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終わりの夜  作者: みゃなほ
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終わりのない

二章

一日目

痛い。どうやら草むらに落ちたようだ。顔を上げると目の前には見たことのない位大きな木がそびえ立っている。こんなにも大きいのになぜか寂しそう。それはまるでこの世界を物語っているようでなんか…。「陵!?やっと会えた…」突然のことだ。見たことも話したこともない女の人が蒼汰に愛おしそうな声で後ろから飛びつく。「いや、あの俺違い」「もう、一体何十年待ったと思うの?」「だから!違うだって!俺は」「でも、良かった。もうどこにも行かないでね」怒った声だが目元にはうっすら涙かな見える。「話を聞け!俺は陵じゃなくて蒼汰だ!」そう言うとその女の人は一瞬戸惑ったことをして蒼汰の顔をじっと見つめ「たしかに、陵はこんなにガキじゃないわ。」「うっせいな」失礼な奴だ。勝手な勘違いをした上にガキとか言いやがって。「なんだ、やっと会えたと思ったのに期待させないでよね!てかあんた誰だし?」そういって蒼汰を睨みつける。さっきとは全く違う性格。でも俺が病気になる前の姉みたいで懐かしい。あの頃は喧嘩ばっかりで嫌だったけど今ではあの頃に戻りたいなんて思う。ほんとに人間ってわがままだ。でもそれがある意味人間らしい。「ちょっと聞こえてる?名前はなんなの?」と俺の目の前でおーいと言いながら手を振っている。「聞こえてるつーの。俺の名前は蒼汰」「へぇ、私の名前はのあ。どうせ不死身の薬でも取りに来たんでしょう?残念だけど諦めて元いた地球に帰りなさい。」と強く言う。「絶対嫌だ。なんとしても手に入れる。それに、あと一ヶ月もチャンスはあるしな」「不死身になったって後悔するだけよ」切ない顔で蒼汰にそううったいかけるが。「俺は…死の呪いを待ち続けるのはもう嫌なんだよ。後悔したって構わない。死んだら全て終わりになるよりも何倍もマシだ。」のあの声なんて聞こえちゃいない。聞きたくもない。だって俺にはもうこの道しかないから。闇へと進む覚悟はできている。「わかった、勝手にしな。まぁ私から奪い取れるかはわからないけど」そういってポケットにはいった不死身の薬らしき物を振りのあは花畑の方に歩いて行く。すると振り向き蒼汰の方を向き「案内してあげないこともないから、ついてきなよ」と恥ずかしそうに言った。

約3時間色んなところを案内してもらったがどこも地球にもありそうな場所であまり違う世界に来たという感覚はなかった。でもなんか昔みたいな風景で今みたいなビルがたくさんという感じではなくほんとに自然と共存しているようでとても居心地が良い。しかし一体誰がこんな世界を作ったか不思議だ。「蒼汰、ここが私の家。貴方はここにいる間ここで寝泊まりしてね。」「あ、ありがとうございます。」「いいのよ、それに久しぶり一人じゃないから嬉しい」そういって太陽のように笑った。なんだそんな顔もできるんじゃん。

それからお風呂にも入らせてもらい、夜ご飯を食べ久しぶり家に帰ったようで幸せな気持ちになった。でも俺にはやるべきことがある。忘れてはならない。そう心に言った。でもそれは明日からでいいや。蒼汰はふかふかのベッドに飛び込み眠りに落ちた。

2日目

「蒼汰おはよう。」お母さん?なんでいるの死んだはずじゃ。

ガタン

なんだ夢か。随分懐かしい思い出。はっきり思い出せない、いや思い出したくない記憶。

部屋から出ると奥からシャワーの音が聞こえる。今が不死身の薬を奪うチャンスだ。そう思い急ぐと予想通りあった。無防備にポイッとおいているのを確認してこっそり取るとすぐその場を離れ瓶を裏返すと"はずれ!"とムカつくぐらい大きな字で書かれていた。「やられたー!」と蒼汰が叫ぶとお風呂場からまるで罠に引っかかったネズミを見た猫のように馬鹿にするクスクス声が小さく聞こえた。はめられた。

単純な自分が恥ずかしくなり部屋に戻るとすぐにベッドに入り枕に顔をうずくめた。そうえば、気がついたことがある。どうやらここの世界には夜がないらしい。本当にこの世界は不思議ばかりだ。「朝ごはんできたよ」下から明るい声が聞こえた。下に行くと香ばしい匂いが部屋中を包み込んでいる。

ご飯を食べ終わるとのあは庭に出て野菜の世話をしはじめたのがベランダから見える。あんな性格だがのあは結構美人だと思う。目は少しつり目で横から見たらまつげが長いというのがわかるし肌は透き通る位白い。風が吹くと肩くらいのある黒髪がなびく。するとのあがこっちに気づきなびく髪を押さえて「どこか散歩してきていいのに。」そう叫んだ。「あぁ、そうするよ」と蒼汰が返事をするとちゃかすようにのあは「寝癖直して行きなよ」と蒼汰に言った。寝癖にやっと気づき恥ずかしそうに直す蒼汰を見てのあは指を指しながら笑った。そして「別に帰ってこなくてもいいからね」とそう言って畑仕事を再開しはじめる。「はいはい」と軽く返事をして出かけた。

外に出ると思った以上に太陽の光が眩しい。きっと久しぶりだからというのも理由であろう。その眩しさに耐えて、最初に見た大きな樹木の場所に行った。葉っぱの日陰に入り一休みしていると小鳥が一羽蒼汰の側まで飛んできた。生き物はちゃんといるんだな。そう思い小鳥手を差延べてみると青空に羽ばたいて見えなくなった。のあはどうやってここに来たんだろう。なぜここから離れないんだろう。そんな疑問が頭に浮かぶ、でもきっと…なにかあるはず…だ。


どうやら俺は寝てしまっていたらしい。隣を見るとのあも寝ている。きっと俺を探しに来たんだろうな。無防備に寝ている子供みたいで頭撫でると「うぅ、あ、おはよう。」そういって眠たそうに伸びをした。「なあ、のあ陵ってどんなやつだった?」自分でも驚いたなんでこんなことを聞いたんだか。のあは少し驚いた顔をして「どうしたの?いきなり」と少し笑いながら言った。「なんとなくだよ」とごまかすように目線をそらすとのあは突然立ち上がって手を伸ばし「月みたいな人。」となつかしそうに話した。「え?」どういうことだ。「ほら月ってさ決して太陽のように目立たないし地味だけど無くてはならない物でしょ?陵はそんな人。」「本当に大切なんだな。陵っていう人のこと」「当たり前よ。結婚してるんだし」え?「何驚いた顔してるの?なんなら子供だっているし」と平然とした顔で言う。今までのあの年齢とか聞いてなかったが見た目的に俺と同じ大学生だと勝手に思っていたから衝撃的だ。「てか、蒼汰が私を何歳と思ってるか知らないけど私一応26歳だからね。まぁ実際は何百歳だと思うけど

さ。」え、えーのあが26歳!?ありえないありえない!あの子供みたいな行動するのあが俺より年上!?信じられない頭の中パニックがなっている。「なによ?文句ある?」とのあは蒼汰を叩きながら言う。「いたい、いたい」と子供をあやすみたいに頭を撫でると「バカにしないでよね」と頬を膨らまたそっぽを向いた。「のあ…やっぱりなんでもない」「はー?なんなのよー」とすねた。今の俺にはのあの過去を聞く勇気なんてなかった。今はとりあえず、のあが笑顔でいられる日々を作ってあげたい。たとえそんな日々に終わりが来るとわかっていたとしても。

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