○クライマックスフェイズ~後編~
…………
……
暗転した視界の中、目の前に一つの不思議な光景が浮かび上がる。
「……じゃん、けん、ぽん!」
公園で、10歳にも満たないであろう男子と女子がじゃんけん遊びに興じている。
少女の声が、とてもとても懐かしい。
「チ、ョ、コ、レ、イ、トっ。いさみ君、ジャンケンよわ〜い」
――ああ、これは昔の記憶だ。
同じ孤児院にいた幼馴染と、遊んでいる時の記憶。
「もう一回……ぽんっ!」
再びじゃんけん。
俺はグー、少女はパー。またもや進む権利は彼女に与えられた。
「あはは、また私の勝ち♪ パ、イ、ナ、ッ、プ、ル……」
連続でジャンケンに勝った少女は、得意げにこちらを向きながら、後ろ向きに進んでいって。
そして、気づかぬままに、道路に飛び出して……
『ああっ、危ない――!』
そう、俺が声を上げた時には、何もかもが手遅れだった。
これは昔の記憶。同じ孤児院にいた幼馴染と遊んでいる時の記憶。
そして、決して忘れたくても忘れられない、忘れるワケにはいかない、痛みの記憶。
……あの時俺がチョキを出してじゃんけんに勝っていれば、あの子は事故に遭わなかったかもしれない。
けれどそんな後悔はどれだけしても無意味で。代わりに俺は事故のショックで力に目覚めた。
それは、あの時出せなかったチョキを出す力。
即ち――『6歩進む間だけ時をやり直す能力』。
「はっ。ボーッとしてる場合じゃねぇ……!」
レネゲイドが見せた走馬灯から我に返る。
「衝動に……呑まれる、前に……っ!」
暴走する寸前に右手でチョキを作れば、6つの魔眼が姿を表し時が僅かに遡る。
「チ、ョ、コ、レ、イッ――」
一歩一歩踏みしめながら、戦闘の余波で割れた地面から頭の大きさ程のコンクリートの欠片を拾い上げ……
――そして時は動き出す――
「──トォォォッ!!!」
弾丸の軌道上へ、コンクリート片が勢いよく放り投げられた!
ブラスターの放った弾丸はそれを粉微塵に粉砕するが、本来の標的であったシズクには届かなかった。
シズク:「ありがと、助かったよ」とほほ笑む。
勇己:「っ……後は頼みます!!」
日明:後ろからそれを見ていたオルトロスは、二人共無事でよかった――と言うかのようにほっと息をついている。
ブラスター(GM):「ちっ、余計な邪魔が入ったか……」
GM:イニシアチブプロセス、行動値10でリカルドさんの番です。
リカルド:たぶん。よっすんは、こういう場では聞かないだろうものを。聞こうとしている。シズクに《アドヴァイス》Lv6+《弱点看破》Lv4。
風が、集う。
けれども、それは「聞こえている」。
痛みに抗うだけで身体は動かせない。
けれど、まだ、口元ぐらいは動くだろうと。思いついたかどうかは、定かでなく。
歌のような、何かが、紡がれた。
日明:「――!」 こんなところで彼の歌を聴くことになるなんて思わなかった、という顔をして。
シズク:「……いい旋律。今度使わせてもらおっかな」なんてくすりと。
GM:演出大丈夫ならジャームの番でございますよー?
リカルド:いいよー。
GM:イニシアチブプロセス、行動値10でジャームの番です。マイナー:なし、メジャー:《コンセントレイト:エグザイル》Lv2+《伸縮腕》Lv3+《踊る髪》Lv2+《渇きの主》Lv5+《爪剣》Lv5。
(ダイスを振る)対象シズクちゃん(ダイスを振る)達成値25!
勇己:《軍神の守り》!カバーリングします!
GM:硬直もついてくるけど大丈夫?
勇己:大丈夫!
リカルド:命中硬直でしたっけ?
GM:1点貫通で硬直ですね。でも装甲無視だよ?
勇己:カバーOKならそのまま《竜鱗》を使用して攻撃喰らいます。
日明:《竜鱗》使わないと《衝撃相殺》使えないもんねえ。
勇己:前のラウンドから硬直しっぱなしな気もする。動かずにジャームを片方始末してた筈だから……(確か)
始末してました。
リカルド:ダメージみて軽減いれましゅ。
GM:(ダイスを振る)26点装甲無視。
勇己:8点通します。硬直受けました。
GM:渇きの主で回復したのでジャームの残りHP42です。リカルドさん《波紋の方陣》使う?
