第二話 拾い物の少年
どうも元ブラック会社員35歳のハイセキ・ナリです。
あれから一週間が経ちました。
同窓会には行けません。私は今特異捜査官専用の寮にいます
ここでは特異捜査官になる為にキリカさんからスパルタ指導をされています。
本当はまだスカウトされてびっくりしていた時の自分が恋しいけれど
でも今は知らないふりをします。
私がなる特異捜査官はきっといつか多くの人を救うから。
「聞いているのか、ナリ。」
はい。すんません。
どっかのCMサンプリングしてました
「はぁまぁいい、お前の特異捜査官試験の日が決まったぞ、三日後だ。」
おぉ三日後か、ほーん三日ねぇ......。
三日!?
この人今三日って言った!?
いやいや待て待て待て、俺まだ異界獣のこととか特異捜査官のこととか覚えきれてないんだが!?
三日で試験って!Fラン入試ですか!?
「まぁ驚くのは無理もない、私も実は驚いていてな
昨日局長にお前のことを話したらすぐに見たいと言い出してな......。
三日後は流石に早いと私も言ったんだが......すまんな。」
キリカさんはなんも悪くないっすよ!うんうん
悪いのは頭おかしい局長っすよ!
俺が一泡吹かせちゃいますわ!
「そう言ってくれるのはありがたいが。
クソ参ったな、予定よりもあまりにも早すぎる。」
確かに早いけど試験って流石に筆記試験ですよね?
それなら任せください!勉強は昔から得意だったんで!!
「それがな、特異捜査官の試験内容は筆記ではなく異界獣の討伐だ。」
はい?
試験内容が討伐ぅ?
さ、流石に冗談っすよねぇ?
「本当だ、ナリ我々特異捜査官に必要なのはなんだと思う?」
え、わかんにゃいっす。
「それは強さだ。どんなに頭が良かろうと知識があろうと異界獣相手では意味がないことの方が多い。
必要なのはどんな強い敵が現れようとも捜査官は人や国のため臆さず立ち向かわないと行けない。
試験で異界獣相手に逃げるようでは、特異捜査官は務まらない。それを見極める為の試験だ。」
なるほど、確かに一理あるか
異界獣と相対したからわかるがあれは普通の人が敵うわけないもんな
だからキリカさんは特異捜査官はイカれてるやつじゃないとなれないと言ったのか。
「一応三日以内にある程度は戦えれるようにするつもりだ、こんなことを言うには酷かもしれんが。
勝てなくても逃げるな戦い続けろ、そしたら受かる可能性もある、この試験で一番重要なのは。
何があっても倒れない逃げない。不屈の精神だ。」
わぉ、すっごいこと言ってるこの人。
三日で戦えるようにするって? 俺素人だよ?
武闘とかの心得とかなんも習ってないよ?
また石投げて戦うの!?
どうやってあんな化け物と戦えと?
「それについてだが、捜査官はクレイス(Creis)という異界獣の核や骨格、外殻などの特殊組織を加工して作られる対異界獣専用の武器を用いて戦う。
普通の人の何倍身体能力を得ることができ武器それぞれによって専用の能力も使うことができる。」
ほへー、クレイスねぇ。いいじゃんかっこいいじゃん
確かにそれならあんな化け物とも戦えるかー。
あっそういえばキリカさんが俺を助けてくれた時、刀を持っていたけどそれがクレイスなのか多分。
だからあの鬼を倒せたのか。
「そういうことだ、よしとりあえず説明はここで終わりだ、ナリついてこい。」
え?もう終わり? まだ聞きたいことが山ほどあるんだが
「説明している暇はない。時間をかけて従ったか今すぐお前には私とのクレイスを持ちえた模擬戦をしてもらう。」
はい!?
---
はいどうもーキリカさんとクレイスとかいうトンデモ武器を使って戦うことになったナリくんでーす。
いやーまじやりたくない。
絶対ボコボコにされて終わりじゃん
「ナリ、準備はいいか?」
よくないですって言ったらやめてくれます?
