フラグが立ちました。召喚によって
俺の名前は朝霧・悠太。
工業系の高校に在学している。
家族は、両親二人と年が1歳離れた妹が一人いたが一年前に事故で死んだ為、両親と三人で暮らしている。
もう、就職の事を考えないといけない三年生になっているが計画を一切、立てておらず、親や先生が急かされるが特にしたいと思ったことは無い。
今日はいつものように電車で帰宅中の事だった。
「マジで、どこいこっかな...」
朝霧悠太はいつもより空いている電車の椅子に座り、本気で将来を悩む中、それは起こった。
朝霧悠太の真下に中心から外に魔法陣が描かれていく。それは紫の光を放ち、発光する。
「はぁ!?...あれっ? ...っく! 動けねえし...」
朝霧悠太はそれに気付き、椅子から立ち上がって逃げようとするが足が魔法陣が刻まれた床と接着剤でくっ付いたかのように動かない。そして靴を脱ごうとしても脱げない。
朝霧悠太は周りを見回すが…
「この光が...見えてない.....ていうか...こんだけ騒いでるのに視線が集まらない?」
電車の中で朝霧悠太は騒ぐが視線が集まらず、居ないものとされてる事に気付く。
「一体なんなんだ...?」
どうすることも出来ず、とりあえず考えるがなんなのか分からない。すると、考えている間に魔法陣が発動し、急に紫の光に包まれる。
「眩しっ!...くっそ....」
そして光は徐々に光量が落ちていき、周りが見えるようになる。
「...はい? ...ここは......どこ...なんだ?」
辺りを見回すと、鉄格子は無いが地下牢のような雰囲気の大部屋に黒く力を失ったかと思われる魔法陣が天井まで張り巡らせている。その部屋の中で人を発見する。紫の髪をした小柄な少女がいた。お嬢様のようなドレスを着ており、顔は、これが三次元の限界かという程の容姿だが、見てきた中で一番マシだと思える。だが、やはり二次元には勝てないだろう。
「うむ...ステータス表示。 名は、朝霧・悠太か...アサギリとは変な名前だな。そして、異能力『液体生成』...なんだか弱そうなのだ」
黒髪の青年の前に球体が現れ、その中に淡い水色のプレートが表示される。なんか能力が弱いとかなんとか言われた気がするが気にしないでおく。そして、そのプレートにはこう書かれていた。
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【朝霧・悠太】
種族: <人族>
異能力: <液体生成>
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...ステータスか? もしや、これはラノベでよくある異世界転移物なのでは? それに液体生成とは...なんだ? おお、説明欄が出てきた。高性能だなこれ
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【朝霧・悠太】
種族: <人族>
異能力: <液体生成>
液体生成
→ 能力名を言い、生成したいモノをイメージする事で発動する。15~25°cの常温で液体の状態の物体を生成可能。
※15~25°cの液体しか出せないとは言っていない
なお、出す時の温度は任意で設定可能。
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ふむ...という事は融点を超えたアッツアツの鉄は無理だけど、たとえ発火点を超えたガソリンならば出せるということか...
まあ能力も理解したし、次は情報収集だ
このちびっ子に聞くことがあるな…
「.....おい」
「なんなのだ? アサギリ」
っ!! ステータスが見られていたのか!? ...だが、こいつと自分の関係は召喚主と召喚された者だろうから、何か用があるのだろう。下手な行動を取らない限り敵対しないはずだ。
まずは、位置確認だ。
もしかしたら、ここは地球で、実は異能力者とかが実は、居てそいつらと戦う展開もあるかもしれないし…
「...ここは一体どこなんだ?」
「ここは魔王が住む城...リューズ山に建つリューズ城なのだ! そしてこの城の主にして魔王。名はへル・グランテ! 終焉の魔王の娘にして...終焉を導く者なり!!」
朝霧悠太の質問に答え、最後まで言い切った後、ドヤ顔をする。
魔王か...そして、知らない地名だな。てかこんなちっこい奴が魔王かよ。大丈夫か?...とか思ったがまあ、異能力バンバン使って、実力主義で魔王になった可能性あるし見た目はどうでもいいか。
それじゃあやはり…
「やはり、異世界確定か。これはよくある異世界転移物だな」
朝霧悠太は独り言を言うがヘルの耳に届く。
「異世界転移物ってなんなのだ?」
ヘルの質問に頭を掻きながら、説明が面倒なので話を逸らす事にする。そして聞きたいことのもう1つについて聞く。
「…気にするな。所で魔王、なんで俺を召喚したんだ?」
「ふっふっふっ! 我の目的は1つ!! 父を殺した伝説の勇者を殺す事なのだ! 奴は正義感が強く多くの国と関わっているのだ!周りの国を滅ぼせば出てくるはずなのだ!!だからまず、人数と土地が1番少ないエルフの国を滅ぼすのだ!! あそこなら森を燃やすだけで皆殺し出来るからのう!」
なんっ!...だとっ!?エルフ皆殺しとかふざけんな!悪魔か!?
