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武龍伝  作者: もんじろう
105/204

105

 虹丸は歯噛みした。


「情けない顔をするな」


 虹丸の背後から聞き覚えがある男の声がした。


 皆が声の主を見た。


 蜜柑の頭上に白い煙が渦巻いている。


 煙は三十代ほどの男の姿を形造っていた。


 短髪で、やや面長。


 男前だが、鼻の上に真一文字の傷がある。


「十蔵さんっ!!」


 虹丸が叫んだ。


 信じられないものを見た顔だ。


「よう、虹丸」


 煙の男、十蔵が陽気に言った。


「ボクに力を貸して」と蜜柑。


「お前に力を貸して虹丸が助けられるなら、いくらでも貸す」


 十蔵が答えた。


「では十蔵!!」


「いいぜ」


「いざ!」


「いざ!」


「早く殺せ!!」


 白帯が絶叫し、自らも白刃を振るって突進してきた。


 四人の忍びが慌てて続く。


「「魂繋ぎ!!」」


 十蔵の煙の身体が青白い半透明となって、蜜柑と重なった。


 十蔵の双眸が強烈な光を放つ。


 次の瞬間。


 白帯の刀が背後の忍びたちの首を次々とはね飛ばした。


 白帯が間髪入れず、続けて自分の首をかき斬る。


 五人は、ばたばたと地に倒れた。


「わ!? 何、何!?」


 春馬が驚きの声を上げる。


 十蔵の両眼が、人を操る力の成せる技であった。


「虹丸、所帯を持ったのか?」


 瞳の光が収まった十蔵が笑った。


 心底、嬉しそうだ。


「十蔵さん」


 虹丸の眼が涙で潤んだ。


「あ!?」と春馬。


 地面の白帯を指す。

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