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31話

後編です

 ユンがセイメイの所に向かって走っている最中、そこにタークがやって来た。ユンはそれを見て


「ターク・・・終わったのか?」


「あぁ・・・あんなの俺の敵じゃねぇ・・・弱すぎたぜ」


「そうか」


「そう言うお前は・・・少々ボロボロじゃねぇか・・・どうした?」


「あぁ・・・これかぁ・・・ちょっと敵の攻撃を受けちまって」


「何してんだ・・・てめぇ・・・」


「仕方ないよ・・・相手はセイメイの実の息子なんだから・・・しょうが無いよ」


 ユンはそう言ってまた、走り始めた。タークもその後について行った。




 ユンによって完治させてもらったハムラの前にやって来たテンカイは


「お久しゅうございます・・・ハムラ様」


 ハムラはテンカイが言っていることに内心疑問符を浮かべており


「主はいったい誰なんじゃ?」


「申し遅れました・・・私はテンカイ・・・貴方の息子であるセイメイ様の子孫にございます」


「そうか・・・主はセイメイの子孫か・・・ならば・・・母である妾に跪かんか!!・・・『二王尾の鉄扇』」


 ハムラは尾の中から鉄扇を取りだし巨大化させてテンカイに叩き付ける。テンカイはかろうじて躱すが、顔に覆っていた仮面に罅が入ったのだ。テンカイはハムラを見て


「まさか・・・あの男に回復されてここまでの力があるとは・・・」


「誠なことに妾も驚いている・・・妾の力がここまで増大しているとは・・・(全く・・・あの男は・・・そういう妾も・・・あの男に頼ってしまった・・・あやつの下に就けば・・・守れるかも知れんな・・・愛娘を・・・)」


 ハムラはそう思いながら尾から刀を出し握る。


「『三桜尾の太刀』」


 ハムラは尾から出した刀でテンカイに斬りつけようとした。テンカイはその斬り込みをまともに受けて仮面が縦に真っ二つ斬れた。そして、仮面が地面に落ちてテンカイの素顔があらわになった。テンカイの素顔が醜い顔をした老人であった。テンカイは素顔があらわにされたことで頭を抱え酷く怒っていた。


「お、己~!!!!!!・・・よくも私の素顔を晒したなぁ!!!!!!」


 テンカイは酷く荒れ力を満遍なくまき散らした。ハムラはその力をまともに受けてしまった。


 テンカイが力を猥らに暴発して辺りが殺風景になってしまった。だが、ハムラは


「何をするのじゃ・・・妾はこの魔境の都を愛していたのに・・・こんなにされては妾・・・悲しいのを・・・じゃから・・・この一撃は・・・妾の部下たち・・・都の恨みじゃ・・・『三桜・畏・地獄蓮斬』」


