001 - あいりす -
001 - あいりす -
きしゃぁぁぁ!
ずっちゃずっちゃ・・・
「・・・あぐっ」
こんにちは、私の名前はアイリス・レオーネ14歳、今森の奥深くで死にかけています。
わずかに残った衣服の切れ端を身に纏い、お顔は涙や鼻水でぐちゃぐちゃです、私は一晩中魔物さんに酷い事をされていました。
私が斬り殺した手下達の死体に囲まれ、復讐だとばかりに私を辱めていたゴブリンさんのリーダーが触手に絡め取られて潰されるのを見たのが夜明け前。
助かったと喜んだのも束の間、夜が明けてからは別の怪物に襲われています・・・。
足を大きく開いた私に覆い被さり腰を振っているのは人間のお腹に卵を産みつけると言われている凶悪な魔物さんです・・・。
ゴブリンさんに襲われて既に抵抗する事にも疲れ果てていた私でしたが、半透明の卵管を通って私のお腹に注がれようとしている卵を見せられたら流石に冷静ではいられません。
「やだ!・・・嫌ぁ!」
じたばた・・・
身体を捩って逃げようとしましたが両肩を掴まれているから動けません、私は爪が割れるのも気にせず地面を掻き毟ります。
「わぁぁん!、誰か助けて!」
泣き叫んでも誰も助けに来てくれません・・・。
私に卵を産みつけ終えた魔物さんは気が済んだのか森の奥に消えていきました、もうどうでもいいや・・・お腹で孵化した幼虫が成虫になった時、私の短い人生が終わるのですから。
「せめて苦しまずに死ねる事を祈りましょうか」
そう思って意識を手放してどれくらい経ったでしょう・・・。
・・・
・・・
ざっざっ・・・
「なんだぁ!、こんなとこにガキが倒れてるぜ!」
「うわ、酷ぇな・・・さっき俺が仕留めた奴に襲われたのか」
「おいおいリック、近寄って何見てんだよ、こいつまだガキだぜ・・・ってまさかお前そんな趣味が」
「違ぇよ!」
うるさいですね、男達の声がして目が覚めてしまいました・・・。
「おっ、目ぇ開けたぞ、まだ生きてるが・・・アレに卵を産みつけられてるみたいだし助からねぇだろ、楽にしてやるか?」
「おいやめろ、放っておいても死んじまうんだから俺達が余計な事してバレたらまずい」
「そうだな、早く帰って酒飲みてぇ」
死にかけている私の前で信じられないような会話をする男達・・・私は心の中でハゲになる呪いをかけました。
「待てよ!、このまま放っておくのか?」
クソ野郎どもの中にまともな人が居たようです、路地裏でお金を拾えるよう祈っておきましょう。
「荷物持ちの分際で俺らに意見しようってのか?、お前をここに置いて行ってもいいんだぜ、一人で街まで帰れねぇだろうがな」
「・・・」
「私は大丈夫・・・では全然無いのですが、気にせず行ってください(ニコッ)」
私は顔を横に向けて目の前に立っているおじさんにそう言いました、昨夜ゴブリンさんのせいで嬌声・・・いえ、叫び続けたので喉が潰れて驚くほど声が掠れています。
「ここで殺して貰えるとありがたいのですが、これ以上迷惑をかけるわけにはいきません」
それに今すぐ死んでしまうのは怖いし心の準備も必要です。
まだ卵が孵化して成虫になるまで時間があるのです、お腹が目立ち始めたら頃合いを見て崖から飛び降りて死にましょう。
「・・・」
「私はほぼ全裸なのでそんなに見つめられると恥ずかしいのですが」
私は広げて丸見えだった両足を閉じ、ぺったんこな胸を血まみれの手で隠して言いました。
ふいっ・・・
おじさんが顔を逸らしました、このおじさんはとても良い人です、そのうち大金を拾えるよう祈っておきましょう。
・・・
「ぐるるるるっ・・・」
がさがさっ!
茂みが動いて狼型の大きな魔物さんが顔を出しました、武器を持った3人のクソ野郎達が身構えます。
「でかいな!、こいつを仕留めたら大儲けだ」
剣士っぽいクソ野郎の顔が欲で醜く歪みます。
「油断するなよ・・・」
魔導士姿のローブを着たクソ野郎が杖を構えて魔法を放ちます、でも自信満々で出したそれは不完全な下級魔法・・・。
「がう!」
「魔法が打ち消されたぞ!」
この大きな魔狼さんは魔法が使えるようです、もしかして上位個体?。
「やばい!、上位個体だ、変異種の可能性もある!」
もう一人のクソ野郎が剣を構えて魔狼さんに襲い掛かります。
キンッ・・・
剣が折れました。
ぐしゃ!
「へぶぅ!」
剣士の男が魔狼さんの足に潰されてお腹の中身が出てしまいました、私に酷い事を言った報いです、私は心の中で狼さんに拍手をしました!。
「ダレス!・・・おっさん、悪いが囮になってくれ」
ざしゅ・・・
「ぐっ!」
剣士のクソ野郎がおじさんの足を剣で斬りました、おじさんは地面に膝をついて痛そうにしています。
「リック、逃げるぞ!」
「おい待てロリー!、荷物はどうすんだよ!」
しょぼい魔法で狼さんの動きを止めていた魔導士のクソ野郎がロリーと呼ばれた剣士に言いました。
「上位個体は無理だ、荷物は惜しいが命の方が大事だぜ!」
「チッ!」
逃げていく2人のクソ野郎を見送り呆然とするおじさん、ダレスと呼ばれたクソ野郎の死体を頭からボリボリ食べていた狼さんがこっちを見て私と目が合ってしまいました!。
「ひぃ・・・」
がばっ!
