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白鳥サノバビッチ  作者: えすくん
第5章 〝アンソポリス〟花の都
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第046話 天使が如く

 かくして城内に潜入したマギたち。


「どこかに妻ちゃんが!」

「どこかに父上の報告書が!」

「どこかにあたたかい布団が!」


 マギだけは眠気と戦っていた。

 だから、


「マギ、危ない!」


 リケイカインに押し倒されなかったら、除草剤を浴びてしまっていただろう。

 どこからともなく発射したのは、


「黒バラとかいうやつ!」


 瀬良寺が敵の位置を把握する。


「拙者と勝負せい、公儀祓除人!」


 水鉄砲を構えるのは、蚊虻教幹部・黒バラ。

 激しい憎悪を瀬良寺にぶつける。


「赤ユリを殺された恨み、ここで晴らす!」

「お前に構っている余裕はないが、仕方ない。倒さねば次の間に進めないようだからな」


 事実、先に進む道は黒バラによって妨げられている。


「ねえ、ニヤニヤちゃん」


 サソリがリケイカインに、


「あんた、除草剤を浴びても、どうってことないんでしょ?」

「うん」

「じゃあ、ここはあんたに任せてもいい?」

「嫌だが?」

「なんでよ!」

「マギと一緒がいい」

「じゃあ、あんたとドチビに任せるってのは?」

「じゃあ、いいよ」


 というわけでリケイカインの黒鳥が暴れる。


「待て、公儀祓除人!」


 黒バラの油断を突いて、瀬良寺とサソリが強行突破。

 別の部屋へと進んでいく。

 追いかけようとする黒バラ。

 しかし黒鳥に足を絡めとられる。


「よせ! 貴様は妖怪。ならば、拙者には戦う理由がない!」

「余もそちと戦う理由なんてないぞ」


 マギがのんびりと、


「なぜか放置されたまでのこと」

「えっ。……えっ?」


 言葉に詰まる黒バラ。

 だが、やがて怒りが再燃する。


「とにかく拙者の邪魔をするな! どけぃ!」


 リケイカインは断る。


「お前、倒す。その後ずっとマギと一緒♡」

「寄るでない! 気色悪い!」


 マギが白鳥でリケイカインの黒鳥を弾く。

 まるで戦場の緊張感はない。

 黒バラは呆れ返り、


「貧民の地位から苦労して、ここまで登り詰めたというのに……。夢叶うまであと一歩のところで、こんなアホどもに赤ユリは殺されたのか……」


 しかし黒バラは冷静さを失わないよう努める。

 ここでマギたちを敵にしておくよりも味方につけた方が賢明だ。


「蚊虻教は妖怪との共存を掲げておる。いや、それどころか妖怪を人間の上位互換と崇めておる」


 唐突に始まった布教。

 マギとリケイカインは聞き入る。


「貴様ら妖怪にとって不都合ではないはず。ならば我ら蚊虻教に協力せい」

「余は妖怪ではなく人間ぞ。ついでに言うと余は公爵ぞ」

「……貴様、貴族か?」

「余に敬服したくなったか?」

「くたばれ、貴族階級!」


 黒バラは激怒した。

 マギめがけて除草剤を連射。


「庶民の嫉妬か?」


 逃げ惑うマギ。

 リケイカインが身を挺して守る。


「我先に妖怪になりやがって! 貴族特権か!?」


 激昂する黒バラ。


「卵を割ってしまったら股間が白鳥になっただけぞ」

「股間だけではない。貴様自身が妖怪になったのだ!」

「違う!」


 黒バラはもう1丁の水鉄砲を取り出す。

 二刀流ならぬ二丁流。

 じゃんじゃか発砲する。


「当たらなきゃ意味ない」


 リケイカインはマギを足で掴まえて飛ぶ。


「わっ。わっ。丁寧に飛べ。落とされそうぞ」

「マギ、暴れないで♡」

「んが!」


 狭い室内を飛び回る途中、マギは欄間にぶつかった。

 その衝撃でリケイカインの足から離れて落下。


「くたばれ、貴族!」


 黒バラが狙いを定め、撃つ。

 旋回するリケイカインだが間に合いそうにない。


「あ~~~~~~っ!」


 痛いのは嫌だ。

 ただそれだけを強く願った。

 直後、マギの背中に違和感。

 そして全身に浮遊感。


「マギ♡」

「……はぇ?」


 マギの背中から翼が生えた。

 今、マギは宙に浮いている。


「どういうことだ……?」


 思わずマギに目を奪われる黒バラ。


「えーい」


 死角からリケイカインの黒鳥が黒バラを刺した。

 黒バラは死んだ。

 勝利である。

 しかしマギは青ざめている。


「余はまたしても人から遠ざかってしまったぞ……」


 そして妖怪に近づいた。

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