 ハムラの一撃にテンカイは致命傷を受けて衰弱していき、ついには倒れ込んでしまいそのまま絶命した。ハムラはこの場を去りながら


「このまま彼奴の下に就いてみるのも一興だのぉ」


 そう言ってこの場を去って行った。




 上空からやって来たヤスタダを見てクロとそこにやって来たアオ。クロとアオはヤスタダを見て


「でっけぇなぁー!!」


「あぁ・・・」


 二人はそんなことを言っているとヤスタダは能力を行使した。その能力はクロやアオの至る所に矢印が出現した。クロはそれを見て


「まさか・・・これは領域型の能力か・・・」


「おいおいマジかよ」


 クロとアオは青ざめていると、そこにやって来た鬼妖怪たちがその矢印の餌食になっていた。二人はその光景を見て


「これは方位の禁忌」


「方位の禁忌?・・・なんじゃそりゃ?」


「矢印の方向以外に進むと傷を負うという能力だ」


「つまり・・・矢印以外の方位を進むと命を落とすというわけか」


「そう言うことだ・・・どうするアオ?」


「細けぇことを気にしていたら・・・後がねぇぜ・・・彼奴に目掛けて一撃かましゃいいだろうが!!」


「そうだな・・・仕方ない・・・骨は拾ってやるぞ・・・行くぞ!!」


「おう!!」


 クロとアオはヤスタダに向かってやりこみに行った。




 上空からやって来たヒルコとやり合っていたツチグモ。ヒルコに向かって拳で殴りかかろうとしていた。ヒルコはその拳をまともに受けてしまった。ヒルコは口から血を拭うと


「名を聞いといてやるよ」


「ツチグモだ」


「ツチグモか・・・俺はヒルコ・・・セイメイ様の子孫・・・って言えば分かるか」


 ツチグモはそれを聞いて顔が無表情になっていく。そして、その場で回転して


「『廻転阿修羅腕』」


 回転と遠心力を加えた拳をヒルコ目掛けて放つと、ヒルコはまたしてもその一撃をまともに受けてしまい口から吐血してしまう。だが、血を拭って上空に浮き始めるヒルコは左の火の腕と右の水の腕でバチバチとすると両腕で巨大な玉を出してしまう。


「俺の能力は・・・陰陽師でいう五行の力が俺の四肢になっている・・・こう言えば分かるよな」


「あぁ・・・確か噂じゃ・・・五行は各属性に相反しているというのは聞いたことがあるが・・・だからそれが・・・・・・なるほど・・・そう言うことか」


「理解早くて助かるよ・・・じゃあ行くぜ『五蘊怪球』」


 ヒルコは巨大な玉を落とす。ツチグモはヒルコが落とした『五蘊怪球』真っ正面から受け止めようとした。そして、怪球を真っ正面から受けたツチグモはピンピンしていた状態で立っていた。ヒルコはそれを見て驚きを上げていた。


「(バカなこいつ・・・俺の最強の一撃を受け止めやがった・・・チッ・・・化け物めぇ!!)」


 そしたら、ツチグモは右拳に焔を纏わせて回転し始めた。そして


「廻転火焔阿修羅腕」」


 焔を纏わせた拳でヒルコに向かっていく。ヒルコはその拳に吹き飛ばされてしまう。だが、ヒルコは


「糞が・・・お前だけは・・・この俺の手で潰してやる!!」


 ヒルコは立ち上がってツチグモの方に向かっていくと、ヒルコは右の金の脚と左の火の腕で相反する力が反発作用させた。


「『火剋金蓮脚』」


 ヒルコの蹴りの殴打にツチグモは拳の殴打で応戦した。しかし、ツチグモの拳の殴打がヒルコの蹴りの殴打を勝っていた。ヒルコはツチグモの拳の殴打に後方に飛ばされてしまう。ヒルコは完全に頭に血が上ってしまった。


「あぁ・・・こんちくしょう!!」


 ヒルコは左の火の腕と右の水の腕を重ねると


「『五蘊怪球』」


 ヒルコはまた『五蘊怪球』を出す。だが、さっきと違うところは魔境の町を消し飛ばすほどの大きさをしていた。


「ふっとべぇ!!」


 ヒルコは怪球を投げ飛ばすと怪球はツチグモ目掛けて投げられた。だが、ツチグモは臆すこともなく、怪球を真っ正面から受け止めようとした。怪球がツチグモに衝突するとツチグモは雄叫びをあげながら受け止めようとした。ツチグモは怪球を受けきると両拳に焔を纏わせてヒルコ目掛けて殴打し始めた。焔を帯びた拳の殴打を受け続けたヒルコ。拳の殴打を止めるとヒルコはボロボロの状態になり、ボロボロの状態で


「い・・・嫌だ・・・し、しに・・・死にたく・・・な・・・い・・・」


 ヒルコは死にたくないと完全に言い切れなかった。何故なら、ヒルコの身体はだんだんと朽ちていき塵となって絶命したからだ。ツチグモはその場に座り込んで煙管に火を吹かしていた。吹かしながら


「なんだ・・・この程度の奴らだったのか」


 吹かしながらそう言うとツチグモはこの場に残って少々休息を取っていた。




 その頃、人を操り能力を有するユイユイと相手をしていた首無。首無は糸を使ってユイユイの動きを抑え圧倒していた。その間にお互いボロボロになっていた。互いに息を吐きながら、ユイユイは首無の糸を断ち切り、後方に下がる。首無もそれを利用して後方に下がった。ユイユイは息を吐きながら首無を見ていた。