優しいおじさんが私を抱き寄せてこちらに近付いてくる狼さんから庇ってくれています。
「え・・・ちょっと待ってください!、このおじさん・・・」
思わず呟いた私の身体を抱き抱えて茂みに走るおじさん、でも足を斬られているからすぐに転けてしまいました。
「ぐぇ」
おじさんの大きな身体に押しつぶされそうになって女の子らしくない声が出てしまいました!。
「がおー!」
狼さんは既に臨戦体制です、跳び掛かられたら終わり・・・2人とも食べられてしまうでしょう。
「おじさん、魔力を貰います!」
「あ?、何を言って・・・むぐぅ!」
ちゅぅぅぅぅ!
私はおじさんの無精髭でじょりじょりするお口にキス・・・じゃなくてお口から魔力を吸い取ります、本当は手を繋ぐだけでもいいのですが今は緊急事態、こちらの方が早いのです!。
おじさんは狼さんに背中を向けて私はその下、飛びかかる狼さんを狙って私は魔法陣を起動しました。
「燃えなさいっ!」
ぱあっ!
どんっ!
「ぎゃぁぁぁす!」
どさっ!
私の放った炎魔法に包まれて消し炭になる狼さん・・・と、それを見つめるおじさん・・・。
「きゅぅ・・・」
がくっ・・・
身体への急激な魔力負荷に耐えられず、私はここで意識を手放しました。
「んぅ・・・」
「目が覚めたか?」
「え・・・ひゃぁぁ!」
「おいこら暴れるな!」
目覚めたらおじさんの顔が目の前に迫っていて私は思わず叫びました。
どさっ!
ごろごろっ
「あぁぁ痛ったぁい!、頭ぁぁぁ!」
どうやら木の上だったようで、落下した私は剥き出しの木の根に後頭部を強打して転げ回ります。
ざざっ!
「おい大丈夫・・・じゃねぇよな?」
おじさんが木の上から地上に降りて私に話しかけました。
「何で木の上にっ!」
「俺一人じゃ襲ってくる魔物どもに対処できねぇから木の上に避難してた」
既に私の魔力は尽きているのでおじさんの手に触れて補充・・・。
「おい、なんで俺の手を・・・」
ぱあっ!
私達の頭上に魔法陣が現れました、これで普通の魔物くらいなら大丈夫でしょう。
「なんだよこの魔法陣?」
「結界の魔法・・・魔物さんが襲ってきても跳ね返します、ところで身体を洗いたいのですが・・・」
私は一晩中ゴブリンさんに陵辱されて朝にはベンダルという魔物に卵を産み付けられました。
今の私は魔物の体液や血でベトベト・・・自分の身体が汚されてしまった現実に涙が溢れます。
「えっぐ・・・ぐすっ・・・ひっく」
「泣くなよ・・・って言っても無理か、この辺に水場は無ぇ、それに水の中にも魔物どもが居るし危険だぜ」
おじさんは地面に座り込んで泣き出した私の頭を優しく撫でてくれました。
・・・
・・・
「・・・泣き止んだか、上で光ってるやつや魔物を仕留めた魔法陣について聞きたい事は山ほどあるがとりあえず立て」
そう言っておじさんは私を立ち上がらせると腰につけていた水筒の水で布を濡らし、私の身体を拭き始めました。
「ひゃぁぁ!、そこはいいですっ!、自分でやります!」
布を持ったおじさんの手が背中から私の股間に迫ってきたので慌てて叫びます、いくら全裸を見られていると言ってもそんな所まで触れられるのは嫌です!。
「おう、そうだな、俺もどうしようか迷った」
ふきふき・・・
私は布を受け取り身体を拭き始めました。
「ひぃっ」
下腹部を押すと激しい痛みと共に魔物さんに注がれた体液や血がどろりと垂れて・・・。
ごしごしごしごし・・・
どんっ!、どんっ!
「おいやめろ、腹をそんなに叩くな!」
「いやぁぁ!、汚いです!、気持ち悪いですっ!」
・・・
・・・
「落ち着いたか、手を離してやるが・・・もう暴れるなよ、こんなところを誰かに見られたら俺がやばい」
「・・・」
そう言っておじさんはブーツを履いている以外殆ど全裸の私を押し倒していた手を離してくれました。
「ごめんなさい・・・」
「魔物に犯された娘は何度か見てるが・・・お前は落ち着いてる方だぜ、普通なら正気を無くしちまうほどの恐怖と絶望だ」
そう、私は自分でも驚くほど達観しています、あの魔物さんに卵を産み付けられた人間は死亡宣告をされたも同然なのです、でも・・・。
「卵が孵化・・・は既にしていると思うので幼虫が成虫になるまで・・・50日くらいでしたっけ」
私は既に答えを知っているのにおじさんに尋ねてみます。
「俺もあまり詳しく無ぇがそんなとこだろうな」
普通なら私の命はあと50日、それを過ぎれば成虫がお腹を破ってコンニチハと顔を出すのです。
「おじさん、取引をしませんか?」
「あ?、殺してくれってのは無しだぜ、バレたら俺が捕まっちまう」
「私はおじさんと一緒に行動して魔物を沢山仕留めます、代わりにおじさんは私に魔力を分けてください」
「何を言ってるのか意味が分からねぇんだが・・・」
「ダメですか?、見かけによらず欲深いですね・・・それなら魔物素材の取り分はおじさんが7で私が3・・・どうでしょうか?」
私は上目遣いでおじさんを見ました、これを断られたら本当に私は終わりです。
がしっ!
みしっ・・・
おじさんが私の顔面を掴みました、痛いです!。
「あぁぁ!、痛いですぅ!」
読んでいただきありがとうございます!。
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