50話⑯
煌大は清恵の自宅に着くと、エンジンを切って清恵が来るのを待った。待っている間、煌大は昨日、マスターからもらったメモリーチップの中身を端末に入れ込んで見ていた。5分から10分経過した後、清恵が自宅から出て、煌大の所に向かって走ってきた。煌大の所に着き、息を切らしながら
「ごめん待った?」
「いいや・・・それ程、ま、っていないよ・・・」
煌大は途切れ途切れに言った。何故なら、清恵が少々おめかしをしてきていたからだ。清恵はもじもじとしながら
「ど、どう、似合って・・・い、いるかな?」
言ってきた。煌大はというと
「うん!!・・・似合ってる・・・美雪姉以上に綺麗だ!!」
グッと親指を立てながら言う煌大に清恵は
「そ、そんな・・・美雪より綺麗なわけ・・・」
「謙遜すんな・・・清恵は素の状態でも美雪姉とはれるほどの美少女だ!!・・・自信を持てって!!」
「うん・・・そうだね」
清恵は煌大の言葉で自信を持ち、煌大に抱きついた。煌大は抱きついてきた清恵の頭を撫で始めた。清恵は煌大に頭を撫でられていることで気持ちよさそうな顔をしていた。数分後、煌大から離れる清恵は煌大からメットを受け取りかぶる。そして、先にバイクに跨がって煌大が来るのを待った。煌大はメットをかぶってバイクに跨がり、アクセルを握る。そしたら、清恵が抱きついてきた。嬉しそうなのか、今まで以上にギュウゥっと抱きついた。煌大は背中から伝わる柔らかい感触によって顔を赤くするが極力無視した。バイクを学院に向かって発進した。
煌大と清恵は駐車場に着き、バイクから降りて、学院まで歩き始めると清恵は煌大の左腕に組んで一緒に歩いていると、背後から
「煌大くん~~」
と声をかけられたので、二人は振り返ると、白崎会長が走ってやって来た。煌大と清恵の所にやって来ると
「煌大くん・・・おはよう・・・えぇっと君は?」
「私は光伊清恵と言います」
清恵は白崎会長に自己紹介すると会長も
「生徒会会長の白崎真由美と言います・・・それよりも清恵さん・・・煌大くんとはどういった関係で?」
会長は顔を引き攣りながら清恵に煌大との関係を尋ねると
「俺と清恵は付き合っています・・・それが答えですが・・・会長?・・・どうかしましたか?」
煌大が代わりに応える。だが、会長はその応えを聞いて、固まってしまい、そしたら、何かを言いながら走って学院に向かっていた。二人は首を傾げたが、清恵はハッとなってすぐに会長が思っていたことを理解できた。煌大もあっと声を上げ、分かってしまったようだ。
「会長・・・もしかして・・・失恋をしてしまったとか?」
「うんうん・・・そうだと思う」
「清恵がそう言うのなら・・・そうなんだろうな」
「えっ?・・・疑わないの?」
「疑うもなにも俺に女性の気持ちなんて理解できるかよ」
「そうかなぁ・・・煌大くんは理解できると思うけど・・・」
「清恵の気持ちならな!!」
「そ、そういうことは言わないで・・・!!/////////」
清恵は顔を赤くしながら言う。とにかく、分かったことは二人が周囲から注目を浴びていたことだけは分かっていた。
煌大と清恵は教室に入っていくと陸遄と亞矢は既にいて、二人は自分らの席に着くと、清恵と亞矢は煌大と陸遄の席に行く。
「陸遄・・・亞矢の迎えに向かったのか?」
「あぁ・・・そうだが・・・お前こそ・・・清恵の送り迎えをしているんだろう」
「まぁな」
そこに清恵と亞矢がやって来て
「そういえば・・・陸遄くんの名前って何なの?」
「確かに聞いていないね」
清恵は陸遄の名前を尋ね、亞矢は初めて会ったときに聞いていないことを思いだした。
「何だぁ?・・・言っていないのか・・・陸遄」
「あぁ・・・まだ言っていない」
「そうかい・・・名前ぐらいは自分で言えよ」
「分かったよ・・・俺の名前は白鉄陸遄だ・・・改めてよろしくな」
陸遄は自分のフルネームを名乗ると清恵と亞矢は白鉄という名字に覚えがあった。
「白鉄ってまさか・・・名門の白鉄家のこと!?」
「あぁ・・・」
「あぁって陸遄くん・・・その反応はないでしょう!?」
清恵は陸遄の反応に反論する。亞矢はというと
「(陸遄くんの顔・・・前の煌大くんと同じ顔をしている・・・それよりも陸遄くんが名門中の名門の白鉄家の少年・・・私・・・こんな人に惚れてしまったの!?)」
内心で赤くしている亞矢であった。その後、教室に講師が入ってきたので、話は中断になったが、放課後にその話の続きをした。
放課後、煌大たちは仕事を終えて、昨日と同じ店でお茶をしていた。さらに美雪姉、結女姉、彩華姉だけではなく、周一たち、絵美たちまでついてきた。清恵は陸遄に何故、名字を言わなかったのか尋ねると
「俺の名字に興味を持ち、媚を売るような奴らを死ぬほど見てきたからだ」
