心。
「ニヤついてるのは、別にモテてるからじゃなくて……水無瀬が嫉妬してくれたからで……。」
実のところ、水無瀬が嫉妬してくれたのはめちゃくちゃ嬉しかった。だからついついニヤけてしまったのだ。
「本当に、本当に私の事でニヤけてくれたんですか?」
「そうだけど……引かない?」
「引く訳無いじゃない!あぁ、もう!好き過ぎるぅ!!」
そう言って水無瀬が抱き着いてくる。身体に伝わる柔らかな感触!
「あ、あの……水無瀬……当たってるんだけど!?」
「当ててるの!……………どう、かな?」
水無瀬は更に俺に身体を押し付けてくる。
「や、柔らかくて、気持ちいいです……。」
俺はひたすら恥ずかしがるしかなかった。
ーーーー。
しまった……寝過ごした!?東京駅を出発し、遥か西へ。表示板を見ると新神戸駅と表示されている。
「良かった……まだだった。」
安心した俺だが、その時ようやく気が付いた。水無瀬がいない事に……。
「み、水無瀬!? ど、どこにいった!?」
俺は早歩きで新幹線内を前方に向かって、水無瀬を必死で探す。何せ上の荷物置きにさえ、水無瀬の荷物が無いのだ。
ーーーーもしかして、誘拐!? いやいや、落ち着け。ここは新幹線の中だ……。誘拐の線はほぼほぼ無い。
「水無瀬、どこにいるんだ!?」
もしかしたら、トイレとか携帯が使える場所にいるのかも……。
俺は前方へ、前方へと歩いていくが、こんなにも前方にいるのだろうか。そんな事を考えながら歩いていたまさにその時。
ーーーードアを開けた瞬間、飛び込んで来た声に俺は愕然とした。
「そろそろ新神戸駅に着く。私ならもう降りるから!」
誰かと通話しているのだろう。向こうからはどうやら死角で見えないらしいが、俺からは水無瀬が見えていた。 足元には水無瀬の手荷物が置かれている。
どういうつもりだ?次の駅で降りる気なのか……? さっきの話だと、もう降りるような発言をしていたしな……。
俺は途端に気分が悪くなり、自分の席に向かってトボトボと歩いて戻り始めた。 どういうつもりなんだ? 俺はもしかして、ハメられていたのか?
ーーーーそういえば切符を買う時、水無瀬はわざわざ別々に買っていたし、俺に切符を見せなかった。
なるほど、そういう事か……。俺はハメられて遊ばれていたって事か。
「次の駅で降りる気ならば、ホームで姿を確認できるはずだ……。」
俺は窓を眺めながら、何でこんな目に遭っているのか分からないでいた。




