↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バトル漫画のモブに転生しましたが、何故か序盤ボスに溺愛されています!?  作者: 彩紋銅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/46

45 ◆彼らの結末

※序盤はルリカ視点です。

 ◇


「ルリカ、無事だったか!?」


 その後、私とニゲラは、なんとかルコウさんと合流した。

 足元は()()()()()()()()()が、構っている暇はなかった。。


「はい。酷い目に遭う前に逃げました! ニゲラ君もきてくれましたし!」


「よくやった、ニゲラ! ルリカも強かで良いぞ!」


 褒められてニゲラも少し嬉しそうだ。

 ……強かは褒め言葉で良いんだっけ? まあ、いいか。


「こちらは、外部とも連絡がついた。救助隊も、もうすぐここへ来る。オルレアとツツジも、虫下し薬と殺虫剤を完成させたらしい。前にルリカにもらった〝伝令〟のお札も役に立ったぞ!」


 ルコウさんの言葉に、そこに集まっていた男性たちも、歓喜の声を上げていた。

 どうやら、避難希望者が集まっているらしい。


「良かった……」


「あ、あの!」


 その時、若い男性が焦った様子で声をかけてきた。

 なんか、見たことのある顔だ。


「ん? どうした?」


「小屋に寝かせていた男たちが消えました!!」


「消えた? どういうことだ? 怪我人たちもか?」


「そちらは無事です。消えたのは、婿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です!」


「ああ、そちらか。何か心当たりは?」


「恐らく、婿取山の主によって、転送系の魂術でどこかに……」


「どういった方々なんです?」


「ああ、体内で爆破蟲が異常増殖し、腹が膨れた奴らだ。意識がないから、自分では動けないはずなんだが……」


「──あ。そ、それなら、多分……」


 私は、先ほど起きた出来事を、ルコウさんたちに話した。


「……そんな、ウメキまで?」


 うめき? ああ、どこかで見たことがあると思ったら、この人、イソトマ様のご友人の一人だ。

 確か名前は、南風トキオ。もう一人は、夜長ウメキだったかな?

 中学、高校と、イソトマ様と一緒になって、私を馬鹿にしてきた奴らだ。


 今となっては、どうでも良いが。


「──なるほどね。消えた男たちは、婿取山の主に、逃走の隙を作るための道具として利用されたか。応援が来たら、一応、捜索しよう。だが、期待はするな」


「はい……」


「婿取山の主はどうする?」


「さすがに、私たちだけで倒せるとは思っていない。ひとまず、囚われていた男たちの保護が先だ。婿取山の主は応援が来てから、仕留めよう」


「了解した」


『ルコウ』


「おお、ワタゲも無事だな」


 陽動していたらしいワタゲさんも、中型犬サイズになって戻ってきた。


『地下から、婿取山の主の気配がする』


 どうやら、婿取山の主は地下に逃げたらしい。


「なら、逃げられないように包囲する必要があるな」


 ◇


 その後、対策局から応援が来て、囚われた男性たちは保護された。


 私は先ほど使った〝神異停止〟の札を改良し、男性たちの体内にいる爆破蟲を停止させた。それによって、婿取山の主に気づかれることなく、男性たちを結界の外へ避難させることができた。


 怪我や病気などで動けない人たちも、無事保護されたようだ。


 私とニゲラも、病院に連行されたため、その後の話は人伝で知ることになるのだった──。



 ◆◇◆


「くそ、酷い目にあった……」


 しばらくして意識を取り戻したイソトマは、一部が瓦礫と化した〝迷い家〟の集落を歩いていた。

 幸い、擦り傷などの軽傷は負っていたが、大きな怪我はなかった。


 気が付けば火事の痕跡はなく、人の気配がしない。婿取山の主の気配も薄くなっていた。


(あの火事は、〝偽火〟だったか。しかし、皆どこへ行ったんだ?)


 そして、血や肉片で溢れた場所に出た。

 まるで、複数の人間の体が、内側から爆発したような惨状だった。


「一体何があったんだ?」


 イソトマは、あまりの匂いに、鼻と口を押さえる。


 さっさと立ち去ろうとしたとき、あるものが目に留まった。


「この着物……まさか、ムベか?」


 血と肉片の海に、見覚えのある黒い着物が落ちていた。

 黒は、迷い家でムベだけに着用を許された色だった。


(侵入者に殺されたのか?)


