ソラファ
目が覚めたら、日が暮れていました。
すぐそばには彼がいて、うつらうつらと首を振っていて。
ちょんちょん、と膝をついてみます。
彼が飛び上がりました。
「……」
「……」
見つめ合い、のような形になります。
困惑したような表情が見えました。
変わってないのだなあ、なんてことを思います。
彼は最初のひとことをためらいます。
なにを喋ればいいのかわからない、そんな感じに。
最初に出会った時も、そうでした。
「おはようございます」
「お、おはよう」
固まっていた空気がほぐれるのを感じました。
安心したような、そんな彼の様子が見えます。
うっすらとなにがあったかを覚えています。
それを思い出そうとして――強引に止めます。
顔が真っ赤になりそうになって、それでも平静をよそう必要があって。
風邪はすっかりよくなったようでした。
今はもう、自分を調整できます。
「そろそろ俺は帰るよ。あまり長居ちゃうと悪いし」
「はい、わかりました」
少しだけ残る、名残り惜しさ。
「あ、そういえばカルマ」
「どうした?」
「もうそろそろ、私の存在は公のものになると思います。そうなったらですね……もう少し、会う頻度、増やせます」
「……おー」
そういうと彼は顔を伏せます。
口元が笑っていて、喜んでいるのが見えました。
隠しているつもりでしょうが、結構彼はできていません。
彼が喜んでくれているのを感じて、嬉しくなります。
頭がぼーっとして、それで。
「ソラファ?」
「は、はい!」
「いや、ふらついてたから大丈夫かなって」
……まだ、自分を調整するのは難しいのかも。
ぼーっと物事を考え、また夢の出来事を思い出しそうになって。
それで、私は慌てて言います。
「では、三日後にまた」
「うん、またね!」
彼が帰るのを、手を振って見送ります。
ようやく一安心。
その拍子に昨日会ったことを思い出して、自分がなにをしていたのかを見つめ返して。
カルマの腕を抱きしめて、その、えっと、意識していたわけではないけど、胸とかをあててしまって。
「ううっ……」
混乱します。
ジャスミンと比べるとその部位はあまり自信はありません。
あまりにも恥ずかしいことをしてしまいました。
どうしよう、どうしよう。
同時に彼が私を気遣ってくれたことや、私を褒めてくれたこと。
強くなったと言ってくれたこと。
見つめ、合っていたこと。
考えれば考えるほど、苦しいのやら何やらで胸が痛くなってきます。
……心臓発作的な、そんな感じに。
自室に戻り、ぽすん、と自分のベットに座ります。
それで全身から力が抜けていきました。
『ずっと一緒にいよう』
彼はそういってくれました。
そして、その他にも、いろいろと……。
特に、私がしたことといえば……。
顔が真っ赤になってくのを感じます。
脳裏に浮かぶのは自分のした数々の行為です。
カルマの腕に抱き着いて、頭をこすりつけて、甘えたみたいに、それで……。
死にたくなってきました。
私がしたのはなんだったのでしょう?
あまりにも今まで彼に見せてきた姿と違う。平静なら、絶対やらないのに……。
自分の部屋に戻り、枕に思い切り顔を押し付けます。
「~~っ!」
枕に口を押し付けたまま、思い切り叫びます。
自分の足が、パタパタと布団を叩く音が聞こえました。




