第048話 救祖からのお知らせ
「ドチビ、あんたいいもの隠し持ってたんだね!」
サソリはマギ・リケイカイン組と合流。
2人に運んでもらっていた。
走るよりも飛んだ方が速いからだ。
リケイカインのみならず今やマギにも翼が生えている。
「余は妖怪ではないぞ!」
「誰もそんなこと言ってないじゃんか」
「うぅ……余は元の人間らしい体に戻りたいのに……」
「めそめそしてんじゃないの!」
サソリは活を入れてあげようと、
「翼も股間も立派じゃない! モノは使いようでしょ。世のため人のために使いこなしてみなよ!」
おしゃべりしつつ城の中を飛び回ったが、誰の姿も見当たらない。
とうとう最上階まで到達した。
「妻ちゃん! いるの!? いるなら返事して!」
「はい」
「ぎゃ!」
あっさり見つかった。
ただし、妻・ルドルフのとなりには救祖。
「ペテン教祖! 妻ちゃんを返しなさい!」
「教祖じゃなくて救祖ですぅ」
救祖はへらへらと、
「ルドルフ様のお好きなようになさってください」
「うん」
ルドルフはすたすたと歩いてサソリの元へ。
「大好きっっっ!!!」
サソリは妻を激しく抱き締めた。
あまりにも呆気ない再会である。
それでもサソリは涙を禁じ得ない。
「会いたかった。もう会えないかもって思った。あのヘンテコヘアーに変なことされてないでしょうね?」
「楽しいこといっぱいしたよぉ」
「なっ……!? 楽しいことって何!?」
「美味しいもの食べたりとかぁ、ふかふかのお布団で寝たりとかぁ」
「いつも通りじゃないの!」
「……」
「寝るな!」
マギは救祖を睨む。
あとは救祖を倒せばいいだけだ。
「余は……余は公爵ぞ! 人類皆殺しを計画する不届き者! 見過ごすわけにはいかないぞ!」
「人類皆殺し? 誰からそんなこと聞いたんですか?」
「……誰であったか」
「偽の情報に惑わされてますよ」
「えっ」
「蚊虻教がやろうとしてるのは人類殲滅なんかじゃなくって……」
救祖がにやり。
「全人類妖怪化計画ですぅ」
マギはきょとんとする。
自分だけが理解できないのかと思って周りを見てみると、リケイカインもサソリも口を開けている。
しかし、わかっている者はいる。
救祖が笑みを向けながら、
「ですよね、ルドルフ様」
「うん!」
笑顔でうなずくルドルフ。
袂から2個の卵を取り出す。
「ルドルフ、それ何?」
「妖怪の卵だよぉ」
サソリは顔をひきつらせる。
「なんでそんなの持ってるの? どうするつもり? なんか気持ち悪い。捨てなよ」
「サソリ様、ぼくは救祖様からいいことを教えてもらったんだぁ」
「いいことって何よ! 変なことじゃないでしょうね!」
「妖怪の卵を割って中身を浴びるとね、人間は妖怪になるんだよぉ」
マギの眉がぴくんと動く。
――今、この者は何と申した? 妖怪の卵を割って中身を浴びると……人間は……。
救祖はのほほんと、
「というわけで、みなさんも蚊虻教に加入しませんかぁ?」
「ゆっ……許されないことぞ!」
マギは顔を真っ青にしながら、
「もし……もしそれが本当だとしたら……嘘かもしれないが……でももし本当だとしたら、そちは大勢の民を不幸にしようとしている。余が成敗するぞ!」
「むしろ民を守るためですぅ」
「えっ」
救祖は壁に近づきながら、
「妖怪になることで人は幸せになれます。幕府のお墨付きです。お前の親も承知してまーす」
「父上が?」
「あとお前はほぼ妖怪です」
「余は人間ぞ!」
「半分くらいは、ね。普通は妖怪の卵の中身を浴びてすぐに妖怪になるんだけど、お前はのんびり屋だから、ゆ~っくり妖怪化してるみたいですねぇ」
「……余は……余は元の体に戻りたくて……」
「戻ることはできないですぅ」
マギは絶句した。
救祖は壁に隠されたボタンを押す。
すると壁が動き、たくさんの卵がお披露目になった。
「今からこれ全部使って、御所藩の民を妖怪にしちゃいます♪」