「ならーーぬ!!!」
朝霧・悠太は大声を上げ、ヘルの目的に口出しをする。
「っ!! ...召喚主たる、我に文句があるとでも?」
ヘルは自分の意見に口出しされた事にイラつき、威圧的態度をとる。
「文句有り有りだァ!! 異世界でエルフが居なくなるなど言語道断ッ!! ファンタジーと言えば、エルフだろうがァ! 居なくしたらこの世界ファンタジーじゃなくなるじゃねえか!!」
「なんと言っておるのだ〜! よく分かんないのだっ!! 我に逆らう事がどのような事か分かってるのか〜!! 」
「マジか!?まさかの武力交渉!? 一応、工業系の学校に進んだけど、俺そんなに筋力ねえよ!?」
クソ...相手がやる気ならば異能力の使うまでだ!
生成物は、ガソリン。それも300°cだ。
ガソリンの発火点は300°c...だったはず...発火点に達せば勝手に燃え出すので、これで点火源と可燃物は解決。
あともう1つ...酸素供給源さえあれば、燃焼の三要素は揃う。
酸素を作ることは無理なので空気中の酸素で燃やすしかない...。ガソリンを効率よく燃やすには...霧状だな。霧状に生成すれば空気に効率よく触れ、燃焼出来る。イメージは整った。
「ふっふっふ!これは勝ったも同然なのd......あっ...」
やはり、戦うつもりか!? なにかごちゃごちゃ言っているが関係無い! やるぞ!!
「先手必勝!! 液体生成!!」
ヘルを覆う霧が一気に発生し、うっすら姿が見える状態になる。
「あっつ!?」
その瞬間!!
その霧は勢い良く燃え、耳が痛くなるほどの爆発音が起こる。起こった後もそれは燃え続ける。
「っづづ!?............」
ヘルはあっという間に、火に包まれ最初は熱がっていたが突然、沈黙した。
「...やったか?いや...これフラグだった」
朝霧・悠太は、ヘルが燃えたことを確認する為、液体を生成するのを止める。
そして、火が消滅した先には...
「ううっ...いったがっだのだァ〜!!」
っ!? まだ生きていたのか…。流石、ちびっ子だけど魔王だけはある。こいつ、どうしよっかな...結構ダメージ割と負ってたし...これはもう...
「よし! もう1回燃やすか」
「やめでほじいのだぁ〜!ヘルはなんでもいうこど、しだがうのだぁ〜!」
ヘルはこれ以上燃やされないため、朝霧・悠太の足に縋すがり付く。
くっそ...!? 至近距離に居られると自分も死ぬぞ…いや、ちょっと待て!?...今、"なんでも"と言ったな? "なんでも"っと...。そっか、ふーん...?
「なんでも...か...」
"なんでも"いいのか…。正直、こいつには興味は無い。狙いはこいつの財産。そのお嬢様のようなドレスやこんだけ広い部屋しかも、この涼しさは地下室だ。地下室が有るぐらいだからさぞかし、良い家に住んでるだろう。しかし、そのまま取っても財産や家の管理は面倒だな...俺が出す事...それは...
「...あっ」
自分が言った発言を考え込んでいる朝霧悠太を見て、自分の身に危機感を感じるヘルなのだった...。