今思うと・・・ギンに出会っていなかったら・・・あの世界でのたれ死んでいたかも知れないな」
「そうだね・・・とにかく、今は・・・次世代の彼奴らの支援だな」
「あぁ・・・どんな敵でもねじ伏せてやる」
「そうだね」
龍樹ことハクリュウと秀二ことシュウは書斎内で闘気を高めていた。二人の会話を聞いていた華喬ことカキュウと小喬ことショウキュウも闘気を高めていた。
周一は自分の部屋に向かい、自分の部屋の前に着くと部屋の中から感じる気配を『見聞』で調べると周一は母さんと周姫を恨んだ。そして、部屋に入るとそこには案の定、絵美がいた。だが、違う所は寝間着を着ていたことである。彼は寝間着を着ている彼女の姿に見とれてしまう。彼女は彼に「着替えないの?」と言われたので彼はすぐに着替え始めた。寝間着に着替えた周一は絵美を連れてベッドの上に横にさせた。周一はすぐに眠気が襲ってきたのですぐに眠りが入って眠ってしまった。絵美はというと周一の寝顔を見ていて、顔を赤くしながら眠りに入った。




