57/204
57
蜜柑を庇いつつも、春馬が情けない声を出した。
「任せて!」
蜜柑が応じた。
その双眸が銀色に輝く。
霊を探す。
白煙が蜜柑の頭上で渦巻いた。
老人の姿が現れる。
右眼に眼帯。
忍び装束であった。
「そなたの名は!?」と蜜柑。
「幻斎」
霊が答えた。
「ボクに力を貸して」
「ふふふ。この地をさ迷うのも飽きてきたところ」
幻斎が笑った。
「良かろう。力を貸してやろう」
「では幻斎!!」
「うむ」
「いざ!」
「いざ!」
「「魂繋ぎ!!」」
老忍者、幻斎が蜜柑と繋がり、半透明となった。
「あれ?」
春馬が言った。
「ずいぶん、お爺さんみたいだけど大丈夫?」
「小僧」
幻斎が答える。
「見た目だけで判断しては命取りぞ」
「ええ!?」
言い返された春馬が驚く。
背後で起こっている騒動に蛇美羅は動揺していた。
やはり飛刃も腕丸も、けしてまぐれなどではなく、この三人の子供に倒されたのだ。
まずは眼の前の敵を早く始末せねばならない。
と、そこへ。