表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/55

虎さんと馬さんは振り切れない

ラノベに出てきそうな雰囲気の街並みをのんびりと歩いた。

何て言うか・・・現代(下界)風でもあり中世風でもあり、それでいて雑然としていない。

上手い表現が出来ないけど、まぁ簡単に言えば綺麗な街って事。

最初は天界のイメージと違うから驚いたけど、いかにも「神様の住む処」って感じじゃないのは現代日本で生きてきた俺にしてみると助かる。


お金の事ももちろん、商店で買い物とかも自分の知識・経験で補えるのは嬉しいね。

神様って事を考えなければ、イージーモードの異世界で暮らすようなもんだし。

あ、ちなみにチート能力なんてものは残念ながら授かってない。

特筆する能力もない普通の人間のままだ。


街で生活用品などを買い揃え、いったん家に戻るとちょうど昼時。

出来ればそのまま街の店で何か食べたかったけど、荷物がいっぱいだったので諦めた。

大げさな溜め息をつきながら駄女神アイビーがサンドウィッチを作ってくれた。


「はあぁぁぁ~・・・人間の男のために買い物付き合って、料理作って・・・はぁぁぁ~」

「面倒かけて悪いね。買い物出来たから明日からは大丈夫だから」

「はあぁぁぁ~・・・明日からも人間のお世話とかないわ~」


おい駄女神、慈愛に満ち溢れたワタルさんでもそろそろ怒るぞ。

お前の普段の行いの結果がこれだろう?そこを忘れんな!

って、口に出さない俺って何だかんだ言って優しいと思うんだけどなぁ・・・




そうそう、買い物してる時にソラールさんが教えてくれたんだけど、

天界で商店などを営む人達は俺と同じで元々下界で生きていた人。

ただし、女神の祝福・加護などを受けていて、死後本人達の希望もありここで暮らしている。

つまり使える使えないは別にしてみんな何らかの能力があるらしい。

ただの人間は俺だけなんだってさ。


「プ~クスクス、無能なんですね~。これと言って能力のないただの人~」

「あ、アイビー!何てこと言うのよっ。天地さん、気にしちゃダメですよ」

「だってホントの事じゃ~ん。クスクス」

「よし分かった。そこの駄女神、表出ろ!」

「だ、駄女神ですって~!ただの人間のクセに~」












「ふぇぇ~~~ん。い゛だい゛よぉぉ~~~~」

「ふははは!見たか!新井先生直伝、【もみあげワッショイ】の威力を!」


説明しよう!

もみあげワッショイとは、中学時代にお世話になった体育教師の新井先生が使っていた技である。

左右のもみあげを掴み、そのまま持ち上げるという荒業だ。

190センチ超えの新井先生が持ち上げるのだ。それはそれは・・・痛い。

うん?何だか虎さんと馬さんがこっちに向かってきたよ・・・新井先生怖い。


「こ、これれれに ここりたらららら む無能なんててて 言わないいい ことだだ・・・」

「勝った天地さんが震えてるのは何故なんでしょうか?」

「ききき、気に しないででで くださいぃぃぃぃ~」




ふぅ、当時を思い出したら色々ヤバかったぜ・・・。

とりあえずアイビーにも虎さんと馬さんが襲い掛かったようで、それを宥めるのに苦労した。

しばらく封印だな、この技は。


アイビーにお菓子を与えつつ、ソラールさんと今後について話した。

まぁしばらくはのんびりと過ごし、街の人達に俺の顔と名前を憶えてもらう感じだ。

今日歩いてみた感じだと、だいぶ警戒されてるようだしね。

よくよく考えてみれば分かることだけど、女神達の居住区に突然男が住みだしたんだもん。

仕方ないよね~。

真剣に、誠実に、真面目に生活をして害のあるヤツじゃないって分かってもらうのさ。

そこで初めてハーレムへと舵をとるのさ!


(あらあら、ワタルさんはハーレムばかり興味があるのでしょうか)

すっかり存在忘れてたから心臓飛び跳ねたよフェアーさん。てか、やっぱり何処にいても俺の心の内を覗けるのね。プライバシーないのね。

(あらあら、いくらなんでも24時間ずっとワタルさんだけを見てるわけではありませんよ?)

出来れば会ってる時以外は覗かないでください。お願いします。

(今日は会いに来てくれなかったのでこちらからお邪魔しただけです)

朝呼びかけたけど答えてくれなかったし!フェアーさんが何処にいるのか知らないし!

(朝は弱いもので・・・多分寝てました)


近々またお茶をするという約束をして、フェアーさんとの脳内通話が終わった。

ちょっと天然っぽいし思考読まれたりするけど、やっぱり美人とお茶するのって嬉しいよね。




そんなウフフな頭の俺は次の日にとんでもない試練が待ち構えているなんて思ってもみなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