無理ですよねハハハ
まぁ最善は尽くしますよ......。
「大丈夫だ、怪我をしてもここでは瞬時に傷が治る、それよりクレイスはどうだ?違和感はないか?」
いや怪我はして当たり前なんかい。
まぁもういいや慣れたわ色々と......。
それと違和感か、まぁ違和感しかないけど悪くはないな
持った瞬間、クレイスと体が一体化したみたいな感覚には驚いたけど、体が軽くて身体能力が本当に上がってると実感できた。
すげぇやこれ。体が羽のように軽い。
「それにしても両手剣のクレイスを選ぶとはな、それは扱いが難しくリーチも長剣や刀に比べてリーチが短い。何か考えがあると捉えても良さそうだな。」
え?まじ? そうだったの?
これ使いずらいの? マジかよそんなの全然気にしてなかった
選んだ理由も、モン○ンで双剣使ってたからなんなとなくの理由で選んでしまったんだが。
「では行くぞ。死なないように気をつけろ」
え?もう?
てか死なないようにってどゆこと!?
ちょタンマ!しぬ!
【選択してください】
①ジャンプして攻撃を避ける 成功確率20%
②相手に向かって片方の剣を投げる 成功確率70%
③相手の攻撃に向かって剣を振りながら突撃をする 成功確率50%
【制限時間2秒、無視した場合死にます。】
うわっ!びっくりした!
てか久しぶりでやがったな選択肢!
今回は成功確率になってるし!?相手が俺を殺す気がないからか!?
てか2秒!?早くなってるやん!
やばい早く選ばないと、②の相手に向かって片方の剣を投げるで!
【かしこまりました。②チュートリアル自動操作モード開始】
「ふんそんなもの私にはきかんぞ」
やばい、普通に投げた剣弾き返してきたんだけど!?
失敗しとるやんけ!
【選択してください】
①今投げた剣に戻れと言い、持っている片方の剣で切り掛かる 成功確率100%
②もう片方の剣で切り掛かる 成功確率5%
③家に帰る。マイスゥイートホーム 成功確率0%
【制限時間2秒、無視した場合死にます。】
おい最後! こいつやっぱりふざけてるだろ!
ええい①の今投げた剣に戻ってこいと念じながらもう片方の剣で切り掛かるで!
【かしこまりました。①チュートリアル自動操作モード開始】
おぉ!すげぇ!念じただけで剣が戻ってきたなんでだ!?
ていうかさっきのは失敗じゃなかったのか!ずげぇぞ!選択肢様!
「ほぉ、持っただけでそのクレイスの能力を理解し使用するとはな!」
そう言いながら余裕そうで塞せいでますやん。
そ、それとあれが俺の今持つクレイスの能力ねぇ〜まぁ、し、知ってだけどー?
嘘です知りませんでした選択肢様がすごかっただけです
「この様子だともう少しギアを上げても良さそうだな!」
いや、やめて!
ここまで戦えてるの選択肢のおかげだから!
「行くぞ!」
ちょっ!かもん!選択肢かもん!!
【選択してください】
①正面から斬り合う 成功確率60%
②両方の剣を投げつける 成功確率47%
③剣をマイク代わりに歌を歌う 成功確率3%
【制限時間2秒、無視した場合死にます。】
おいおいこの選択肢はふざけないと気が済まないのかよ!?
えーといや成功率どれもひっくいなぁ運ゲーだろこれ
まぁいいや①の正面から斬り合うで!
【かしこまりました。①チュートリアル自動操作モード開始】
「今度は正面からか、何を考えてる?正面からでは部が悪いのはお前だぞ?」
ですよね!
本当何考えてるんでしょうね!
でもやるしかないんですぅこれが一番成功する確率が高いので......。
「驚いた私の剣の動きについていけてるとは......。お前は本当につくづく面白いやつだ」
いや選択肢様つえーー!!
キリカさんの剣をどんどん捌いている件。
剣と件をかけました、なんちゃって。
ってちょけてる場合じゃないや
あかんどんどんおされ始めてる選択肢様が!
【選択してください】
①剣を両方落として真剣白刃取りをする 成功確率15%
②このまま斬り合う 成功確率3%
③体で剣を受け止める 成功確率100%
【制限時間2秒、無視した場合死にます。】
おいおいおーい!
まともな奴が一つもないぞ!!!!
