005 - こおりのようせい? -(挿絵あり)
005 - こおりのようせい? -
「あそこに見えるのがムックの街だ」
「想像してたより大きな街ですね」
「魔物の森の奥にある辺境だがフールズ王国の王都に行くより海を挟んだ隣のドール帝国の方が近いし交流も盛んだぜ」
私の名前はアイリス・レオーネ14歳、今私は森を抜け街道を歩き丘を越えてようやくムックの街の外壁が見える場所まで辿り着きました。
「疲れましたぁ、街に入ったらおじさんのお家で2日くらいのんびりしたいです」
がしっ!
みし・・・
またおじさんが私の顔面を掴みました!。
「わぁぁん!、痛いですっ!」
「だから何で俺の所に住もうとしてんだよ!、俺は借家に一人暮らしだって言ってるだろうが!」
「だって、私はおじさんに毎日魔力を補充して貰わないといけないし別々に住んでたら面倒じゃないですか」
みしっ!
「あぁぁぁぁ!」
「あはは!、アイリスちゃん泣いてるところを見た時には繊細そうな娘だなって思ったけどいい性格してるっすね!」
「・・・」
実はおじさんの他に同行者が2人居ます。
一人は斥候がよく着ているような身体にピッタリとした服の銀髪銀目のお姉さん、もう一人は革鎧を着けた剣士風の金髪お姉さんです。
・・・
時は遡り、街道脇にある大木の所で私が泣いていた時・・・。
がさがさっ・・・
「お、ここに居たか」
背の高い雑草をかき分けて携帯用の魔導灯を持ったおじさんが現れました。
「何で泣いてんだよ」
ごしごし・・・
「泣いていません!」
「泣いてるじゃねぇか、鼻水まで垂らして・・・」
ぐしっ・・・ずずっ・・・
「泣いてないですっ!」
「ほら服と食い物持ってきてやったぞ、早く街に行こうぜ」
ぼすっ!
おじさんの投げた紙袋が顔面に直撃しましたぁ!。
「痛いですっ!」
「いいから早く着ろ」
がさがさ・・・
「なっ・・・何ですかこのいやらしい服は!」
紙袋から出て来たのは黒くて薄い生地のえっちな服でした!。
「心配すんな、お前みたいな幼児体型はどんな服着てもいやらしく見えねぇ」
「おじさん酷いです!」
がさっ・・・
「わぁ!、可愛い娘っすね!、よーし、お姉さんが着せてあげるっす!」
「だっ・・・誰?」
茂みから現れたのはとてもえっちな服を着た銀髪のお姉さん、魔導灯に照らされた銀色の瞳がとても綺麗で氷の妖精さん?が現れたのかと思いました。
わきわき・・・
じりじりっ・・・
手をわきわきさせながら整ったお顔を歪めて私に迫るお姉さん・・・ちょっと怖いです!。
がしっ!
腕を掴まれましたぁ!。
「わぁぁん!、おじさん助けて!」
・・・
・・・
「はいこれでよしっす!、ここに魔力を注ぐと身体に合わせて服が縮むっすよ」
ブーツを脱がされて全裸になった私はお姉さんにされるがまま・・・えっちな服を着せられてしまいました。
ぱあっ・・・
お姉さんが胸と腰のところに描かれている小さな魔法陣に触れると服が縮んで私の身体にピッタリと張り付きます。
「どうっすか?、こうして身体を動かしてみるっす、動きやすくていいっしょ」
お姉さんに言われた通り立ったり座ったり手足を動かしてみると・・・まるで何も着てないようで落ち着きません!。
「これ恥ずかしいです!」
「えー、そうっすか?」
私の住んでいた街にはこんな服を着た人なんて居ませんでした、他国から来たハンターの中にはたまに着てる人が居ましたが・・・。
ぽかっ!
「早くしろ、夜が明けちまうじゃねぇか」
「おじさん何で私の頭を叩くのですっ!」
そんな事を話していると・・・
・・・
「ぐすっ・・・えぐっ・・・」
街道の方から誰かの泣き声がしました。
雑草をかき分けて様子を伺うと・・・携帯用の魔導灯を持った人が泣きながらふらふらと街道を歩いています。
ちょうど私の目の前を通り過ぎた時に・・・。
「え?」
私と目が合った女の子が呆然としています。
からん・・・
がしゃっ・・・
女の子が手に持っていた魔導灯を落として叫びました。
「ひっ・・・ひぃぃぃ!、ジョージさんのゴーストっ!」
「おい待て俺は死んじゃ・・・」
「いやぁぁ!、来ないでっ!、ごめんなさい!、いつも酷い事言ってごめんなさい!でもあれは照れ隠しで実は私ジョージさんの事がっ!」
「俺の事が何なんだよ!」
がささっ!