「(こいつ・・・さっきからだんだんと畏が増してきている・・・いったいなにが!?)」


 などと思っていると首無は


「(感じる・・・この畏は・・・ユン様の力・・・・・・そして、これが百鬼夜行の力・・・!!)」


 首無は身体から感じる力を、ユンの力を肌から感じていた。だが、今の首無にとって目の前のユイユイのことしか考えていなかった。ユイユイと首無は激戦を繰り広げていた。




 魔境中でセイメイの子孫たちと激戦を繰り広げている最中、ユンはセイメイの所にタークと共に走っていた。そこにユキネが敵を薙ぎ払いながらこちらに来ていた。


「ユン様!!」


 ユキネは万遍な笑みでそう言うとユンは


「倒したのか・・・敵を・・・」


「はい!!」


 ユキネは力強く叫ぶと


「マジか!?・・・相手はセイメイの子孫たちだぞ」


 ユンはそう言うと


「そうなんですか!?・・・私の相手はオロチという女性でしたが・・・弱すぎたので・・・」


 ユンはユキネの頭を軽くドつくとユキネは


「痛いじゃないですか・・・ユン様」


 ユキネは頭をさすりながら


「いや、無性に腹が立ったから」


 ユンはそう言うとタークもそれに同感していた。だが、ユンはユキネの頭を撫で始め


「まぁ・・・良くやった」


 そう言ってユンはまた走り始めた。その後に続くターク。ユキネはユンに頭を撫でられて嬉しそうな顔をする。そしたら、ユンは


「おい・・・ユキネ・・・置いていくぞ」


「はぁーい・・・今行きます」


 ユキネはユンの後について行った。




 ユン、タークそしてユキネはセイメイの所に向かって走り続けていると、また、そこにツチグモがやって来た。ツチグモは煙管を吹かしながら歩いてやって来た。さらにそこにダッキもやって来た。ユンはここにやって来たツチグモとダッキに「良くやった」と言ってまた走り始めた。ダッキは走りながらユンにタマズサのことを報告した。


「今、タマズサはアリユキという奴とやり合っている・・・かなりの強者だ・・・彼奴が本気を出しているぜ」


 ダッキがそう報告するとユキネは


「鷲丸からの報告で・・・クロとアオはヤスタダという敵を倒してユン様の所に向かう途中・・・首無が敵と交戦中だったので・・・加勢しているようだよ」


 タークは二人からの報告を聞いて


「とにかく・・・タマズサ、クロ、アオ、首無たちはこっちに来られる可能性はないな」


「まぁ良い・・・クロたちは終わり次第・・・別の戦場に向かって欲しい・・・とわ言っても・・・敵は相当の使い手のようだけど・・・(無茶すんなよ)」


 ユンはそう思ってセイメイの所に走っていた。




 その頃、ハムラはセイメイの所に来ていた。セイメイはハムラを見て


「母上・・・どうしたので?」


「なぁーに・・・少しお主と話してみようと思ってな」


 ハムラはそう言うとセイメイはハムラを椅子に導かせて座らせた。そしたら、ハムラは


「お主・・・聞くところ・・・この世全ての妖怪を消すつもりだな・・・何故そうなった・・・妾はそう育てた覚えはないのじゃが」


「私は・・・ただ・・・最初は人と妖怪の共存を望んでいた・・・だが・・・人が闇の領分に手を出すのは許されないことだ・・・故に母上である貴方も人間の手によって一度は亡くなられたではないですか」


「そうじゃな・・・じゃがな・・・主に転生の術を施されて千万年間生きて分かったことがある」


「それは・・・」


「人は皆・・・己が自由に生きている・・・妖怪たちもただ己が守りたい者があるために力を振るっているに過ぎない・・・皆・・・光と闇の境界の秩序は守っている・・・お主はその教会を壊そうとしているのじゃぞ」