特に最後!これ体で剣を受け止めるってこれ絶対怪我どころじゃすまないよね!
確かに100%でできると思うけど!
あぁクソ時間がもう仕方ない!こうなったら運ゲーしてやる!
①の剣を両方落として真剣白刃取りをするで!
【かしこまりました。①チュートリアル自動操作モード開始】
うわ!本当にすんのか!
ええいもう仕方ない!やるしかない!
「お前!何をしている!」
【成功率20%以下の選択を成功したためチュートリアル自動操作をアップグレードします。】
──キリカ視点──
「お前! 何をしている!」
ナリが両手の剣を離した瞬間、私は思わず声を上げていた。
戦闘の最中に武器を捨てる。
ありえん。
戦闘経験のない素人ですら、わかる。
武器を手放すことがどれほど愚かな行為か。
ましてや相手は私だ。
加減しているとはいえ、少しでも判断を誤れば簡単に切られる。
何を考えているんだ、こいつは。
そう思った、次の瞬間だった。
「なっ……」
私の目が見開かれる。
ナリの両手が、私の刀を挟み込んでいた。
真剣白刃取り。
しかも偶然ではない。
刀身が振り下ろされるタイミング、速度、角度。
全てを見切った上での動きだった。
ありえない。
素人ができる芸当じゃない。
いや、それ以前に正気じゃない。
普通なら避ける。
避けられないなら防ぐ。
こんな危険な方法を選ぶ理由がない。
私は思わず眉をひそめる。
(なんだ……こいつは)
そしてナリは、私の刀を挟んだまま静かに口を開いた。
「……戻れ」
小さな声だった。
だが、その瞬間。
カタッ……
地面に落ちていた二本の剣が震えた。
「……!」
次の瞬間、二本の剣が弾丸のような速度で私へ向かって飛んできた。
下から。
死角からだ。
普通なら視界に入りづらい位置。
真剣白刃取りで視線を固定させ、その隙を狙ったのか。
(これを狙っていたのか……!)
思わず口元が上がった。
なるほど。
武器を捨てたのは無謀だからじゃない。
私の意識を一瞬奪うため。
そして戻る剣を利用した二段構え。
(面白い……)
久しぶりだ。
こんなにも戦いが楽しいと思ったのは。
(まさか拾ってきた少年が、こんな掘り出し物だったとはな……)
私は刀から手を離し、迫る二本の剣を左右の手で掴み取る。。
その瞬間ナリが動く。
放した私の刀を拾い上げ、そのまま迷いなく振り下ろしてくる。
判断は悪くない。
状況を利用するのも上手い。
だが。
「遅い」
私は体を半歩ずらしながら、奪った剣の一本をナリの首元へ向ける。
ピタリ、と刃先が止まる。
勝負ありだった。
ナリの動きが止まる。
数秒の沈黙。
そして相変わらず感情の読めない顔で口を開いた。
「……参りました」
私は剣を下ろした。
「ふっ」
自然と笑みが漏れる。
本当に変な奴だ。
「三日後の試験……絶対に受かってこい」
今の結果を見て、絶対に受かると自信を持った私はそう言った。
ナリは何も言わなかった。
ただ小さく頷くだけだった。
無表情。
淡々としている。
こいつはいつもそうだ。
初めて会った時からそうだった。
必要最低限しか話さない。
感情もほとんど表に出さない。
何を考えているのかも分からない。
何もかも謎の男。
(だから、面白い)
私は腕を組みながら先程の戦闘を思い返す。
戦い方は滅茶苦茶。
経験者の動きじゃない。
なのに時折、常識外れな選択をする。
普通なら選ばない。
いや、選べない。
(あの作戦もそうだ)
真剣白刃取り。
もし少しでもタイミングを間違えていたら、両腕ごと持っていかれていた。
新人が考える戦法じゃない。
私にはできない。
リスクが高すぎる。
普通は避ける。
だが、あいつは躊躇なく選んだ。
(やはりお前は……イカれてるな)
私はそう思いながら、少し笑った。
もし面白い!続きを読みたい!と思っていただけましたら評価の方よろしくお願いします!
作者のモチベーションに繋がります。