ジョージさんが茂みから出て女の子に詰め寄ります。
ぺたんっ・・・
「わぁぁん!、怖いよぉ!」
しょわわわわぁ・・・
ほかほかぁ・・・
・・・
「えぐっ・・・ぐすっ・・・ごめんなさい・・・死んじゃうなんて思わなくて、こんな事になるならもっと早く気持ちを・・・」
がしっ!
「ひっ・・・」
お漏らしをして地面に座り込んだ女の子の肩をジョージさんが掴みます。
「おい、何で漏らしてんだ!、俺は生きてるぜ!」
「でっ・・・でもぉ・・・領主の所の騎士達がジョージさん死んだって」
「依頼主が適当に言った大嘘だ、あいつらのせいで確かに死にかけたがな・・・」
「え・・・それじゃぁ目の前に居るジョージさんはゴーストじゃなくて本物?」
「そうだぜ、ちゃんと触れた感触あるだろ」
なでなで・・・
女の子の頭を撫でるジョージさん、私の隣では銀髪の美人さんが悪そうな笑顔で・・・。
がさっ・・・
「トリスちゃーん、もっと早く気持ちをどうしたかったんすかぁ?、私続きが聞きたいっす!」
「ひぃ・・・サルサ!、何でこんな所にっ!」
「俺の事を心配して森の中探してくれてたんだってな、ありがとうよ」
なでなで・・・
ふるふる・・・
「かっ・・・勘違いしないでよねっ!、あんたが居なくなったら誰が私達の荷物持ちするのよ!、私はリーダーとしてパーティの今後を考えてっ!」
「サルサちゃん、それはさすがに苦しいっすよ・・・大泣きしてジョージさん探しに森へ・・・むぐぅ!」
「あぁぁぁ!、言うなぁぁ!」
女の子が銀髪お姉さんの口を慌てて押さえます。
なるほど、銀髪のお姉さんはサルサさんっていうんですね、喋らなければ氷の妖精っぽい美人さんなのにとても残念です。
「あの・・・街へ向かわなくていいんですか?」
私の声に3人の視線が集まります。
「誰?」
「アイリスちゃんっすよ、可愛いでしょ」
「だから誰よ!」
「すまん、詳しい話は後でするとして、とりあえず紹介しよう・・・こいつはアイリスだ」
・・・
・・・
「つまり・・・あんたが囮にされて死にかけた時にこの子が助けてくれたのね」
「こいつも魔物に襲われて酷い目に遭ってたが攻撃魔法が使えたから2人で協力してどうにか街まで戻れた」
「そう・・・」
目の前のお姉さん達・・・銀髪銀目のえっちな服を着た方がサルサ・トルティーヤさん、それから金髪青目の剣士風の女の子はベアトリス・ハイヴォウルさんという名前らしいです。
2人はもう1人の魔導士の子と3人でパーティを組んでいるそうです、しかもハンターランクは銀級・・・凄いですね。
「空が薄明るくなって来たな・・・早く帰ろうぜ」
・・・
そんな事があった後、私達は街が近くに見える高台までやって来たのです。
魔物の住む森が近い事もあって街は高い外壁に覆われていました、広さもかなりあって私が住んでいたメリーの街より何倍も大きいです。
「綺麗な街ですね、ここなら快適に暮らせそうです」
がしっ!
また顔面を掴まれましたぁ!
「お前は宿に泊まるんだぞ、俺の家はダメだからな!」
「えー、お金がもったいないです!」
「だっ!・・・ダメよ!、こいつはこんなでも男よ!、女の子と一緒に寝泊まりして襲われたらどうするの!」
「こんなって何だよ!、それに俺は貧相な幼女に興味はねぇし!」
「おじさんには既に全裸を見られたし、2人きりになっても襲われなかったから大丈夫ですっ!」
「全裸ぁぁ!、剥いたの?、森で2人きりなのをいい事に剥いたわねこのケダモノっ!」
ベアトリスさんがおじさんの胸ぐらを掴んで激怒しています、剥かれてないけど面白いから放っておきましょう。
「剥いてねぇし襲ってもねぇ!、俺の好みは巨乳の熟女だ!」
「え・・・巨乳?・・・」
おじさんの一言で今まで怒っていたベアトリスさんが急に静かになってしまいました、自分のお胸を見て何か呟いています。
「私たちが借りてる拠点に来るっすか?、お部屋は空いてないから居間にあるソファで寝る事になるっすけど」
こくこくっ!