陸遄はそう言うと清恵はそうと呟いてお茶を飲み始めた。その間に絵美たちは陸遄たちの名字が何なのか尋ねると陸遄たちは名字と名前を明かした。
「僕の名前は黒鉄周一だよ・・・改めてよろしく」
「私は黄瀬明梨よ・・・よろしくね」
「俺は山吹秋雨・・・よろしく」
「自分は碧川虎次郎だ」
「僕は木下宗治・・・よろしく」
「宇武谷二狼・・・よろしく」
「私は九重白瑛と申します」
「笹野宗吉だ」
「龍前紅葉と言います」
「自分は聖果凛です」
周一たちは自己紹介したら、清恵たちは何やらメモを取っていた。確かに10人ぐらいの人数の名前を覚えるのは大変である。そんな中、亞矢は煌大たちにあることを問いかけた。
「周一たちも名家の生まれなの?」
「周一がね」
「残りは両親が『剣帝』の直属の剣士だからだよ・・・そのおかげで名家に近い資金を持っているだけだよ」
亞矢の問いに明梨が答え、果凛が詳しく教えた。そしたら、美雪姉たちが
「もともと・・・煌大、陸遄くん、周一くんは・・・大人やら年の近い女子たちから婚約話が多かったの・・・」
「しかも・・・8歳の頃からだぜ・・・そりゃ、気が滅入るだろう」
「父さんや小雪さん・・・陸遄の両親、周一の両親は当然怒り・・・圧力をかけた・・・」
「そういうのはともかく・・・煌大、陸遄、周一たちの人生を潰したくなかったの・・・父さんたちは・・・かつての父さんたちもそうだったように・・・」
美雪姉たちの説明に優が
「つまり、煌大くんたちの両親はかつての自分たちと同じようなことはしたくなかったということ?」
問うと、結女姉が頷いた。
「あぁ・・・陸遄と周一の父親は名家生まれで10歳の頃から婚約話があったそうだ・・・彼らは嫌気をして、ついには世界最強にして最悪、災厄のゲームGROの世界に転送された・・・彼らの両親は積もりに積もった負の感情が限界を超えて苦しめたのでは無いのかと言われていた・・・彼らの両親は自責の念で一杯だったようだぜ」
と彩華姉がそう言ったことを説明すると店のマスターがドリンクを持ってきて、テーブルに置きながら
「ハクリュウ様とシュウ様ですな・・・私はお二方を小さい頃を知っております」
「本当なんですか!?」
明梨はマスターが言ったことに突っ込むと、マスターは
「えぇ・・・ハクリュウ様とシュウ様は両親の仕事の関係で知り合いました・・・私はその頃、若かった者でして・・・彼らのことをよく覚えております・・・心に影を落としているような顔をしているような顔をしておりました・・・私は仕事上・・・相手の感情を読むことに長けてしまい、心の変化に一瞬で理解できてしまいました・・・今のでも・・・思いますよ・・・何故、そのような年頃で我々と同じような顔をするのかを・・・あの時・・・私は内心驚嘆しましたね・・・銀次様と同じような顔をする人がいるとは・・・と・・・今の話を聞きますと・・・煌大様、陸遄様、周一様は旦那様方と同じような顔をしておりましたから」
マスターはそう言いながら空いたコップやカップを回収してると、陸遄と周一は席を立って、店を後にした。清恵たちは店を出て行った陸遄と周一を追いかけようとしたが、美雪姉が止めに入った。
「今の彼らを癒す薬はないわ・・・私たち以外にはね」
「それって・・・」
「分かってるようだね」
清恵は美雪姉が言ったことにもしかしてという顔をすると美雪姉は分かっているじゃないという言い返した。そしたら、清恵は亞矢と絵美に向かってこう言った。
「亞矢・・・絵美・・・お願いがあるんだけど・・・陸遄と周一の様子を見てきてくれないかな?」
「えっ?・・・でも・・・?」
「お願いだから」
絵美は反論をしようと言い返すが、清恵の言葉と勢いに圧倒されて大人しく亞矢と絵美は陸遄と周一の所に向かった。亞矢は行こうとしたとき、清恵に小さな声で
「ありがとう・・・清恵・・・///」
清恵は笑顔でどういたしましてと小声で言い返した。亞矢と絵美は陸遄と周一の後を追うために店を出た。二人が出た後、清恵は煌大の隣に座り、煌大は清恵の頭を撫で始めた。マスターは二人を見て、いや、煌大を見てこう言った。
「どうやら、煌大様の方は・・・もう大丈夫ですな」
「そうね」
マスターが言ったことに美雪姉も同意した。そしたら、美雪姉は清恵に
「それにしても・・・よく分かったわね・・・清恵・・・絵美が周一に好意の視線を向けていたことに・・・」
「えっ?・・・亞矢の方は幼馴染みだから分かったけど・・・絵美の方は感かな?」
美雪姉たちは清恵が直感だけで先ほどの行動をしたことに少々驚きを上げていた。だが、優はすぐに会話に割り込み
「僕と美鈴は何となく分かっていたよ・・・絵美が周一くんをよく見ていたから」
「絵美って隠しているようで隠せてないんだよね」
優と美鈴が手厳しいことを言っていると、希海たちが笑みをこぼしていた。