「壊すのではない・・・私が『妖怪界』の全てを支配する王になるだけだ」


「暴力的な支配はもはや圧政じゃ・・・光の者たちが闇に怯え死に絶えるだけじゃ」


「死に絶えるのなら・・・またそれも一挙・・・その程度で死に絶えるようなら・・・必要の無いことだ」


「お主は本当に闇が光の上に立って『妖怪界』の王になろうとするのか・・・妾にとってみれば・・・あの男・・・ユン・ルイルックの方が『妖怪界』のおうに相応しいと思うのじゃ・・・彼奴は自由に生き・・・光と闇の境界の秩序を守る王になる資質を持っている・・・世界中の妖怪たちが彼奴こそが王だろうと言うだろう・・・そこまでの器を持っている」


「私としては・・・あの男はこの世で最も相手にしていけない敵だと思っている・・・だからこそ・・・ここで消しておかないと思っているのです・・・」


「もし・・・妾が彼奴を守ると言ったら・・・」


「母上といえど敵として見ます」


「見解の相違じゃな」


 ハムラはそう言って立ち上がり尾から『三桜尾の太刀』を取り出しセイメイに斬りに掛かった。セイメイも立ち上がり陰陽術で応戦し始めた。




 その頃、魔境中で鬼妖怪とやり合っている『ぬら組』と夜行たち。そして、粗方の鬼妖怪たちを倒すと大半を気絶させたユンの底知れぬ力に夜行の妖怪たちは


「恐ろしい男だ・・・大半の鬼妖怪たちを気絶させるとは・・・」


「奴には・・・我々とは別次元なのかも知れないな・・・」


「当然よ!!」


「ユンは・・・そこいらの奴らとは違う・・・彼奴は俺たちとは違う力を持っている・・・」


「全ての妖怪たちを導かせるという力が・・・」


 エルラとナギニはそう言うと夜行の妖怪たちも納得といった顔をしていた。




 ユンたちはセイメイの所につくと、まず、目にしたのはハムラとセイメイがやり合っていることである。タークはセイメイの周りにいる鬼妖怪たちを見て


「ツチグモ・・・昔・・・セイメイとやり合っているなら・・・鬼妖怪ともやり合っているんだろう・・・こちらに部があるじゃないのか」


「ぬかせ・・・俺の敵はセイメイだけだ・・・鬼妖怪・・・こいつらは・・・さっきの奴らより増しだな・・・セイメイ・・・最後はお前だ!!」


 タークとツチグモはそう言って取り巻く鬼妖怪たちとやり合い始めた。


 ユンはセイメイとハムラとの死合いをしているのを見ていると、二人はユンたちがここに来たのを気がつくと


「ユン・・・来たのか!?」


「なかなかやるじゃないか・・・ユン・ルイルック・・・だが・・・貴様ごときにこの私は倒せるかな?」


 セイメイはユンに自分は倒せるのかなと問いかけると


「倒せるさ・・・そうじゃなきゃ・・・俺は前に進めない!!」


 ユンはそう言い叫ぶとセイメイは盛大に笑って


「はっはっはっはっはっはっは・・・・・・若造が・・・お前ごときが世界の王になれると思うなよ」


 セイメイはユンが言った事を非難するとハムラは


「(全く・・・こやつは・・・これからの時代を担うに相応しい男になっていく・・・これからの彼奴の成長が見てみたいのぉ)」


 ハムラはユンに微笑むとユンは


「さてと・・・セイメイ・・・お前を倒して・・・俺は魑魅魍魎の主になる!!」


「やれる者ならな・・・」


 ユンは宣戦布告するとセイメイはそれを受け取るとユンは刀を抜いてセイメイに向かって斬り込みに行った。ユンは刀身に畏れを込め『武装』の『覇気』で纏わせて斬り込みに行く。セイメイは両手の平に円形の物体が出現した。


