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【鑑定しか使えない】と追放された俺、鑑定結果を書き換えられるので拾ったボロ剣を伝説の聖剣にしました  作者: カクナノゾム


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第1話 鑑定しか使えないと追放された俺、ボロ剣を伝説の聖剣に書き換えた

 ――これはポテチみたいに、軽くつまんでもらえる話を目指して作っています。どうか、お気軽に楽しんでくださいね。


  § § §


「レイン、お前はクビだ」


 ガイがそう言った。


 パーティ「暁の剣」の拠点、その入り口でだった。ガイは腕を組んだまま、俺を見下ろしている。左頬の古い切り傷が、日に焼けて白く浮いていた。


「鑑定なんぞ何の役に立つ! 戦えねえ奴はいらねえんだよ」


 後ろにいた仲間たちも笑っていた。


「ずっと荷物持ちだったもんな」


「鑑定士とか、いてもいなくても同じだろ」


 魔法使いの男も鼻で笑った。


「戦えない奴を鑑定士って呼ぶのは優しさだよなあ」


 どっと笑いが起きた。ガイの片頬だけが、笑うたびに持ち上がる。


 俺は何も言い返さなかった。


「そっか……」


 短く、それだけ答えた。


「荷物はそこに置いていけ。お前の物じゃない、パーティの物だ」


 剣も鎧も取り上げられた。残ったのは着の身着のまま、それだけだ。


「達者でな、レイン」


 ガイは笑いながら扉を閉めた。


 俺は一人、街道に立っていた。


 空はもう夕方の色だった。街道の先には見渡す限り畑が広がっている。今日中に泊まれる宿すら決まっていない。


 スキル『鑑定』。物を見ると、頭の中にステータス枠が浮かぶ。それだけの力だ。戦闘の役には立たない。ガイの言う通りだ。


「はぁ、まぁ追放されても仕方ないよなぁ」


 むしろ今までよく我慢してくれたもんだ。ガイは俺をスカウトしたこと、後悔してたんだろうなぁ。


 俺は歩き出した。行く当てはない。


 街道の端に、錆びついた鉄剣が転がっていた。誰かが捨てたものだろう。


 拾い上げる。


 と、その時、俺のスキルが反応した。


 視線の先に、いつものステータス枠が浮かんだ。


  [錆びた鉄剣]

  価値 銅貨1枚


「ひでえ数字だな」


 俺は笑った。


 この枠は、今までずっと見えるだけのものだった。


 なのに今日は、妙な違和感がある。指が、勝手に引き寄せられる。


 枠の文字に手を伸ばしてみると――


「触れるぞ?」


 試しに、上の[錆びた鉄剣]の文字にも触れてみる。


 指が、素通りした。光らない。

 攻撃力のところも同じだ。


「触れるだけじゃなぁ……」


 ぼやきながら指を動かしていると、指先が価値の1の上で止まった。触れたところが、淡く光る。


 値段のところ、数字が、書き換えられる?


「なんと……それじゃ試しにやってみるか」


 指先で、1の数字をなぞる。


  [錆びた鉄剣]

  価値 銅貨1枚

     ↓

  価値 銅貨9999999999999枚


「うん、盛れるだけ、盛っとこう」


 枠が光って、消えた。


 手の中の剣が、変わった。


「おいおいおい!」


 錆は消え、刀身は白く輝いている。柄には見たこともない紋章が浮かんでいた。


 頭の中に、また枠が浮かぶ。


  [伝説の聖剣エクスカリバー]

  価値 金貨9999999枚

  攻撃力 99999


「名前も、性能も、勝手に決まるのかよ」


 願ったのは価値だけだ。名前も、攻撃力の数字も、向こうから降ってきた。


「マジか」


 そばを通りかかった行商人の馬車が、がらがらと音を立てて止まった。


「兄さん、その剣、まさか」


 御者台の老人が、白い眉を上げて目を丸くしている。


「それ、おとぎ話に出てくる聖剣そのものじゃないか」


「さあ、拾い物なんで」


「拾い物て。そんな軽い一言で済む代物じゃないぞ、それは」


 老人は馬車を降りて、剣に見入っていた。


「そんな剣、若いのがどこで手に入れたんだ」


「道端に落ちてました」


「道端て。嘘つけ」


 試しに、道端の大岩に切っ先を当ててみる。


 軽く振っただけだった。


 ズン、と重い音がして、大岩が真っ二つに割れた。断面は鏡のように滑らかだった。


「うわあっ!」


 老人が悲鳴を上げて手綱を握り直す。


「な、なんだそりゃ! 攻撃力が桁違いじゃないか!」


「銅貨1枚の価値だった剣が、大岩を両断する剣になった。ただそれだけです」


「それだけって、そんなわけあるか!」


 俺はもう一度、剣を振ってみた。


 割れた岩のかけらが、今度は砂になって崩れた。


 手応えはまるでなかった。空気を斬ったのと変わらない。


「軽いな」


「軽いな、じゃない! わしは今、何を見せられとるんだ!」


「あんた、名は?」


「レインです」


「レインさんよお、その剣持って国に行きゃ、貴族にだってなれるぞ」


「そうですか」


「そうですか、じゃないだろ! 若いの、自分が何を持ってるか分かってんのか!」


「まあ、何となくは」


「その剣、金貨100枚で売ってくれ! いや、200枚出す!」


「いえ、これは売りません」


「なんでだよ、大金だぞ!」


「まだ使い道、決めてないんで」


 俺は軽く流した。今はまだ、そんな気にはなれない。


 老人は何度も振り返りながら、馬車を走らせていった。


 俺は剣を見つめた。


(俺の鑑定は、結果を書き換えられる)


 ゴミも国宝も、書き換えれば同じだ。


(銅貨1枚の剣が、大岩を両断する剣になった。俺は今、この世で一番強い剣を持ってる)


「……鑑定は役に立たない、か」


 ガイの声を思い出す。


「そうかよ。だったら、俺一人でどこまで行けるか、試させてもらう」


 夕日が、聖剣の刀身に反射して眩しかった。


「俺、最強じゃないか?」


 剣を担いで、街道を歩き出した。宿を取ろう。金なら、その辺の石ころで足りる。


  § § §


 ちょっといいな、と思われましたら評価して頂けると嬉しいです!


 お話の続きが少しでも気になる方は是非ブックマークを!


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