リカルド:はいらないですねすいません。
GM:ういうい。では8点通りー。イニシアチブプロセス、行動値4でシズクちゃんの番かな。
シズク:で―――は―――……
リカルド:プロには、こう聞こえたと思われる歌詞が。(ちょっと間を開けました。
リカルドが口ずさんだ歌の歌詞。
それは贖罪の歌。そして、それでも進もうとする、希望の光も差した歌。
そんな歌が、シズクに目の前の敵を斬り道を開く力となる――!
「さて……じゃあ、私は踊ろうか!」
シズク:マイナーアクション、《ライトスピード》使います!
GM:2回行動クルー!?
シズク:おふこーす!
日明:ktkr!
GM:こいよぉ(ふるえ
リカルド:対象の次の判定に「C値-1(下限6)、判定+6D」&ラウンド中攻撃力+12 前後したけど支援はこちら。前半は1回目にだけ適用だから気をつけてね!
シズク:「我が心、既に空なり。空なるが故に無。我至るは……即ち、無念無想の境地なり」でーはー、先にどっち殴る?
リカルド:後ろ優先で。:まだダメキャン残ってたらどうしようもない。
日明:だね。前はいさみんでも対処できるし。
勇己:雑魚はいさみんがやれます。
シズク:では【霜月流最終極地『剣境・無念無想剣』(《コンセントレイト:サラマンダー》Lv3+《クロスバースト》Lv4+《吠え猛る爪》Lv4+《灼熱の砦》Lv4+《フレイムタン》Lv5+《浸透撃》Lv3)】、対象はブラスター!
GM:ダイスどうぞー。
シズク:でーはー(振る)達成値50!
GM:《リフレックス:ブラックドッグ》Lv2+《ゲットダウン》Lv2でドッジを試みます(振る)達成値35で命中。ダメージどうぞ。
シズク:(振る)83点装甲無視ガード不可!
GM:さすがにむぅーりぃー、なので《刹那の勝機》で打消し!
リカルド:持ってたかお義兄さん!
GM:攻撃の演出あればどうぞ。
……すぅ、と表情が消える。
その瞬間。まるで時間が飛んだかのような、起こりも気配もない神速の斬撃がブラスターめがけて放たれる。
己の体に全てを委ね、その動くままに心中発声無く剣を振う無双にして無想の境地、剣境・無念無想剣。
しかし――その振るわれる剣の先に、ブラスターの姿はない。
「っ!」
「この程度か、霜月雫」
この程度でなど、終わるワケがなかった。
「――奥義の先を、見せてあげる」
GM:はい2撃目どうぞ。
シズク:【霜月雫秘奥『秘剣・時流』(《コンセントレイト:サラマンダー》Lv3+《クロスバースト》Lv4+《吠え猛る爪》Lv4+《灼熱の砦》Lv4+《フレイムタン》Lv5+《浸透撃》Lv3)】!
GM:ダイスどうぞーん!
シズク:(振る)達成値33、まあやむなし。
GM:《リフレックス:ブラックドッグ》Lv2+《ゲットダウン》Lv2でドッジを略(振る)達成値32、あぶない。
リカルド:いちたりない!!
日明:ようかいいちたりないが助けてくれた!!!!!
GM:命中です。ダメージどうぞ。
シズク:(振る)74点装甲無視ガード不可!
GM:累積257点!ブラスター戦闘不能です。フィニッシュブローの演出どうぞ。
同時のような、ではない。
時間遡行に至り、完全に同一の時間に剣を重ね合わせる、剣の究極。
「時はただ流れ、それにあらがうことは出来ない。だけど…努力で、少しくらいなら抗える。
……『時流』。この奥義で、それを教えてあげる」
一瞬、ではなく。
完全なる同時タイミングで、避けた先に振われて「いる」剣閃が、ブラスターを切り裂く!
「な……にぃ!?」
剣閃がブラスターの仮面を割る。仮面の下はただただ驚愕の表情を浮かべていた。
「私の剣は時を超える。努力で時だって人は超えられる。だから、過去にあらがう事だって出来るでしょ?
……頑張れ、ヒーロー」
そう言って剣聖は剣を収める――。
「……過去に抗う、か」
GM:でーはー、ブラスターは《ラストアクション》を宣言します。
勇己:ギャー!?