「『閻魔永劫輪廻』」


 円形の物体がユンを消滅させようと狙って放たれた。ユンはセイメイの技に消滅されそうになったが


「『真・鏡花水月』」


 ユンは『鏡花水月』を使用して躱してセイメイの背後に回った。だが、セイメイは口の口角を上げていた。ユンはそれを見てまさかといった表情をしていた。そしたら、セイメイはもう片方の手で技を放つ。しかし、ユンは『鏡花水月』で躱した。ユンはまたセイメイの背後に回ると刀で斬りに掛かる。だが、ユンの刀がセイメイの術ではじき飛ばされた。ユンは後方に下がると懐から寧々丸を出すとハムラは寧々丸を見て


「(あれは・・・寧々丸・・・四百万年前・・・妾を倒した刀・・・)」


 ハムラはそう思っているとユンは寧々丸に畏れを込めようとした時に頭の中に妙な回想が入ってきた。その回想は蘆埜家歴代の当主と初代ぬらりひょんとの会話であった。


「『ぬらくん・・・寧々丸は気に入ったかい?』」


「『あぁ・・・こいつのおかげであの女を倒せたんだ・・・それについては感謝している』」


「『そう・・・ねぇ、ぬらくん・・・その寧々丸は・・・もう一つの名がある・・・』」


「『もう一つの名?』」


「『うん・・・それは鵺丸・・・六百万年前に存在したという陰陽師を倒すために作られた妖刀だけど・・・』」


 歴代の当主がそう言いかけるところをぬらりひょんは手で制止した。


「『それ以上のことを聞かん・・・後の話はこれからの世代の課題じゃ・・・儂らの問題ではない』」


「『そうだね・・・じゃあ・・・祈るしかないね・・・これからの世代たちの勝利を願って』」




 そういった回想を垣間見たユンは寧々丸をずっと見ていた。そしたら、ユンは軽く人払いしただけでタークとツチグモが相手にしていた鬼妖怪やこの魔境中にいる怨霊たちを浄化してしまった。ユキネ、ターク、ツチグモ、ダッキ、ハムラ、そしてセイメイは今の現象に驚きを上げていた。ユンは寧々丸を見て


「(俺は・・・こいつと共に修羅の道をつき進もう)」


 ユンはそう思うと寧々丸に畏れを込め、さらには『武装』の『覇気』を纏わせた。漆黒となった寧々丸を握るユンはセイメイに斬りかかろうとした時、不意に身体が重くなったのを感じた。ユンは後退して体勢を立て直す。しかし、まだ、身体が重く感じた。それはタークたちも感じていた。ハムラだけはこの術に覚えがあったのだ。


「この術は・・・セイメイ・・・この世界を壊す気か・・・この世界の人々を殺す気か!?」


「知れたこと・・・この術に耐えられるようでは・・・人間など必要ない」


「セイメイ・・・『天文操蓮』は使うなとあれほど言ったはずだ・・・それは世界を崩壊する力を秘めているのだぞ」


 ユンたちはハムラが言ったことに驚きを上げているとセイメイは


「今の世界には人が多すぎだ・・・私が選んだ人間だけが世界の秩序を守ってくれるだろう」


「それはお前の支配下のもとでな・・・セイメイ!!」


「それもまた一興」


 ハムラとセイメイの会話を聞いていたユンは


「ふざけんな・・・てめぇの勝手な判断で世界の壊そうと考えているんじゃねぇ!!・・・もう良い・・・てめぇだけは俺の手で倒す・・・世界をお前の物にはさせない!!!!!!」


 ユンはそう言って畏と『武装』の『覇気』を纏った寧々丸にまた畏を込め始めた。そして、ユンも自らの畏に覆われていった。セイメイは目の前のユンを見ているのにまるで見てないように見えた。


「『神・瞑鏡死水』」


 セイメイは身の危険を感じて両手に『閻魔永劫輪廻』を出す。だが


「『神・瞑鏡死水・斬』」


 ユンは寧々丸で斬りつけた。セイメイの手を『閻魔永劫輪廻』を斬ったのだ。『閻魔永劫輪廻』はユンに斬られたことで消滅してしまったのだ。それを見ていたタークたちは


「(何という畏だ・・・ここまで濃密で綺麗な畏は・・・今まで見たことがない・・・もしかしたら・・・ユンはもう・・・魑魅魍魎の主かも知れない)」


 タークはそう思っているとハムラは


「(彼奴・・・完全にセイメイすら上回る畏を放っておる・・・彼奴・・・もしや・・・)」


「(戦う度に強くなっているだと!?)」


「(何という潜在能力・・・我々の常識を越える潜在能力・・・彼奴(ユン)に秘めているということになる・・・)」


 セイメイとハムラはそう思っているとユンは


「俺の頭の中には・・・記憶には・・・お前らにも知り得ない記憶がある・・・セイメイ・・・てめぇは・・・千万年前から生きている化け物だろうが・・・俺の記憶には『中央政府』の誕生の頃の記録が入っているんだよ」


