9話 歯車が動き出す(6)
────大通公園
「つまり、その堺家の御令嬢はさっぽろ駅付近にいるのだな?」
「ええ……すすきので堺家の仲間達が酷くボコられたんすよ。そこから令嬢だけは何とか逃げたらしくて……時間的にまだそんなに離れてないと思うんすよね」
公園にて『リバース』の構成員とライム直属の部下が地下で取り逃がした少女について話をしていた。
ライム直属の部下は『リバース』内で親衛隊と呼ばれ、名前をハバネといいライム同様外国人であった。
まだ日本に慣れていないのか言葉にも少し訛りが見受けられ、構成員は話を聞くのに少し手間取っている様子だった。
特徴はそれだけではなく髪が目立つ赤色という事で周りからは少し浮き立っており、さらにハバネは肌の露出が多い扇情的な服を着ている為、道行く男性陣からの視線は実に熱いものであった。
そして肌の露出が多いと言うことは勿論青い鳥の刺青を周りに見られるわけである。
男達は欲情するような視線送った後にその刺青を見て一瞬で我に帰り、私は何も見てないとでも言わんばかりの表情を浮かべてその場を後にしていた。
時には警察がその刺青を見て事情聴取をしようとハバネに近付くが無線で連絡する間も与えずハバネは自身の魔術である『身体強化』を使用して一撃で警官を鎮めていた。
「相変わらず凄いっすね……俺も頑張ればあんたらの言う『魔術』って奴が使えるんすかね?」
「無理かもな。使用している私自身がこの力の使い方についてよく知らない。ライムやもう一人の直属の部下であるトーチカもそうだ。ライムは生まれた時に予め備わっている人間じゃないと魔術は使えないって言ってたな。とにかく不明なんだ」
ハバネの答えに構成員は少しガッカリした表情を見せるがこんな街でこんなデタラメな力が広まったらそれはそれでカオスだし嫌だなと考えて取り敢えず魔術の話を頭の隅に置いた。
「で、どうします?お嬢ちゃんの為に堺家の場所でも探すんですか?アジトで捉えてる奴らは拷問しても家の場所は吐かないらしいですし探すとなるとめっちゃ時間かかると思いますけど」
「それなら私に一つ考えがある」
そう言うとハバネは小さなポケットからスマホを取り出しとあるサイトを開き出した。
ハバネが無言で開いたサイトを構成員に見せるとそこには『札幌のなんでも情報屋!電話一本で必ず貴方の求める情報提供!』という文字が書かれていた。
「これは?」
「この街に古くからある情報屋らしい。札幌に関してなら知らない事はほぼないらしいからこの情報屋に聞こうと思う」
「信用できるんすか?」
「信用できるかできないかは聞いてみてから分かることだ」
そうしてハバネはサイトに書かれていた電話番号に連絡を入れた。
ワンコール、ツーコールと着信音が耳元で鳴り響きやがて相手が電話に出る────
「はい、こちら札幌情報屋。まずはご用件をお伺いしても?」
その声は紛れもなく久志の声であった。
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