日明:粘るなあ!?!?
シズク:やりおるwww
リカルド:GM。その。まさかですが。 自殺 じゃ ない よ ね ?????
「だが――俺はもう手遅れだ」
そう呟き、ブラスターは銃口を突きつける。それが向かう先は勇己ら、ヒーローたちではなく――
自分自身だった。
GM:自分に<トドメを刺す>宣言で攻撃します。
日明:あ゛あああああああああああああ!!?!?!?
シズク:だ、だれかなにかー!?
リカルド:これ軽減しても大丈夫なのかな大丈夫だよね嘘だと言ってよばー○いいいいいいい!!!!!?
勇己:「っ!? バカやろっ──」駆けつけて止めたい!
日明:「っ!!————っ!!!」 無理やりにでも体を動かして止めるムーブがしたーい!!!!演出で!!!!!
シズク:シズクは出来る事ねんだよなあ……w
GM:一応ダメージ出そうか。(振る)達成値24。
リカルド:あ、GM。
GM:《波紋の方陣》使う?
リカルド:《子羊の歌》を歌うと、どうなりますか。
日明:リカルドさーん!?
リカルド:ダメージを全部リカルドが受けることになりますが。
GM:リカルドさんに攻撃がいきますね。
日明:でもリカルドさん戦闘不能になってないから「トドメを刺す」は通用しないんじゃ?
GM:ですね、戦闘不能になってないのでダメージだけです。
日明:戦闘不能の状態で「トドメを刺す」で初めて死亡じゃなかったっけ。
GM:そうそう。
勇己:ということは…!?
リカルド:えーと、一点でもダメージが入ってないからトドメがさせないんだっけちょっとまって(確認)あ。ダメージを1点でも与えられないと「トドメを刺す」は成立しないらしい。
GM:1点貫通でトドメですね。つまり貫通しなければおっけー。
ブラスターが、自ら命を断とうとしている。
「(くっ…時流の反動が。残心を怠った…!)」
反動により動きが鈍り、止めようにも一手一手に遅れが出てしまうがそれでもやらせまいと手を伸ばすシズク。
「(こんな終わりじゃダメだ……彼がっ、彼の手が届かなかったなんて、そんなこと――ッ!!!)
ゃ……——……―――――――っ!!!」
日明は声にならぬ声でやめろと叫び、這いずってでも止めようと藻掻く。友の手を届かせる為に。
だが。
「クソっ……6歩じゃ届かないっ」
勇己の時を遡る力を行使しようとも、僅か6歩の間ではブラスターの自殺は止められない。
もう打つ手はない――その言葉が各々の脳裏を過りかけたその時。
「……それを、だれが、のぞむ ものか」
リカルドの風がブラスターを阻止するかのように吹き荒れる……!
リカルド:《子羊の歌》を歌います。 いいか。効果は対象への全ダメージ軽減。代償として、軽減分のHPを失います。ブラスターに。
それは他者の傷を自らに移し替える禁忌の『歌』。
現在ブラスターを止めることのできる唯一の方法であろうエフェクト。リカルドは、迷いなくそれを行使する――
いや、しようとした。
「ケッケッケ、そんなことされちゃあ、困るんだよなァ!?」
どこからか笑い声が響き、『歌』が、止まったのだ。
GM:エネミーエフェクト《ミスリード》で子羊の歌を打ち消します。
勇己:てめえ―――!!!!?
日明:お前ええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?!?!?!
シズク:ふぁ―――っくwwwww
リカルド:なるほど。じゃあそういうことかな?GM コスト払うんだっけこれ……(確認)うん、使用したことにはなりそうだな。
「……あ。」
それは、誰も救えぬのだという、虚無への到来。
「あ、あ」
風が、
「あああああああああああああああああああああああああああ」
主の身体を裂くように。
「お、おまええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
荒れ狂う。
――ただ、見ていることしか、俺には、できないというのか。
リカルドの慟哭と共に銃声が響き……ブラスターの身体は支えを失う。
真っ直ぐに、海へと落ちて行く……
「─―~~っ!」
落ちていくブラスターへ、勇己は手を伸ばしながら何を叫んだのだろう。その答えは本人すらも、わからなかった。
GM:というところでシーン切っていいですか。
シズク:OK。
日明:どうぞ。(どうぞ)
リカルド:はーい。
勇己:シーンOKです。