 セイメイとハムラはユンの記憶の中に入っている記録。この世界の秩序を作った記録があることに驚いていた。そしたら、ユンは自分のことを話し始めた。それは『ぬら組』の全員知っていることだ。


「遙か大昔・・・数百億年前か数千億年前にこの世界・・・GROに大きな戦争が起きた・・・その戦争はこの世界だけじゃない・・・全VR世界、現実をも崩壊するほどの戦争がな・・・現実では・・・まだ・・・人間がいなかった時代だ・・・俺たちは・・・その時代の生命体の子孫だ・・・その子孫が・・・今なお現実に生きる人間だ・・・その時代は神々の時代・・・神級精霊たちがこの世界にやって来た生命体に宿り・・・時には剣士、術士、騎士そして妖怪・・・この四つに分けられた・・・・・・その時代に生まれた一人の少年・・・その少年こそがこの世界に戦いを挑み世界を崩壊するほどの戦争を引き起こした男だ・・・・・・そして・・・その少年が相手にしたのが『中央政府』だ・・・・・・少年は自らの死を感じたとき・・・自分の力を五つに分けた・・・最も5つめの力も四つに分けて・・・世界に散ったという・・・それぞれには神の力であり世界の全てを知った記憶も秘めていた・・・その力の一つが俺に宿っている・・・・・・セイメイ・・・てめぇの術は俺の記録の中に入っていた・・・だから・・・その術に対する策なんていくらでも用意できたよ・・・ただ・・・俺がここまで強くなったのは・・・てめぇのおかげだけどな!!」


 ユンはそう言ってセイメイに斬りかかろうとする。セイメイは寧々丸を躱すが、背中から激痛が走った。セイメイは背中に手を触れると手には血がついていた。


「『神・狂歌衰月』」


 ユンは目の前にいて寧々丸で斬ろうとしていた時


「これで終いだ・・・この一撃・・・皆の思いを込めた一撃だ」


 セイメイはユンの一撃を受けてしまった。しかも、縦からまっすぐに斬られたのである。セイメイは最後にユンの方を向いてボロボロと崩れていた。ボロと崩れたセイメイの肉片はだんだんと塵となって消えていき、その影響で魔境中にいた鬼妖怪も塵となって消えていったである。


 セイメイがやられたことを感じたアリユキとタマズサは


「昔ね・・・僕にも息子がいたんだ・・・でも・・・息子はセイメイ様の教えを聞かずに家を飛び出して行った・・・今思うと・・・息子の選択は間違っていなかったと思うんだ・・・」


 アリユキはそう言いながら身体が朽ちて塵となって消えていった。


 時を同じくして首無とユイユイの戦いにも決着がつこうとしていた。首無の糸に圧倒されていたユイユイ。その頭上からクロとアオがやって来て、二人の攻撃を真っ正面から受けてしまい絶命してしまった。




 セイメイが消えたのを確認したユンは畏を解くとその場に座り込んでしまった。ユキネはユンに近づいていき


「ユン様・・・大丈夫ですか!?」


 ユンはユキネに応じると


「あぁ・・・大丈夫だ・・・ちょっと力を使い過ぎちまった」


 ユンはそう言ってユキネに肩を預けて眠ってしまった。ユキネはいきなりのことでわっとなったが、ユンが眠ってしまったのを見て


「お疲れ様です・・・ユン様・・・ターク」


「あぁ・・・とにかく・・・終わったんだな」


 タークも何故か眠たそうな表情をしていた。ユキネはそれを見て


「(あぁ・・・二人とも・・・連戦でへとへとだったのね・・・仕方ない・・・)・・・鳶丸、鷹丸、鷲丸・・・来て」


 ユキネは連絡隊を呼ぶと


「ユキネさん」


「どうしました・・・」


「ユン様!?・・・大丈夫ですか!?」


「大丈夫よ・・・疲れているだけ・・・悪いけど・・・貸しきりにした宿に集合するよう・・・皆に伝えて・・・それから鷲丸はユン様をお願い・・・私はタークを運んでいくわ」


