86/204
86
春馬が氷柱に触れる。
「この場所は、おそらくずっと寒いんだよ」
春馬の言葉に蜜柑が頷く。
「そうだ!!」
突然、春馬が大声を出し、蜜柑を驚かせた。
「どうしたの?」
春馬がバックパックから、この前、拾った蛇美羅の皮を取り出し、見つめる。
「ふむふむ」
それから「エレメントシェル」をひとつ、手に取った。
「シェル」を氷柱に近づけ、出っ張りを押す。
氷の、ごく一部が消え、白い球へと吸い込まれる。
「これで良し。さあ、出口を探そう」
春馬が出した物を全てバックパックに入れ、再び二人は歩きだした。
蛇美羅が前に出た。
中段の構えから、隼人の顔に突きを放つ。
すれすれでかわした隼人は、そのまま二刀を鞘走らせる。
「俺流、バツ斬り!!」
下からせり上がる二刀が、蛇美羅の身体をバツの字に斬るかと思われた。
が。
突きの体勢から戻った蛇美羅の刀が、隼人の二刀を同時に止めた。
「なっ!?」
隼人が、たたらを踏む。
何という蛇美羅の力か。