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クマのぬいぐるみ
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「あら、可愛いクマのぬいぐるみが置いてあるわね」
「気になるか? 一応マジックアイテムだが、安く売ってもいいぞ」
「どんな力があるの?」
「もちろん癒し効果だ。これを部屋に置いておくだけで役目を果たしてくれる」
「がぜん興味が出て来たわ! 詳しいことを聞かせてよ!」
「いいだろう。夜、疲れ果てて家に帰りついたとする。もちろん独り身であるお前を出迎える者は誰もいない」
「……なんだか引っかかる言い方だけど、今は何も言わないでおくわ」
「お前は疲れた足取りで自分の部屋へと向かうだろう。そして部屋のドアを開けると……」
「どうなるの?」
「暗がりの中、このクマのぬいぐるみが宙に浮かんだ姿でお前を待っていてくれるんだ」
「……ホラーとしか思えないから買うのやめておくわ……」




