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武龍伝  作者: もんじろう
30/204

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 蛍火によると小諸信竜は二人の子供の行方を調べるよう、この里に依頼しているという。


 頭領は沈思(ちんし)した。


 このところ、国中の孤児を集め、忍びにするという流れは、あまり上手くいっていない。


 子供の才を見抜き教育する(かなめ)であった十蔵が里を去ってからは、特にその傾向が顕著(けんちょ)であった。


 使い物になる手下も、けして多くはない。


 しかし、蛍火を傷つけられ「鳳衆」に敗れたままというのは(しゃく)に触るうえ、忍びの世界での評判を悪くはすれども、良くするとはとても言い難い。


 何らかの意趣返(いしゅがえ)しはせねばならぬ。


陽炎(かげろう)はおるか?」


 頭領が言った。


「ここに」


 頭領が住む屋敷の奥の暗闇から一人の娘が、すーっと音も立てずに姿を現した。


 さして美しいとも言えず、かといって醜くもない。


 たまご型の顔に、やや細い両眼。


 肩ほどまでの黒髪を無造作に後ろで束ねていた。


 おそらくは、すれ違ったとしても印象の残らない娘、それが陽炎であった。

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