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白鳥サノバビッチ  作者: えすくん
第8章 〝不朽戦艦〟天照の鱗
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第075話 〝松山藩主筆頭候補〟大工部マグ

 大工部マギ。

 大工部マゴ。

 突欠クロワ。

 妖怪皇帝。

 4人体制のパーティーが誕生した。


「もちろん船を譲るつもりはありませんわ。あくまで船に辿り着くまでの一時的な共闘」


 マゴの提案を全員が了承。

 さっきまで怯えていたクロワも、


「なんだか皇帝さんのこと嫌じゃないんですよね」


 超鳥の固有能力【魅了━ファスツィナツィオン━】のおかげだった。

 一行は将軍陵墓内部を探索し、床に扉を見つける。

 皇帝がいくら押したり引いたりしても開けることはできなかった。


「かなり頑丈に見えるため、破壊は困難に思われるが」

「屋上にあった扉は勝手に開きましたわよ?」

「勝手に……?」


 マゴの発言をいぶかしむ皇帝。


「ほら、ご覧なさい」


 マゴがふんぞり返る。

 確かに誰も手を触れていないにもかかわらず、扉は開いた。

 だが皇帝はマギに目を向ける。


「息子よ、やはり貴様の能力は……」

「早く進みなさい!!!!!」


 マゴが兄に鞭を振るう。


「もたもたしてると皇帝のおっさんに先を越されてしまいますわよ!」

「下の階に何があるかわからないぞ」


 マギは慎重だった。


「そちとてケガしたくないはず。用心して行こう」

「おおお! 人間の愛!」


 マギの思いやりに皇帝はいたく感動。


「……余が鞭で叩かれたところは見ていなかったのか?」


 4人は下の階に進む。


     *     *


 場面はかわって松山城。


「おー。久しぶりじゃーん」


 城主の間で出迎えたのは大工部マグ。

 突然の訪問にも平然と対応する。


「あなたは相変わらずですねぇ」


 玄関ではなく窓からぬるりと入り込んで来たのは長子・大工部マガ。

 またの名を巡カズスエ。

 蚊虻教の教祖として暗躍している。


「城主筆頭候補になったのに、まだそんな服を着てるんですかぁ?」


 マガは煽る。

 第3子マグが来ているのはぴっちりしたラバースーツ。


「いいじゃん。これ好きなんだもん。仕事はしっかりしてるよ?」

「その点は心配してませんよ」

「で、何の用? マガってなんちゃら教っていう宗教やってるんでしょ? サボリ? 暇なの?」

「蚊虻教ですぅ。忙しいですぅ。バカな弟に手を焼いてますからね」

「バカな弟って言うと? どっち?」

「マギです。そう言えばマゴは?」


 マグは第5子マゴに関する説明をした。


「町長ですか……。まあ、お飾りですから大丈夫でしょう」


 安心するマガ。

 マグは容赦なく、


「でも気に入らない召し使いに暇を出しまくってるらしいよ」

「……」

「私も注意はしたよ? でも、あんまし強く言う気にはなれないんだよねー。やっぱさ、あの子が一番母上になついてたじゃん。結構つらいんだと思う」


 すでに先代将軍の訃報は日本全国に知れわたっている。

 ただし、その正体が彼らの母だとは一般市民の知るところではない。

 重くなった空気を変えようと、マガはおどけるように、


「それにしても、あなたは私に驚かないんですね」

「どゆこと?」

「よく見て」


 言われるがままによく見てから、ようやくマグは兄の変化に気づいた。


「きもーっ!!!!!」


 マガは人の体をしていなかった。

 貝殻のような上半身。

 イカのような下半身。

 まるで妖怪である。


「なんでこんなことになっちゃったの!? 卵を割った?」

「妖怪になったんじゃないんですよ」

「あー……改造されたんだ?」


 マグは察した。

 彼らの父親・大工部ヒトフリはカラクリに精通している。


「戦闘で受けた傷を治療するついでにね」


 マガは得意気な顔をした。

 一方、マグはドン引きを隠さない顔をして、


「わざわざそのキモイ姿を見せに来てくれたの? もういいから。帰って。しっしっ」

「はいはい」

「あれ? 本当に帰るの? 用は何だったの?」

「……別に用なんてありませんから」

「……寂しかったら、いつでも来ていいからね」

「何も言ってません」


 マガが城から出て行こうとしたところ、ふとマグは思い付く。


「せっかくここまで来たんだったら、ついでに妖怪退治してってよ」

「公儀祓除人でも呼べばいいんじゃないですかぁ?」

「でもめっちゃ強いんだよ」

「どんな妖怪なんです?」

「なんかねー、羽が生えてて、体がカッチカチで、ガキみたいなやつ」


 聞き捨てならない情報だった。


「……ほぅ?」

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