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ろうそくを節約するためにひとつしか使わず、二人は寄り添って歩いた。
蜜柑はすぐ側にある春馬の顔を見て、急にどきりとした。
城では竜丸以外の年齢が近い男子と、この距離まで近づいたことはない。
眼鏡の向こうにある春馬の瞳の上まつ毛が、長く美しいと蜜柑は気づいた。
心臓の鼓動が高鳴った。
春馬が蜜柑の瞳を見つめた。
「きれいだね」
「え!?」
蜜柑の顔が一気に真っ赤になる。
「な、何を…」
「天然の鍾乳石って、本当にきれいだよ」
うろたえる蜜柑に春馬が言った。
「あ! そ、そうだね! 本当にきれい、鍾乳石!! あはは!!」
蜜柑の顔がさらに真っ赤になった。
「あれ? 蜜柑さん、顔が赤いね?」
「そ、そんなことない!!」
春馬が蜜柑の額に右手を当てた。
「熱はないみたいだな。何だろう? 空気が薄いのかな?」
春馬が首を傾げる。
肌に触れられた蜜柑は、ますます赤くなる。
「は、春馬! 早く進もう!」
「うん」
二人は前へと歩きだした。
洞窟は、さらに広い場所へと繋がった。
「あれ? いやに寒いな」
春馬が言った。
確かに空気が、ひんやりとしている。
二人の息が白くなった。
「あ!」
蜜柑が前方を指す。
空間の真ん中あたりに大きな氷柱が、そびえ立っていた。
二人は、その近くへ進んだ。
「すごいなー」