「「「了解しました」」」


 鳶丸と鷹丸は『ぬら組』全員にこの事を報告に行く。鷲丸はユンを背負って宿へと向かった。ユキネもタークを背負って宿に向かった。




 『ぬら組』がセイメイたちの一戦から数日が経過した。今、魔境はその戦いで酷く荒れていた。その修繕している人々、陰陽師たち。それを陰から支えている妖怪たち。今回の戦いで多く死傷者を出した。特に陰陽師はハムラとの戦いで多くの戦死者を出した。さらに、セイメイとの戦い、『天文操蓮』によってさらに多く死傷者を出し、酷くダメージを受けていた。残ったのは、若手の陰陽師たちだけで老害といった陰陽師たちは今回の戦いで戦死した。蘆埜家では次期当主が中心で動いて魔境の復興に尽力していた。


 そんな最中、ユンは宿の中で療養していた。セイメイとの戦いで畏をかなり消耗していたようで完治するまでに三日は掛かった。完治したら、『ぬら組』が貸し切りしている宿に夜行の主たちがやって来てユンに頭を下げていた。


「このたびの戦いで我らは貴殿の実力を知りました・・・」


「願わくば・・・ここにいる全ての夜行は貴殿たち『ぬら組』の傘下に入りたいと思っております」


「『ぬら組』三代目・・・何とぞお願いいたします・・・」


 夜行の主たちはユンに再び頭を下げるとユンは


「良いぜ・・・ただし・・・ここから先の戦いは今まで以上の戦いになるぞ?」


「・・・・・・「・・・・・・「・・・・・・「・・・・・・「構いません!!」・・・・・・」・・・・・・」・・・・・・」・・・・・・」


 夜行の主たちはそう言うとユンは受け入れて主たちを帰らした。


 その日の夜、ユンは


「今、誰もいない・・・入って良いぞ」


 いきなり、誰もいないのにそう言うとそこに


「すまないな・・・こんな夜更けに・・・」


「良いってことよ・・・それで話はなんだ」


「妾たち魔境妖怪たちは・・・主らの『ぬら組』に与することにしようかと考えている」


「良いよ」


 ユンはハムラの問いかけに受け入れるとハムラは


「良いのか?」


「あぁ・・・ただし・・・俺の傘下に与することにしてくれ・・・他の組もそういう形でうちに与した・・・お前もそういうことにしてくれないか?」


「良い・・・それでいこうじゃないか・・・お主らこれからはどうする?」


「俺らは次に向かうところは『真世界』だ・・・俺は魑魅魍魎の主になる」


「そうか・・・なら・・・妾たちはこの魔境を統括しよう・・・主らにとってみてもその方が楽じゃろう」


「そうだな・・・じゃあ、それで頼む」


「心得た」


 ハムラはそう言ってユンから去って行った。ユンはハムラに


「そういえば・・・あんたの愛娘の名前に聞いていなかったな・・・名はなんて言うんだ」


 ハムラはユンに娘の名前を教えた。


「シノじゃ・・・世間では『魔狐のシノ』呼ばれている・・・リアルネームは柳桐詩乃という名じゃ・・・妾の名は柳桐清音じゃ・・・それじゃあの」


「あぁ・・・世話になった」


 ハムラはユンから去って行った。




 翌日、ユンたち『ぬら組』一行は宿をチェックアウトすると『曳船』に乗って『真世界』に向かって出発し始めた。それを見ていたハムラたち一行はユンたちとは逆方向に歩き始め魔境の畏、闇を守り始めた。

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