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神樹の魔地が主  作者: 冬森レイ
霊樹の森の支配者
9/25

閑話:とあるエルフの苦悩と解決策

親子の絆の話です。


  ハイ・エルフ族の族長ハレイド・ライツメルは、ここ数日ずっと頭を抱えて考

 えこんでいた。


  理由は二つある。


  まず1つは、あの霊樹がある魔地に新たな魔力反応が二つ増えたこと。

 前からある二つの反応よりは小さい魔力反応だが、確実に二つ共自分と同等か

 それ以上に強い魔力の反応だった。


  魔王でも生まれたのか?


  最初はそう思った。だが、あの場所から感じられる魔力の大きさからして一発

 でも本気で攻撃魔法を放ったらこの周囲どころかこの大陸が一瞬で滅ぶレベルの

 魔力だ。


  その魔力の持ち主が、まだ何もしていない点から魔王などの類では無いと彼は

 考えている。それより頭を悩ませているのは・・



  火のエルフ族の族長であるカルド・ファイアルクが、あの魔地に一族の精鋭と

 共に出向き瞬殺されたことが問題だ。

 

  彼らの話では、魔地の入り口にあった大きな木の根を除けるべく燃やそうと

 したそうだ。その時に上から執事服を着た男に一気に水で押し流されたそうだ。


  火のエルフ族の精鋭魔法戦士や族長のカルドは、それからずっと


「水怖い、水怖い・・ゴメンナサイゴメンナサイ」


  と壊れたように呟き続けている。


  あの戦闘馬鹿の根性と性格を、こうもあっさりポッキリと折るとは・・

 やはり、あの土地の力は怖ろしい程までに強いのだな。


  今回の戦闘であの土地の主が怒ってなければ良いのだがな。


  災厄の場合は、火のエルフ族が我等の中から消え去ることを覚悟しなければ

 ならないな。


  兎にも角にも、会ってみるしかないか・・


  あるいは、このまま嵐が通り過ぎるのを待つか?


  さて・・どうするか


  コンッコンッ


  ん・・誰か来たか


「お父様失礼します」


  部屋のドアを開けて、入って来たのは17~18歳前後の

 美しい金髪金眼エルフだった。


  彼女は族長の四女であるエリエーラというハイ・エルフだ。


「エリラか・・どうした?」


  ハレイドはなぜ彼女が自分を訪ねたのか訊ねた。


「はい。私を魔地へ使者として行かせてください」


  いきなりのことに、ハレイドは驚いたが直ぐに族長としての決定を伝えた。


「それは、出来ない」


  出来るはずが無い。自分の娘をあのような危険地帯に赴かせるなど。

 ハレイドはこの末の娘を絶対にあの地には近づかせたくは無かった。


  彼は、400歳前後まで外の世界を旅して回ってからこの地に戻り結婚

 したので子供達もまだまだ若かった。


  長女は、300歳くらいで次期族長候補だ。


  次女も、似た様な歳でこの娘も次期族長候補の一人だ。


  三女は、外の世界を旅して回っている。


  四女の彼女も外の世界に少し憧れているところがある。


  エルフの掟で、200歳までは里に残る決まりで無ければ今頃は外の世界

 に行っているのかもしれなかった子だ。


  そんな子をあの地へ送る・・嫌だぞ。そんな決断はしない。

 一人の族長としても父としても、ここは大人が行くべきだ。


「ですが・・別に戦いに行く訳では無いのです」


  そうだろうな。仮に戦ったとして、秒殺が良いところだろう。

 あの土地の主がどんな者なのか分からない以上そんな危ない土地には行かせる

 わけにはいかない。


「危ない上に、相手が交渉などの話合いに応じる

 ような者でなければどうするのだ?」


  そもそも対等な交渉など・・出来るのか?

  

  あんな魔力の持ち主と・・交渉?


(考える程難しいと思える状況だな)


「私がどうなろうと、次の族長には姉上たちが居ます。

 交渉出来る相手か出来ない相手か確かめるのには私が最適な人選です。

 これは、族長の娘としての私の役割です」


  族長の・・娘としてか・・よし決めた!


「では、私もお前に同行しよう」


  親として、エルフ族全体を統括する族長としてこれなら間違いの無い選択

 と言えよう。災厄の場合はこの子だけでも逃がすことが出来るかもしれないしな。


  ハレイドの言葉を聞き、彼女はそれはダメだと反論をする。


「それはダメです。もしもの時に族長に何か遭ってはどうします!」


  そうだ。それはイケない。自分がこれから行くのは、危険な場所なのだから。

 一族を守るためにも一番強い父が此処に残らなくては・・。


「その時は、長女のアリエーネが族長を継げばいいだけだ。それより私は魔地の主

 が危険だった時にお前を守りお前を我が里への伝令として逃がすための捨て石と

 して付いて行くのが最良の選択だ」


  そう言っても、娘は暫くの間聞いてくれなかった。

 やがて、最後まで父が自分の意見を覆す気が無いと分かり渋々承諾した。


  こうして、親子の魔地行きが決定した。


  続く


  


ちなみに、ハレイドさんの強さはナナルと同等くらいです。

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