 しかし、イソトマに止めを刺さなかったところを見ると、そうとは思えなかった。


 とりあえず、イソトマは黙祷を捧げると、婿取山の主の気配を追った。


(気配はあるのに、薄い。どこにいるんだ?)


 そのわずかな気配を追うと、婿取山の主の屋敷に戻ってきた。


 そして彼女の寝所に向かうと、床の間の壁が()()()()()


「こんなところに、階段が?」


 婿取山の主の気配はその奥からしていた。


 イソトマは意を決して、その階段を降りた。


 ◇


 階段は、地下深くまで続いていた。

 壁には等間隔に明かりが灯されており、視界に問題はない。


 階段を下りきった先の突き当たりには、屋代となった禍津祠があった。


 屋代の周りにも、松明が灯っている。


(〝迷い家〟内には無いと思っていたが、こんなところにあったのか……)


 その屋代の前で、婿取山の主は蹲っていた。


「主様、大丈夫ですか? ──なっ!?」


 イソトマが婿取山の主を抱き起こすと、その体はミイラのように干からびていた。


「これは、一体……」


『イソトマか……?』


 耳障りな声が、頭の上から降ってきた。


「ぬ、主様?」


『そうだ。妾が、本体だ』


 見上げれば、この地下空間を圧迫するような、()()()()()()がいた。


 頭部には人間の顔がついており、その口から人間の言葉を発しているようだ。顔の大きさは人間とほぼ同じだが、巨大な本体と比べればかなり小さい。どうやら、その顔が彼女の〝人体の部位〟らしい。

 よく見ればそれは、イソトマがよく知っている、婿取山の主の顔だった。


 核の目玉は、見当たらなかったので、体内にあるのかもしれない。


「で、では、こちらは?」


『外部と接触するための、妾の端末の一つだ』


「彼女も、端末……」


 イソトマは、端末である彼女と過ごした日々を思い出し、少し気分が悪くなった。


『イソトマ、其方──うぐっ!?』


 その時、婿取山の主の本体が、苦しみだした。


『ご、おおおおおおおっ!?』


(な、何が起きている!?)


『まったく、わたしを無理矢理取り込むなんて、無茶をするから、こんなことになるのよ。他の神異ならまだしもね〜』


 婿取山の主のものとは違う、女性の声が地下空間に響く。


『ぐっ、ヒサメ、か……!? がああっ!!』


 婿取山の主の本体の腹が裂け、赤黒い血が吹き出した。


「──っ!」


 イソトマは、その血を浴びながら、ソレを呆然と見続けることしかできない。


 そして、婿取山の主の本体の腹から、全身を血に濡らした、十代半ばほどの少女が現れた。


「フウ〜、ヒサメちゃんふっかーつ!」


『〜〜〜〜っ』


 腹が裂かれた婿取山の主の本体は、すでに瀕死の状態だった。

 裂けた腹から、弱点の目玉も覗いている。


「あんたのことは、『空蝕会』からの追放が決まったわ──って、うわ!? 人間がいるし!?」


 ヒサメはイソトマの存在に気づく。


「あ……」


「どうする? コイツを助けたいって言うなら、あんたも殺すけど?」


「オレは……コイツを助けたいとは思わない」


『な──っ!?』


「そう。それじゃあ、さようなら」


 ヒサメは、婿取山の主の本体に近づくと、弱点の目玉を足で踏み潰した。婿取山の主の本体は、黒い煙になって消えた。


 イソトマも、体内から爆破蟲が消えたことを感じた。


「さて、後は屋代ね〜」


 屋代の中を覗くと、掛け軸のようなものに爆蟲妃主(ばくちゅうひぬし)と書かれていた。

 それが、婿取山の主の真名らしい。


「これだけ魂力を溜め込んでるのに破棄するのは、少しもったいないわね……あ、そうだ!」


 ヒサメが、イソトマを見る。


「え?」


「君、神異に転化してみない?」


「は?」


「君のことは、爆蟲妃主の中から見ていたから知っているよ。地上は退異師が囲んでいるし、君は捕まったらただじゃ済まないんじゃない?」


「それ、は……」


(〝迷い家〟に侵入したのは、対策局の奴らだったか……)


 確かに、彼女の言葉にも一理あった。


(チコリを手にかけたのは、オレだ……)


 このまま捕まっても、もう二度と玄冬院家には戻れないし、ルリカと結婚することはできないだろう。


(だったら──)


 イソトマの答えは決まっていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。