私は全力で頷きます、無事に住むところを確保できましたぁ!。
・・・
「まずはハンターギルドで身分証を再発行か」
「そうですね、服と一緒に無くしてしまいましたから」
街の中に入った私達はお話しながら大通りを歩いています。
おじさんや女の子2人は門のところに立っている衛兵さんと顔馴染みのようでそのまま入れて貰えました、私はというと身分証を無くしていたので仮入門証を渡されています。
3日以内に再発行した身分証を持って衛兵詰所まで手続きに行かないと捕まってしまうのです・・・面倒くさいですね。
街の中は活気があります、朝早いのに荷馬車が走り露天では沢山の美味しそうなものが売られています。
「ここがムックの街のハンターギルドだ」
「大きいですね」
「魔物の森が近いからな、素材目当てのハンター達が他国からもやって来る」
「再発行は時間がかかるのでしょうか?」
「さぁな、先にギルド長のところへ行くぞ、アイリスの事は話してあるから顔を見せるだけだ」
「え・・ギルド長と会えるのです?、おじさん何者?」
「ただの荷物運びだが」
「荷物運びさんは気軽にギルド長とは会えないと思いますが!」
「俺の日頃の行いが良いからだよ」
「・・・」
・・・
「あらぁ!、可愛い娘だわぁ!」
がしっ!
サルサさん達とは一旦分かれてジョージさんと一緒にハンターギルド長のお部屋に入ると・・・いきなり長身の男性に抱きつかれましたぁ!。
「おいカーマやめろ、アイリスが驚いてる」
「ふふっ、ごめんなさいねお嬢ちゃん、私はこの街のハンターギルド長でカルマ・カメレオーンっていうの、カーマって呼んでね!」
「はい・・・よろしくお願いします、カーマさん」
「こいつは身体は男だが心は女だ、普段はこんな調子だが色々と頼りになる奴だぜ」
私は改めて魔導士のローブを着たギルド長を見ました。
白に近い金髪に金色の瞳、冷酷そうな薄い唇、それから子供が見たら泣きそうなほど凄味のある鋭い目つき・・・。
「よ・・・よろしくです」
「本当にこの娘可愛いわぁ!、お持ち帰りして撫で回したいっ!」
がしっ!、すりすり・・・。
抱きしめられて頬擦りされましたぁ!。
「だからやめろって言ってるだろカーマ!、しつこいと嫌われるぜ」
「ふふっ・・・ごめんなさい、私、可愛いものが大好きなのぉ、可愛い子を見るとつい抱きついちゃって・・・身分証は明日のお昼には出来上がるから受付まで取りに来てねっ」
「あ、はい」
そんな事を話しているとカーマさんが突然魔法を発動しました、魔力で出来た3本の矢が私のお顔に向かって・・・。
ぱあっ!
私は咄嗟に残っていた魔力を全部使って防御魔法陣を起動、光の矢を消し去ります・・・。
しゅぅぅ・・・
「ジョージちゃんを守りながらあの森から出て来た実力は本物のようね、でもギルドに登録されている職業は剣士・・・何か訳ありみたいだけどあえて聞かないでおくわ」
「おいカーマ・・・」
「試すような事をして悪かったわ、でも魔法の名門貴族レオーネと同じ名前、同じ髪色を持つ少女に興味が湧いたのよ」
「・・・」
一通りお話が終わったようなので帰ろうとしていたらカーマさんに呼び止められました。
「アイリスちゃんはこの街でお仕事をするの?」
「はい、しばらくこの街に滞在しようかと・・・」
「ソロで活動するの?、それとも誰かとパーティを組むのかしら」
私は正直に答えます。
「ジョージさんと一緒に行動しようと思っているのですが」
「実力のある子がこの街でお仕事してくれるのは大歓迎よ、でもジョージちゃんはギルドに登録していない運び屋さんだからお金を払って雇う形になるわね」
「いえ、ジョージさんもハンター登録してもらって2人でパーティを結成したいと思って」
「・・・理由を聞いても良いかしら」
「あ、はい、私はジョージさん無しでは生きられない身体にされてしまって・・・」
がたっ!
「ジョージちゃんっ!、あなたこんな小さな子供に手を出したのぉぉ!」
「違ぇよ!、誤解だ!、アイリスも紛らわしい言い方するんじゃねぇ!」
アイリスさん
読んでいただきありがとうございます!。
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