18, 湿った山道
シラカシと犬柳は、仕事の現場へと向かっていた。
シラカシの軽トラは、
会社のある市街地から少しずつ郊外へと向かってゆく。
目の前には微妙に低い山がいくつか見える。
岩が尖っている、落ちたら痛そうな川を何度か越え、
一年に一回くらい落石とかしてそうな山道に入っていく。
川沿いに車を走らせていた時、軽トラが、
ギーーーと鳴った。
左手前から出っ張っている岩に擦ったのだ。
「……修理代が…。(泣)」
車をバックさせ、別のルートを通る事になった。
少し移動して、
何のためにあるのかわからない謎の小さな駐車場に
軽トラを停める。
「やばい…結構擦れてる……
塗装がぁ……」
犬柳は思った
”なんか気まずい…!”
シラカシ
「よし……
まあ……
とりあえず様子を見に行こう…」
歩道に入ろうとした時、
白いワゴン車が突っ込んできた。
「待ちなぁさい!!
実演…?
みたいな?手伝い?みたいな?するよ!!
付いてく!!!」
猫柳だ。
犬柳「なんでついてきたんスか!!」
猫柳「押し売り…じゃなくて…
在庫が余ってるからよ!!!!
200個も余ってんのよ!!!
頑張って開発したのに売れ残ったらなんか悲しいでしょ!!
だから無理やり営業してんのよ!!
初めてだけどね!!!」
犬柳「何個生産したんスか?!!」
猫柳「10万よ!!!」
犬柳「それはすでに大成功なんスよ!!!」
シラカシは思った"めんどくさいな……”
そして、山の中へと続く階段をすーっと下る。
犬柳「あ”ぁーー
シラカシさんもう先言ってるじゃないスか!!!
待ってぇ〜」
戦後に何も考えずに植えられた杉が
たくさん生えている。
しばらく歩くと、植生は変わり、
アラカシやアオキなどが増えてくる。
猫柳「うわっ!!
ビックリ!!
なんだ25cmのペルビアンジャイアントオオムカデか〜」
怪我してる人が入ると間違いなく病気になりそうな沢に突き当たり、
さらに沢沿いを下ってゆく。
犬柳「なんか空気が汚い気がするっス!!
猫柳さんなんかの検知管とか持ってないっスか?
猫柳さん…?」
猫柳「……
ぎ…ぎゃああああ!!!
ざとうむしだああああああ!!!」
犬柳「猫柳さんマッテ〜!!」
シラカシ「ん?どうした?
あれ居ない…」
シラカシは二人とはぐれてしまった
「まあ良いや、とりあえず一人で現場観に行こう…」
そして、さらに歩いてゆく。
すると、今度は林が開け、風通しが良くなってくる。
赤松やドロノキがまばらに生えている。
そしてその先には幅12mほどの急流の川があった。
上を見上げるとさっき車で通った橋が見える。
普段なら綺麗な景色が見えるらしいが、
この日は前日に雨が降ったので、川が茶色く濁り、
さらに曇りだ。
そして、さらに川沿いを上流へと登ってゆく。
シラカシは”思ってたより遠いな”と思った。
また進んで、コンクリート護岸が見えてくる頃、
上から枝が降ってくる。
シラカシの頭に直撃したが、
運良くヘルメットをかぶっていたので平気だった。
すると上から声がする
「あれ!!この前のシラカシくんじゃない〜♫」
石蒜きつねさんだ。
チェーンソーを持っている。
シラカシ
「きつねさんでしたか〜〜!!
久しぶりですね〜!
伐採ですか〜?」
きつね「そうなの〜♫
電線に干渉するからっていう依頼〜♫」
すると、横から聞き慣れた声がする。
「あれシラカシじゃん!!」
水松だ。
きつね「お知り合い〜?」
水松「友達!!」
シラカシ「二人ともなんで一緒に!?」
水松「きつねさんもわたしと同じ
知殻柔業(株)なの!」
きつね「知殻柔業(株)の空師だよ〜♫」
〜その頃犬柳たち〜
犬柳「ここどこっスか!!
なんか川も汚いし!!!!」
猫柳「社長に電話できない!!
圏外!!
だれかたすけてぇぇぇ!!!」
犬柳「うるさぁああい!!!」




