行きついた先で
始まりです。
僕は、真っ白な道を歩いていた。道だけでなく周囲一面が白い空間を
僕はただ真っ直ぐ歩いていた。
どれぐらい歩いただろうその道を、そう考えた時だった。
道の先に光が射した。
「出口?かな・・良かった出られる」
僕は、この白く空白の空間からやっと出られることに歓喜した。
そして、その光の先に着いた時
「う゛・・」
余りの眩しさに一瞬目が眩んだ。
そして、見た光景とは・・
「石造りの部屋?」
着いた先は、石造りで出来た少し大きめの寒い部屋だった。
大体高さが10mくらいで、横と縦は20m程の部屋だった。
部屋の端には、上へと昇る階段がありその階段も石造りだった。
とりあえずこの部屋は寒いので上に上がろうと思い僕は階段を
上がっていく。
上がって行く時に驚いたのは、その階段の壁だ。一面中が木のツタ
や根で覆われている。
もはや、ツタや根で壁が形成されていると言っても過言ではないと
思う。
「下の部屋は、木の下にでも在るのかな?」
そんな疑問を、僕は持ちながら上と上った。
そこは、一言で言えば深い森の中で唯一ポッカリと開いた場所だった。
いや、僕が出た部屋の上にある木が大きすぎて周りに木が生えないのかも
しれないのかもしれないだって・・
僕は、自分の後ろに有る木を見上げた。周りの木々は大体高さが100m
から200m程なのに対し、僕の後ろにある木は高さが500m以上はあり
他の木より太さも数倍はしている。
どうやら、あの部屋はこの木の地下に出来た部屋らしい。
あの部屋がどうして地下に造られたかは不明だが部屋が寒い理由は判明した。
僕が、立っている大地の土は少し冷たい土の様だ。
おそらくこの土の温度により、あの部屋は常時寒い気温を保っているのだろう。
そこで、僕は自分が少し空腹である事に気付く。
丁度良いことにこの巨大な木には実が生っていた。あれを食べよう。
しかし、問題がある。結構高い所にその実は生っているのだ。
そして・・・
「僕・・木登り苦手だ」
その時点で、この木の実を得る計画は瓦解していた。
周りの木を見ても、他に実が生っている木は無い。
仕方なくこの木から実を採る手段を模索する。
とりあえず、登れるところまで行こうかと木に触れてみる。
すると、自分の中から何かが吸い取られている気がした。
自分に害が有りそうでは無いと不思議とそう思えた。
なので、力を与える感覚でこの木にその力を吸わせてみた。
途端に僕の足元から、地震の様な振動が伝わって来た。
僕は咄嗟にしゃがみこむ。すると・・
木が急激に成長し始めた。そして・・
木の高さは1500m程に成長してしまった。その根も地面を這いながら
2km近くの地面を覆っている。
さっきまで数百mを覆っていただけの地表は瞬く間にツタと根でごった返し
た状況になっている。見ると、近くに在った木も若干飲み込まれていた。
「す、凄い・・でもまた遠くなったな僕のご飯」
そう・・木の実の有る位置も高くなってしまった。
あの実を食べたいな・・。
僕がそう思っていると・・。
実の付いた木の枝が僕に近づいて来た。
なんかよく分かんないけど・・これで食べられる!
よく見れば、その実は少し光を放っていた。
僕は、枝から実をもぎ取って食べてみた。
その実は外見がリンゴの様だが、中身は少し硬い桃の様だった。
丁度いい甘さだった。一つ食べただけでお腹が満腹になった。
お腹が満腹になると今度は眠くなってきた。見渡せば周りはもう
真っ暗だった。
僕は、落ち葉を地下の部屋に運び入れ簡易なベッドを造り眠りに
ついた。
『お休みなさい主様』
変な幻聴が聞こえた気がしたが、僕はそのままゆっくりと眠りに
ついた。
続く
次回からは、暮らしを整えるお話を数話書きます。