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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後8年目

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1389/1408

1389 星暦559年 赤の月 1日 魔力認証結界(17)

「やあ、君たちがシャルロの仲間で今度防犯用の魔具を設置してくれる人たちなんだね!!

 よろしく頼むよ!!」

 休息日明けに、風除室モドキの設置が終わったというので試作品を設置しに向かったところ、シャルロの知り合い(一応親戚でもあるらしい)のチェルナ子爵とやらが俺たちを暖かく歓迎してくれた。


 う~ん?

 なんか名前に聞き覚えがあるな。

 どこで聞いていたんだっけと思っていたら、部屋に女性が入ってきた。

 おお。チェルナ子爵夫人じゃん。卵が入った食材に過剰反応するってんで苦労していた。


「あなた、入り口で迎えるんじゃなくってちゃんと中にお招きしてお茶を出さなきゃダメでしょう」

 チェルナ子爵夫人が夫を窘めた。


 そっかぁ。

 チェルナ子爵夫人の夫か。

 確か、チェルナ子爵夫人がシャルロの父親の従姉妹か何かだったっけ?

 その夫ってことは血は繋がってないのかな?

 まあ、貴族なんてあちらもこちらも何世代か遡ればお互いに結婚したり養子に貰ったりで、殆どが広い意味で親戚なんだろうが。


「お久しぶりですチェルナ子爵夫人。

 色々設置などを行って実験を始めたいので、取り敢えず現時点でお茶は結構です」

 俺たちがチェルナ子爵ごと応接間に押し込まれる前にアレクがそっと口を挟む。


 貴族夫人のお茶に付き合っていたら午前中が潰れかねないし、色々と情報を抜き取られないように気を張って話すのも疲れるからな。

 さっさと仕事の方に専念したいのは、俺もだ。


 まあ、チェルナ子爵夫人が意図的に俺たちの開発情報とかを漏らすとは思わないが。でも貴族夫人の仕事ってお茶会とかパーティでお互いに情報のやりくりをしながら色々と情報を集めていくようなものらしいからな。

 どれだけ自分の方の情報を出さずに相手の情報を抜き出し、広めたい情報を相手に『自分が苦労して聞き出した』と思わせながら受け取らせるかが貴族夫人の腕の見せ所なのだと以前雑談の中で言われた。


 チェルナ子爵夫人は卵関連の食材が入った料理やお菓子を食べられないことでそういう社交での活動が著しく制限されていたので、俺たちの過敏アレルギー体質安全用魔具には本当に助けられたと感謝されたものだ。


『これから頑張るわ~!』と以前会った時はやる気一杯だったので、夫人とのお茶はちょっと遠慮したい。

 たとえこちらに色々と情報を提供してくれるのだとしても、別に俺たちは社交界の情報なんて要らないし。

 まあ、アレクは何かに役に立てられるかもしれないが、今はさっさと試作品のテストをしたいのは同じ考えらしい。


「そうだ、急いで麗しの美女たちを守らないと!!」

 チェルナ子爵が言って、階段へ歩き始めた。

 アレクの希望もあったからか、チェルナ子爵夫人は軽くため息をついて俺達が頭を下げて子爵の後を続くのを見逃した。


 あれって絶対この実験が終わる前にお茶に誘われそうだなぁ。

 シャルロだけ差し出すので良いかな?

 俺は用事があるってことで先に帰っておけば、捕まらないで済むかも?


 そんなことを考えながら中央にある立派な階段を登って奥の方へ進んだ。

 案内された部屋は北向きだった。

 居室としては北向きってイマイチだが、絵を飾るなら日に焼けなくていいんだろうな。

 早い時間に暗くなってしまうが、まあこれだけの豪邸に住める貴族なのだ。

 魔具ランプで必要に応じて明るくできるだろう。


「ここが入り口だ。

 で、言われた通りに奥行き2メタ(メートル)、幅4メタ(メートル)の風除室みたいな小部屋を作っておいた。

 これでいいんだね?」

 子爵が扉を開けて、風除室モドキの中に入って振り返った。


 うん、良いんじゃね?

 スッキリしていてそれなりな人数が入れそうだし、流石にここに入る以上の人数を美術品を見せびらかすために入れるのは防犯上危険だろう。


「で、こちらの奥が美女たちの部屋なんだ!」

 自慢げに内側の扉を開けて子爵が入っていく。

 壁もそれなりに立派な物を使っているし、扉もしっかりしている。

 これだったらうっかり魔石を枯渇させても、扉の鍵を魔力認証で解錠する形にしておけば、壁をぶち破るのに時間が掛りそうだな。


 で。

 中に入ったら長さが30メタ(メートル)、奥行き10メタ(メートル)ぐらいのかなり大きな部屋だった。

 大きなガラス窓には全て格子が嵌め込まれている。


 よく見たら、あちこちに去年売り出した冷風機とよくある暖房用魔具が置いてある。窓を開けなくても快適に過ごせるし、暖炉もないから煙突からの侵入もあり得ない、と。


 壁際にいくつも大きな絵画が飾られて、ところどころに彫刻も置いてある。

 部屋の中央部にはソファや安楽椅子などが散らばっており、どの絵も居心地よく座りながら楽しめるようになっている。

 部屋の奥に本棚もあるが、ここで本を読みながら時折絵を見て目を休めるのかね?


 壁に掛けられている絵は殆どが馬や犬の絵だった。

 人間も一応一緒にいるけど、俺の目から見たらどう見ても動物が主役に見える。


 ……これが美女の絵??

 一緒にいる人間が女性の場合は美人っぽいのも多いが。

 人間は男しかいない絵もあるぞ??





犬や馬が雌かは不明だけど、子爵は『美女』と一括りにしてますw

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― 新着の感想 ―
本物の数寄屋者かぁ(苦笑)。 ミロのヴィーナスとかサモトラケのニケを見せたら、言い値で買いそうな御仁ですな。 多分「魂のこもった偽作」すらも愛しかねないタイプの人間だからこそ、防犯装置が欲しいタイプと…
美しく感じる絵は全て『美女』なんですねw これぞ美術バカ
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