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三二話 最強のチームを目指す

 私はこの世界の管理者。つまり、神になった。そう言った所で全然実感は湧かないが、私は神になったのだから仕方がない。


 神になって知ったことだが、召喚型サモンは全く別の世界から対象物を呼び寄せているらしい。この呼び寄せる時に世界間でポイントの交換が行われて、神からすれば非常に困る事を知った。


 このポイントは生物の喜怒哀楽によって増量していく。なんの為にこんなポイントが存在するかは分からないが、分かりやすいので文句はない。

 ポイントがあれば、生命や物品の交換が他世界と出来る。逆にポイントが無くなれば、世界が崩壊していく。崩壊すれば、そこにいる全てが消滅してしまうらしい。


 そのポイントを増やす為に私はこの世界に能力を無効化する《ダンジョン》を創った。中で、他世界の化け物を徘徊させ、宝箱に一人用の強力な兵器を入れれば、人間たちの欲望を刺激し、面白いようにポイントが増えた。

 

 更にポイントを増やす為に私は他世界から《天使》と《悪魔》を入手した。そして、管理者代行をしてくれる《熾天使》と《大悪魔》を一体ずつ連れて来た。


「働きたくないよー」

「ほら、管理者代行でしょ。ちゃんと世界を維持させないと」


 怠けている方が《熾天使》で、しっかり者の方が《大悪魔》である。この二人が私の代わりにいろいろやってくれる。


 ここまで、苦労せず済んだのは『文秋の記憶』と『バグワーム』のお陰である。


 《ダンジョン》を作って、それを更に悪魔と天使に作らせる。こうすることで無数のアイデアが生まれて、質のあるダンジョンが創られる。

 そして、管理者代行は文秋の世界には無かったが、文秋がアドバイスのように伝えてくれた。


 《ダンジョン》を作る過程で『バグワーム』の協力が不可欠だった。相変わらず頭の螺子は数本外れているが、言われて仕事は確実にこなしてくれる。能力が使えない空間を作ったり、武器を創ったりは彼の功績が大きい。


 管理者としての仕事の大半が一週間経たずで終わった。


 ――――――


 それから、私は犯罪者を捕まえる仕事を続けた。


 妹を大学まで進学させてやる事も出来たし、金の心配をする必要は無くなった。

 ここまでは文秋が居なくても同じような人生を歩んでいたかもしれない。


 ここからは少し変化した所がある。


 三十前半で結婚をした。元々、誰かと結婚する気はなかった。危険の多い仕事をする以上にいつ死んでもいいようにするようにしようとしてた。

 

 相手は高校で知り合った福式美央さん。彼女と結婚した。

 彼女は元暗部の万能装備アイスレッグだと私に告白してから、付き合いの誘いがあった。


 疑う性格が治る事は無かったが、常に顔を隠す程、暗部にいたことを隠したがっていた彼女が私に言った事を信じたかった。

 そして、子供を男女二人授かった。


 子育ては大変だったが、辛くはなかった。


 二人の子供の内、男の子の方はダンジョンに探索する仕事で世界トップクラスの実力者になり、女の子の方は医者になって世界中の負傷者を治したり、生命に関するの新たな発見をしたりと活躍している。


 そして、私は孫が高校に入る頃。大体七十歳ぐらいで濃い人生に幕を閉じた。


 ――――――


 死んだ後、私は管理者として、世界を見守っていた。権限のほとんどを《大悪魔》と《熾天使》に渡して私は手出しすることはなかった。

 一人ぼっちだったら寂しいと感じていただろうが、二人の会話に和まれて特に退屈することもない時を過ごしていた。


 そんなある日。運命が訪れた。


「複合世界管理官長の文秋です……って氷藤さん!」

「その声は文秋か?」


 文秋の容姿は出会った頃のままである。


「お久ぶりです。五百年ぶりですね」

「五百年。もう、そんなに経つのか」

「はい。でも、我々の世界の五百年はあまりにも短いですけどね」


 再会を喜び、今までの人生を語り合いたかったが、今日は用事があるみたいだ。


「この世界は他の世界と比べて非常にポイントが高いので昇格を言い渡しに来ました」

「昇格か」

「すごいですよ! たった五百年で崩壊寸前から、第三位層まで登り詰めるなんて」


 この世には世界が星の数よりも多く存在している。ピラミッドのように最上位層、第一位層から第五位層。そして、崩壊寸前の最下層。これらのランクに分けられている。


 私が管理者になったときは最下層だった。どうやら、文秋によると五百年でここまで上がるのは前代未聞らしい。


「お疲れ様です。それでは、僕は仕事が……。いや、ここにしばらくここで休むことにします」

「仕事は大丈夫なのか?」

「はい。半ば、惰性でやっていますから」


 それで複合世界管理官長とやらの仕事が務まるのか。いや、多分だが私の為に無理にでも待ってくれているのだろう。


「そうだ! これを氷藤さんに渡します」

「補佐官募集?」

「はい。僕と一緒にチームとして働きませんか?」


 仕事内容は、『最下層の掃除』としか書かれていない。


「最下層の世界には『バグワーム』の様な世界を壊そうとする存在が発生します。それを一緒に倒しましょう」

「この世界の管理は?」

「そこの二人なら十分に回していけます」


 二人の管理代行者に視線を向ける。


「大丈夫だよー。管理できるよー」

「もお。しっかりやってよ」

「もおもお言っていたら牛になるよー」

「ああ、もう」


 二人なら大丈夫そうだな。


「分かった。文秋とチームを再び組もう」

「チーム縫。再結成ですね」

「ああ。行こうか。最下層の世界へ」


 体が急激に軽くなった。かつての肉体に戻った。


 ――――――


 星を飲み込み巨大化していく蛇を二人で倒し、一息ついた。


「僕たちって最強のチームですかね?」

「いや、最高のチームだがまだ最強じゃない」

「そうですか」

「私たちは『永遠』に目指すんだ。最強のチームになる事を」


 これからはどんな世界でどんな敵が待っているかは分からない。でも、私たち二人なら必ず乗り越えられるだろう。



完結致しました!


次回作とかなんとかは後日、活動報告にて。

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