これって、逃避行とかいうやつでは!?
あの後、俺と水無瀬は一旦自宅に戻り、俺は準備を済ませると、姉に『ちょっと自分探しの旅に出る』などと訳の分からない事を言い、姉の静止を振り切り、家を飛び出した。
水無瀬とはワザと離れた駅に集合する事にしてあり、そこは俺や水無瀬、花凛や雪菜も使用する事が殆ど無い駅だ。
だからこそ、この旅行計画にはもってこいの駅なのだ。
水無瀬は俺が到着した午後四時から、十分程遅れて来た。どうやら母親を説得するのに手間取ったらしい。
「私は後悔してないから。李玖君は?」
「俺も後悔してないよ。むしろワクワクしてるよ!」
「ねぇ、李玖君。もし、もしだよ?私が今、李玖君に襲いかかったらどうする?」
改札口を通り抜け、新幹線に飛び乗るとグリーン車に向かい、俺達は席に着く。
そこで水無瀬は俺にそんな言葉を投げかけてきたのだ。
「襲いかかるって、暴力的な?」
「…………………………キスしたい。」
おしとやか、清楚系で通っていた水無瀬からは到底聞く事の無い言葉を今はっきり聞いてしまった。
「私ずっと、おしとやかとか、お嬢様とか、清楚系とか優等生って言われてて、正直息苦しかった。だから、抑圧されてた気持ちが開放されて、李玖君に積極的になれるかなって!」
水無瀬は水無瀬なりにめちゃくちゃ苦しんでいたんだな。優等生であり続ける事は確かに厳しい道のりだけど、得るものはデカい。
でも、そこで優等生マシンになるのか、自分を保っていられるのかは気持ち次第なんだよな……。
「水無瀬、今までの雪菜達の事、しっかり話しておこうと思う。」
俺は水無瀬がいなかった間、雪菜達どの間に何があったのかを説明した。
「うーん、やっぱり李玖君が優しすぎるせいで、李玖君の事が好きな人がまた一人増えたね……。」
水無瀬は暫く悩んだあと、驚愕の真相を話し始める。
「李玖君は知らないと思うけど、一年生から三年生までの女子で、水面下で李玖君の事狙ってる人めちゃくちゃいるからね!?」
水無瀬は大真面目な顔で俺を睨みつけてくる。
「ちなみに、今私の心は嫉妬で破裂しそうです。それもこれも全て李玖君のせいですからね!?」
水無瀬の言葉を聞いて、俺は正直驚愕していた。陰キャ根暗オタクでブサメンな俺が、学校内の女子達の人気者だと!?
「何をニヤついてるの、李玖君!?」




