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7ポスト目② 夏といえば…海!海回です!


「さて、海入るでーーーー!!」

「やったぁぁ!」

アデルはアームリングを装着し、波打ち際に駆け出し黄色い声をあげる。

「波!うわあ!吸い込まれるです!あにうえー!!たのしいですーー!」

「アデルちゃん、俺が泳ぎ教えたんで!」

圭介はまずバタ足から教えていた。アデルは飲み込みが早いようで、次々とミッションをこなしていた。

「あにうえー!見てくださいー!ちょっと泳げるようになったですー!」

「おー!すごいなあ!さすがアデルだな!」

「…それはそうとして、ハルト君?君は浮き輪でプカプカ浮かんでるだけやない…?」

白鳥型の浮き輪で波に揺られる漂流物と化していたのだが、見破られてしまった。

「…これはこれで楽しいよ」

「ハルト君…もしや、泳げへんの…?」

「………だって、アルヴェロイザは内陸国で海がないし…」

「嘘やろ?学校でプールの授業あったやろ?!」

「アルヴェロイザでプール授業はないかな…。そもそもプールも見かけないし…」

「じゃあハルト君にも泳ぎ教えたんで!」

「いや…俺は…。あ、水飲みに行こっと」

「逃げたな…!」

パラソルの影で水分を摂り、体を軽く拭いたタオルを肩から下げた。バタ足で着実に泳いでいるアデルの写真を何枚か撮った。楽しそうな表情をカメラロールで確認し、家族LINEに送信した。

すぐに「アデルったら、泳げるようになったのね…!」と母上のソフィアから感動している表情のスタンプと共に返事がきた。母上の喜んでいる表情が手に取るようにわかる。ハルトも顔を綻ばせていた。

「最後に海来たの、いつだっけ…俺が20の時だっけ…」


それはようやくビーチチェアに腰掛けた瞬間だった。

「ハルト!ちょっと手伝ってくれない?」


「うーんと、こんな感じ…?」

「…悪くはないわね。次、遊んでる風でお願い」

ハルトは綾乃のカメラ係を任されていた。水着のメーカーからPRの依頼が来ていて、その投稿用の写真を撮影しているのだ。綾乃はすでに自撮りでバッチリ何枚も撮影したが、全身のカットも必要なのだ。ハルトは波打ち際で、綾乃はは太ももの真ん中あたりまで海に浸かり、カメラに向かって水をかけたり、陽の光を全身で浴びているようなポーズを次々と決めていった。

本来なら同級生かつ、世紀の美女の撮影なんて色々な感情に飲み込まれそうなものだが…。ハルトはすでに上からと反射の日光と波で体力が、カメラを構え良い写真を撮らなければという使命感、そしてこのカメラを水没させると幾らの損害になるのか…という恐怖のほうが勝っていた。何度も首のストラップがかかっているかをチェックしたのだった。

「連写で撮って!」

「え、うん。わかった」

連写の間も魅力的だが自然体な動きを止めない。よくこれほどのレパートリーがあるものだと感心する。

「うん!バッチリ!水着はこれでオッケー!」

「お疲れ様!…って、水着”は“…?」

「うん、次はUVカット系のアパレルのPRね!着替えてくるー!」

1時間ほど経っただろうか、着替えと化粧直しをした綾乃がビーチに戻ってきた。長袖の上着が手の甲まで覆い、帽子とマスクが一体型となったものを着用していた。

「わ!これ着てる方が涼しい!…じゃ、ロケーションはこの芝生の上で…。上から撮ってくれる?」

「…はい」

別荘の芝生の庭で撮影会2が開催となった。ちょうど真昼になり、太陽が真上に来ていたのでUVカット商品の写真撮影にはピッタリだ。ハルトも綾乃の帽子などを借りて紫外線や直射日光から先ほどより守られてはいたが、やはり体力は削られる。

「じゃあ三脚で動画撮るから、しばらくはハルト休憩ね!」

「…しばらく?」


その後、飲料と自身の投稿用とファンクラブ用の撮影や補助要員としてこき使われた。その間、綾乃は何度も着替えやメイク直しを1人でこなしていたのに、撮影となると疲れを感じさせず、表情とポーズを決めていった。これがプロなのか…とハルトは驚愕と尊敬と絶望を感じた。自分には到底到達できない領域だと痛感させたれた。

「あにうえ!あれ?なんか疲れてるですか…?」

海水でびちゃびちゃなアデルが、パラソルの下で死んでいるハルトに近づく。

「…うん、ちょっとね。アデルは楽しんでる?」

「はい!ケースケおにいちゃんのおかげで、たっくさん泳げるようになったです!」

「すごいねー!よかったね!母上も褒めていらしたよ」

「ほんとーですか!?嬉しいです!帰ったらお風呂で見せてあげるです!」

「それはやめておいた方がいいかも…」

アデルはクーラーボックスの1つに入っていたスイカを頬張った。ハルトはアデルの髪を拭いてあげ、そのタオルを肩にかけてあげた。

「圭介先生の水泳教室はまだ開校してんで?ハルト君?」

「いや…俺はカメラマンとして十分こき使われたから…」

「ああ、綾乃のやつか。せっかくのバカンスやっちゅーのに。…ちょっとくらい遊んでもええのになあ」

「すごいよね。流石に真似できない…」

「ほんなもん真似せんでええって!綾乃は貯め撮りせなあかんから、今日に合わせて準備してるはずやで。あれと一緒には俺でもできひんよ」

「あ、やっぱり貯め撮りだよね?でも、なんで…?」

「綾乃、明日からミラノらしいで」

「ミラノ!?」

「え!ミラノってなに?」

「ミラノはな?おっしゃれーな街並みと、おっしゃれーなファッションと、むっちゃ美味しい飯の街やねん!」

「わあ!そうなんだー!アデルも行ってみたい!」

圭介が自分がミラノに行った時の写真や映像をアデルに見せてあげていた。

「その、綾乃ってミラノで何するの?」

「んー、なんかブランドのアンバサダーやってるから、それのショーに招待された言うてたわ」

「え、じゃあ明日のフライトで、イタリアに…?」

「せやから言うたやろ?ギッチギチの予定をこなすってのは、俺にもできひんわ」

次回は16日20時の更新です!

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